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映画 ディアハンター ネタバレ感想 カヴァティーナとロシアンルーレット

ディアハンター
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ディア・ハンター

数年に一度は鑑賞したくなるんだけど、長すぎるので敬遠しちゃって5年に一度観れたらいいほうという作品。ロシア系アメリカ人の若者たちが体験したベトナム戦争とはいかなるものだったのか。ネタバレあり。

―1978年製作 米 184分―

解説:1960年代末期におけるアメリカの若者のベトナム戦争体験を通じ、男の友情と死を絡ませて描く。製作はバリー・スパイキングス、マイケル・ディーリー、マイケル・チミノとジョン・ペバロール、監督は「サンダーボルト(1974)」のマイケル・チミノ、脚本はデリク・ウォッシュバーン、原案はマイケル・チミノ、デリク・ウォッシュバーン、ルイス・ガーフィンクルとクイン・K・レデカー、撮影はヴィルモス・ジグモンド、音楽はスタンリー・マイヤーズ、編集はピーター・ツィンナー、美術はロン・ホブスが各各担当。出演はロバート・デ・ニーロ、クリストファー・ウォーケン、ジョン・サベージ、ジョン・カザール、メリル・ストリープ、チャック・アスペグラン、ジョージ・ズンザ、ピエール・セグイ、ルタニア・アルダなど。2018年12月14日より4K デジタル修復版が公開(配給:KADOKAWA)。(KINENOTE)

あらすじ:1968年のペンシルベニア州クレアトン。マイケル(ロバート・デ・ニーロ)、ニック(クリストファー・ウォーケン)、スチーブン(ジョン・サベページ)、スタン(J・カザール)、アクセル(チャック・アスペグラン)の5人は町の製鋼所に勤める親友グループで、休日には山で鹿狩りを楽しむ平凡な若者たちだった。ある土曜日、ベトナムに徴兵されるマイケル、ニック、スチーブンの歓送会と、スチーブンとアンジェラ(ルタニア・アルダ)の結婚式が町の教会で合同で行なわれた。祝福する人々の中には、アル中の父親を抱える身ながら、帰還後のニックと結婚の約束をしたグループのアイドル、リンダ(メリル・ストリープ)もいた。式の後、彼らはそろってアレゲニーの山へ鹿狩りに出た。1970年、北ベトナムでの戦況は酸鼻を極めていた。逃げまどう農民を虐殺するベトコンに対し、マイケルは狂ったように撃ちまくっていたが、偶然にも、その戦場でニックとスチーブンに再会した。しかし、北側の攻勢は激しく、3人は捕虜になってしまい、床下につながれる身となった。その小屋では、ロシアン・ルーレットというゲームが行なわれていた。それは、弾丸を一発だけ込めたリボルバーを捕虜が交互にこめかみに当てて撃ち合い、それにベトコンたちが金を賭けるというものだった。3人の番になり、スチーブンが発狂寸前になったため、マイケルは一瞬のスキを窮ってベトコン数人を撃ち倒して逃走。丸太にしがみついて濁流を下った。間もなく、友軍ヘリコプターが飛来したが、マイケルとスチーブンは力尽き、3人は離ればなれになった。l年後、サイゴンの軍人病院を退院したニックが別人のようになって町をさまよっていた。それから2年後、マイケルはクレアトンに生還し人々は温かく迎えたが、マイケルは昔の明るさを失っていた。その頃、スチーブンは脚を失って陸軍病院に入っており、彼の口からニックがベトナムで生きていることを知ったマイケルは、陥落寸前のサイゴンへ飛んだ。しかし、ニックは場末の工場の2階で、あのロシアン・ルーレットの射手になっており、意識は朦朧としていた。マイケルは彼の記憶を呼び醒そうと必死に呼びかけ、最後の手段として、ロシアン・ルーレットのテーブルに向かい合った。そして弾丸はニックの番で発射されるのだった。(KINENOTE)

監督:マイケル・チミノ
出演:ロバート・デ・ニーロ/クリストファー・ウォーケン/ジョン・サヴェージ/ジョン・カザール/メリル・ストリープ/チャック・アスペグラン/ジョージ・ズンザ

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ネタバレ感想

長い。初見時はカヴァティーナにやられた

冒頭にも書いたとおり、ともかく長い。しかも、やたらと長回しで静かなシーンが多いのに、セリフが少ないので、眠くなっちゃう。今、こういう作品がつくられても、配給会社が敬遠しちゃって劇場で公開されないんではないか。

一応、戦争映画でもあるんだけども、戦闘シーンはほとんどない。マイク(ロバート・デ・ニーロ)とニック(クリストファー・ウォーケン)とスティーブンが出征していくまで、およそ1時間以上の時間を費やす。初めて鑑賞した時、俺は高校生で、BSの放送を録画して観たんだけど、当時の俺は、戦争映画だと思ってこの作品を観ていたので、いつまで経ってもベトナムのシーンにならないことに怒りを覚えた(バカです)。

ともかく、何で結婚式とか鹿狩りのシーンをあそこまで長く映すのかわからんし、戦争行ったと思ったらすぐに捕虜になっちゃってロシアンルーレット始まるし、なんとか窮地を脱したら、それぞれがそれなりに悲惨な感じになってて、マイクはもう一回ベトナムに行って、ニックと不幸な出来事があって、アメリカに戻って葬式をして、街の仲間たちとアメリカを称える歌をうたって終わりという…。

なんなんだよ、これ…と、呆然としました。おもしろかった! とは思わなかった。何か、とても悲しい気分になったのを覚えている。そして、音楽で使われている「カヴァティーナ」という曲が耳に残り続けて、サントラを購入した。

その後25年くらいを経て、おそらく今回も含めて計4回は鑑賞してると思うんだけど、今回の鑑賞でようやく、この作品に込められたいろいろなことに気付けた。

いまさらだけど、マイクはゲイだ

その中の一番は、マイクは、ゲイだったということだ。スタン(ジョン・カザール)に「お前はゲイか」とからかわれるシーンがあるが、あれ、図星だったんだな。俺は今回鑑賞するまで、マイクとニックは固い友情で結ばれた男たちだと思っていた。

でも、ニックはそうだったとしても、マイクにとってはそれ以上だったのだ。愛していたのだ、ニックを。あの、マイクとニックがロシアンルーレットで対決する場面の「愛してるよニック」というセリフ。俺は今まで、あれは友情的な愛情と解釈してたんだけど、そうではなかったんですなぁ。文字通り、ニックを愛していたんでありますな。

普通、みんな初見でこのことに気付くんだよね? 俺みたいなアホは少ないんかなぁ。まぁ、アホなんだから仕方ないが、今回それに気付いて、マジか…。と思いました。

マイクはメリルストリープ扮するリンダにマジで惚れてるのかと思ってた。肉体関係を結ばないのは、彼女の恋人であるニックとの友情を裏切らないためだと思ってた。でも、違ったんだなぁ。マイクはモテているんだから(それっぽい描写はある)、性欲を満たすシーンはいくらでもつくれたはず。でも、それがない。一切ない。つまり、彼は同性愛者で、ニックを愛しているからということを示していたのだ。彼は女性に興味がないのだ。ゲイだったのだ。

でも、この解釈って個人的にはあまり好きではない。男の友情で終わっててくれほうが良かったなぁ。ちなみに、そうなのか…と思ったのは最後のセリフがまんまそうだから

ロシア系アメリカ人 ロシアンルーレット

あと、主人公たちがロシア系のアメリカ人であるということも、意味があるんだよな。ベトナム戦争は共産圏のソ連とアメリカの戦争でもあるわけで、移民としてアメリカに来たロシア系の人たちは、何というか、居心地の悪さとか後ろめたさみたいのがあるんだと思う。そんな彼らが、アメリカ人として祖先の故郷の国と敵対することになるというーー。さらに、彼らの生死を握るのがロシアンルーレットというのも辛い。

さらには、ゲームとしての鹿狩りに、ロシアンルーレット以降のマイクはのめり込めなくなっていることとか、ともかく戦争を体験した兵士たちと、彼らの帰りを待つ人たちの、それぞれの悲惨さだけを描いた話ではなく、あれだけの長さの中に、いろいろな要素が詰め込まれていて、ここに書くのが面倒くさくなってまうほどに奥深さのある作品だったのである。今さら何を言ってるんだって感じだが(笑)。

初見の頃から、この映画を面白いと思っていたのは間違いないんだけど、マジで気付かないことが多すぎでした(笑)。死ぬまでにあともう何回かは鑑賞しそうだな。正直、設定などに突っ込みどころはいろいろあるんだけども、名作は名作だ。


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