ファウンド FOUND
ホラー作品の愛好者で家族の秘密を覗くのが趣味な少年が、兄の部屋で生首を見つけてしまったために、生活が一変していく話。弟愛の強すぎる兄が取る行動が常軌を逸しているが、この兄弟を育てた両親のことも考えると、ホラーというだけでなく、不快感を抱かせるどぎつい家族映画でもある。ネタバレあり。
―2012年公開 米 103分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:世界各国の映画祭で40以上の賞を受賞したサスペンス・ホラー。学校ではいじめられ、家庭では両親の不仲という辛い境遇にある11歳の少年マーティの楽しみは、家族の秘密を覗き見る事。だが、兄がクローゼットに隠していたのは、人間の生首だった……。出演は「The Impersonators」のギャビン・ブラウン。特集企画『未体験ゾーンの映画たち2017』の一作。(KINENOTE)
あらすじ:11歳の少年マーティ(ギャビン・ブラウン)は、学校ではいじめられ、両親も不仲という辛い日々を送っていた。そんな彼の楽しみは、家族の秘密を覗き見ること。母親の秘密は、ベッドの下に隠されたラブレター。父親の秘密は、車庫の奥のヌード雑誌。そして兄の秘密は、クローゼットに隠された生首だった……。時々変わる生首を、こっそり取り出して眺めるマーティ。ところがある晩、いつものようにクローゼットを探ると、そこにあったのは同級生の生首だった……。(KINENOTE)
監督:スコット・シャーマー
出演:ギャビン・ブラウン/イーサン・フィルベック/フィリス・ムンロ/ルーイ・ローレス/アレックス・コギン
ネタバレ感想
『ヘッドレス』がチープでグロい
アマプラで見つけて何となく気になってて、いずれ観たいなぁと思いつつ、ず~~っと放置してたのをようやく鑑賞。すげーバカ映画なんだろうなって思ってたら、確かにそうなんだけども、ところどころ風刺のきいている部分もあって、鑑賞後はヒューマンドラマを見たような余韻を持たせてくる、ヘンテコな作品だった。
バカバカしい部分から先に触れておくと、主人公のマーティが友人のディビットと一緒に鑑賞する『ヘッドレス』なる作品。これは兄がレンタルビデオ店から盗んできて、自分のコレクションとして保管している代物。
骸骨のマスクをかぶった殺人鬼が、女性を捕らえては残酷に殺し、その返り血を浴びたり、したたる血をシャワーみたいに浴びたりしつつ、切り落とした生首から目玉をくりぬいてそれを食し、さらにはその生首をオナホールにしてシコってるという、実にバカバカしい内容だった。
見るからに死体がつくりものなんだけども、描写が過剰なためにけっこうグロさを感じて、気持ち悪かったなぁ。しかもラストは、警官に撃たれてこの殺人鬼はあっけなく死んじゃうのが笑える(笑)。
鑑賞したディビットが酷評するのはわかるんだが、小学5~6年生くらいの子どもがあんなエログロシーン見ちゃったら、性癖おかしくなっちゃうだろうなぁ、きっと。
兄貴が殺人鬼
でまぁ、性癖はおかしくなってないけども、マーティの兄貴、スティーブはこの作品に影響されて、自分の信念に基づいて殺人を犯している。その信念ってのは黒人を亡き者にしたいってことだったようで、ターゲットはほぼ黒人なのだ。
なんで彼がこうなっちゃったかっていうと、親父が善良そうなツラをしていながら、レイシスト発言をしてたんで、この影響だろうね。母も親父のそういう発言をいさめたりする様子もない。
この両親は二人の息子の子育てをあまり上手にできてなかったのか、それとも息子二人がそもそも変な奴らなのか、その辺は作品の作りの甘さもあって、伝わりづらさがある。この辺の雑さが、この作品の惜しいところである。
ツッコミどころは他にもあって、そもそもスティーブがレイシストで黒人殺しをしているのはいいとしても、何で死体も出てこずにその犯罪行為が発覚しないのだろうか。しかも、臭うほどの生首を自室に隠してる意味ってなんなの? その辺の説明がないところもいい加減だよね。
弟愛が強い兄
まぁでも、マーティはそれなりにいい子なんだけども、気の毒なことにいじめを受けている。兄のアドバイスを受けるなかで、それを克服できそうな前兆が見えるんだけど、大人の無理解さと対応の悪さのせいで、兄の悪い面での影響を受けて、歪んだ成長をしていってしまいそうな不穏さが出てくる。
実は、兄だけが、彼を守ってやっていたのだ。異常すぎるとはいえ。こうしたマーティの先行きの暗さをどう落とし前をつけるのかなーなんて観ていたら、まさかの兄による両親の虐殺という急展開(笑)。
これを目の当たりにしたマーティは兄の異常性から目を背けるようになるんだけども時すでに遅し。彼を慰めるために兄は、両親の亡きがらを彼の傍らにおいておいてやるという、いびつな愛情表現をして劇終。
なんともメチャクチャで、ショッキング。でもそこはかとないヒューマニティを感じちゃう珍作であった。
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