THE FORGER 天才贋作画家 最後のミッション
―2016年公開 米 92分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:ジョン・トラヴォルタとクリストファー・プラマーが共演した犯罪ドラマ。服役中の天才贋作師レイは、息子ががんを患っていることを知り、暗黒街の大物の手を借りて出所する。だが、その交換条件として、モネの絵画を贋作とすり替える計画を命じられる。「X-MEN:アポカリプス」にも出演する期待の新鋭タイ・シェリダンが共演。メガホンを取ったのは、『刑事ヴァランダー 白夜の戦慄』などで活躍するベイルート生まれの英国人監督フィリップ・マーティン。(KINENOTE)
あらすじ:ボストン。刑務所に服役していた天才的な絵画の贋作師レイ・カッター(ジョン・トラヴォルタ)は、仮出所までわずか9カ月という時、暗黒街を牛耳るキーガンの手を借りて急遽出所する。息子のウィル(タイ・シェリダン)がガンを患い、ひと時でも長く一緒にいたかったからだ。息子の世話を頼んでいた父ジョセフ(クリストファー・プラマー)を訪ね、ウィルとの再会を果たしたものの、2人の間はぎこちない。詐欺師としてならしたジョセフは、早い出所がキーガンの手を借りたものであることを聞いて激怒しながらも、レイの心情を知り、強く言うことはできなかった。やがてレイは、出所の交換条件としてキーガンから新たな犯罪を命じられる。ボストン美術館に展示されるクロード・モネの『散歩、日傘をさす女』の贋作を作り、本物とすり替えるというものだった。本物の絵はキーガンをも動かす大物が欲していたのだ。与えられた時間はわずか3週間。さらに悪いことに、キーガンを監視していた覆面捜査官がレイをマークし始める。レイは摸写を始める傍ら、ウィルの限られた時間を有効に使うため、母親に会わせ、彼の初恋の相手に会いに行くように仕向けるなど、息子の願いを叶えてゆく。次第に心を開いたウィルは、父の計画に参加することを決意。そして遂に訪れた決行の日。レイ、ジョセフ、ウィルにレイの幼なじみカールを加えた4人は、ボストン美術館に到着すると捜査官たちを煙に巻き、驚くべき大胆さで強奪計画を実行してゆく……。(KINENOTE)
監督:フィリップ・マーティン
出演:ジョン・トラボルタ/クリストファー・プラマー/タイ・シェリダン
ネタバレ感想
黒社会のボス、キーガンに借りをつくって、判事を買収してもらって仮釈放で娑婆に戻ってきた贋作画家のレイ。彼は仮釈放してもらわなくても1年待たずに出所できるんだけど、なぜ急いだかというと、癌に侵されている息子のウィルに会うためだった。
キーガンは出所したレイに、モネの贋作をつくり、美術館の本物とすり替えて盗む依頼をする。借りのあるレイはそれに従わざるをえない。で、いったいどうなっちまうのかというのが適当なあらすじ。
ジョントラヴォルタが出てるってのと、本物の絵を贋作にすり替えちゃうという困難なミッションをいかに遂行するのかというスリリングなケイパームービー的な展開をしていたら、どっちかというと、親子の愛情を描いたウェットな内容に比重が置かれている作品だった。
勝手にそのような勘違いをしたのは作品のせいではないが、そのために少し肩透かしを食らって楽しめなかったのは本当のところだ。確かにラストの展開などはそれなりにスリリングではあるんだけど、なんというか、準備期間の描写を含めて物足りなさがある。
とはいえ、トラヴォルタと息子役を演じたタイシェリダンの演技はよく、脇を固めるクリストファープラマーも存在感があっていい。この3代にわたる親子の交流と絆を描いた内容としては、なかなか悪くない。
特に、ラストで息子の病気が治るわけではないってのが、なんとも切ないですな。あのシーンで、息子は親父に「願いが一つ叶うならどうする」と聞く。親父はきっと「お前に生きていてほしい」と言いたかったんだろう。しかし、「旅行にいこう」としか言えない。それに息子はうなずくことができない。寂しい表情のトラヴォルタ。そして劇終。とても余韻のあるいい終わり方だ。
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