クロッシング・ガード
飲酒運転で幼い少女をひき殺してしまったジョンは、6年の刑期を経て出所。それを待ちわびていたのは少女の父、フレディ。彼は娘を殺したジョンに復讐を企てていたのだった。加害者と被害者の心の葛藤を描いたショーンペン監督によるヒューマンドラマ。ネタバレあり。
―1995年製作 米 111分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:交通事故で愛する娘を失った男と、その罪で6年間服役した男が、それぞれ憎悪と罪悪感を抱えたまま対峙し、魂の決着をつけるまでの3日間を、サスペンスフルに描いた人間ドラマ。監督・脚本は「デッドマン・ウォーキング」の俳優ショーン・ペンで、「インディアン・ランナー」に続く監督第2作。タイトルは交差点で人々を誘導する係のことで、人が生きていく道のりでは進むべき道は誰も教えてくれず答えを出すのは本人だ、というところからきている。製作は、ペンと「インディアン・ランナー」のライン・プロデューサーだったデイヴィッド・S・ハンバーガーの共同。エグゼクティヴ・プロデューサーは「ロマンスに部屋貸します」のボブ・ウェインスタインとハーヴェイ・ウェインスタイン、リチャード・N・グラッドスタイン。撮影は「暗殺者」のヴィルモス・ジグモンド、音楽は「ブルースカイ」のジャック・ニッチェで、ブルース・スプリングスティーンが盟友ペンのために書き下ろした主題歌『MISSING』が胸を打つ。美術のマイケル・ホーラー、編集のジェイ・キャシディは「インディアン・ランナー」に続いての参加。主演は「ウルフ」のジャック・ニコルソンと「インディアン・ランナー」「12モンキーズ」のデイヴィッド・モース。共演は、かつてニコルソンの実生活のパートナーだった「マンハッタン殺人ミステリー」のアンジェリカ・ヒューストン、ペンの元妻で「フォレスト・ガンプ 一期一会」のロビン・ライト、ロックグループ〈ザ・バンド〉のリーダーだったロビー・ロバートソン、「キャリー」のパイパー・ローリー、日本から単独参加した「キッズ・リターン」の石橋凌ほか。(KINENOTE)
あらすじ:小さな女の子が交通事故で命を落とした。事故を起こした男、ジョン(デイヴィッド・モース)は6年の刑期を終えてその日、出所した。父(リチャード・ブラッドフォード)や母(パイパー・ローリー)は温かく迎えてくれるが、彼の心の傷は深く刻まれたままだ。一方、最愛の娘エミリーを失った父親のフレディ(ジャック・ニコルソン)は、絶望から立ち直れぬまま、場末のストリップ・バーに入り浸り、堕落した日々を送っている。現実を直視しないフレディの弱さに、妻のメアリー(アンジェリカ・ヒューストン)は二人の息子を連れて彼の元を去り、ロジャー(ロビー・ロバートソン)と再婚した。メアリーは愛する者を事故で失った人が集うセミナーで、兄を亡くしたという男(ジョン・サヴェージ)の訴えに心を打たれる。娘を奪ったジョンへの殺意だけが、フレディを辛うじて支えていた。ストリッパーのミア(カリ・ウーラー)とベッドを共にして朝を迎えたジョンは、6年間待ち続けたその日、フレディはジョンに銃口を向けるが、皮肉な偶然から未遂に終わった。「僕は逃げない。だから、あんたも本当に殺したいのかどうか考えてくれ」と言うジョンに、「3日後に来る」という殺人予告を残して、フレディは去った。1日目。彼はカレンダーの「その日」を赤い枠で囲み、過ぎた日を×印で消していく。ジョンは、出所祝いのパーティーで若い女性アーティストのジョジョ(ロビン・ライト)と知り合い、心ひかれる。2日目。ジョンはエミリーの墓参り向かい、そこでメアリーと息子たちの姿を見た彼は、花束を置いてそっと立ち去る。フレディは今夜もストリップ・バーに行き、ダンサーのヴェルナ(プリシラ・バーンズ)と寝た。ジョンはジョジョと過ごし、彼女は愛で彼を包もうとするが、彼の心は未だに罪悪感で占められている。3日目。悪夢に目が覚めたフレディの電話の切実さに打たれたメアリーは彼と会うが、フレディは「馬鹿なことはやめて」と言う彼女の言葉にも耳を貸さない。いよいよ決行しようと、ジョンの家へ向かったフレディは、途中、飲酒運転で警官に逮捕されそうになり、銃を掴んでその場を逃げた。ヘリコプターまで動員した捜索の輪をくぐってやって来たフレディと対峙し、ライフルを構えるジョン。しかし、彼はライフルを置いて走りだし、フレディも後を追う。バスに乗りて降り、また走る2人。気がつくと、そこはエミリーが眠る墓地だった。墓石に「パパを救ってやってくれ」と話しかけるジョン。その時、フレディはジョンに手を伸ばし、「許してくれ」と言った。静かに夜が開けていく。(KINENOTE)
監督・脚本:ショーン・ペン
出演:ジャック・ニコルソン/デイヴィッド・モース/アンジェリカ・ヒューストン/ロビン・ライト/パイパー・ローリー/リチャード・ブラッドフォード/ロビー・ロバートソン/ジョン・サヴェージ/プリシラ・バーンズ/カリ・ウーラー/石橋凌
ネタバレ感想
レンタルで鑑賞。ショーン・ペン監督といえば、処女作の『インディアンランナー』が好きかな。ジャックニコルソンと組んだ作品といえば、『プレッジ』てのもあったよね。『イントゥザワイルド』は劇場で鑑賞したなぁ。懐かしい。
で、これは彼の監督2作目らしい。主演役者はニコルソンもいいけども、デイヴィッド・モースもいいね。あと、ロビンライトが美人だし性格もよくてカッコいい感じのキャラで出ていて、彼女の存在がジョンの人間性に深みを出す役割を果たしてて、これまたいい。
とは言え、話の内容はかなり重いんだけども、なんか勿体なさというか響かない感じもあって、何とも残念。過去の事故を悔いるジョンの葛藤は結構わかるし、フレディの奥さんがどうしてジョンのもとを離れるようになったのかってもわかる。
だが、俺にはフレディの心境ってのがよくわからんのであった。娘のエミリーを亡くして凄まじい喪失感に苛まれ、生きることに対する意欲もほとんどなくなってしまったフレディは、奥さんとの間にいた息子のことを気に掛けることもできず、であるから家族と別れることになる。
つまり、娘を溺愛しすぎて家族のことはどうでもよくなっちゃったっぽい。実は家族も愛してたのかもしれないが、少なくとも映画の描写からはそういうことを感じられなかったので、もし、その辺の深みも表現されていたら、今作はもっとすごい映画になってたような気もする。だが、そこは監督の意図にあったのかどうか、わからん。
いずれにしても、フレディには娘への思いしかないように俺は感じて、しかもその割には奥さんにいろいろコンタクト取ろうとして迷惑がられ、せっかく相手が歩み寄ってくれたのに、自らその関係性を壊すかのように「君には死んでほしい」とか言っちゃう始末。どうしてそうなっちゃうのか、その辺に共感できる描写がないために、感情移入がしづらいのだ。
しかも、それだけ娘を溺愛してたのに、なぜか墓参りをしようともしないってもなんだかね。墓参りが愛情を示すことになるのかっていうと、そんなことはないにしても、ジョンだってエミリーの墓を知ってるくらいだから、奥さんに場所を聞かなくたってフレディにもわかりそうなもんだ。
そして、その墓に導く役割を果たすのがジョンで、終盤の追っかけっこののちにジョンとフレディはエミリーの墓の前で和解を果たす。そのシーンはなかなか良いんだけども、すでにフレディは警察から追われる身になってるから、あの後はどうなったんだろうか。心の浄化が得られた彼は、その後を心穏やかに過ごせたんだろうか。ようわからん。
にしても、殺意を持ってジョンのトレーラーに侵入した際に、弾を込め忘れてるってところが何とも間抜け。飲み過ぎと喪失感で頭がおかしくなってたのかねぇ。
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