クローゼット
―2020年公開 韓 98分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:「神と共に」シリーズのハ・ジョンウと「殺人者の記憶法」のキム・ナムギル共演のミステリー。事故により妻を失ったサンウォンは、一人娘イナと新居へ引っ越す。サンウォンがクローゼットから聞こえる声や悪夢に悩まされていたある日、イナが忽然と姿を消す。製作は、「1987、ある闘いの真実」のチョン・ウォンチャン。(KINENOTE)
あらすじ:事故により妻を失ったサンウォン(ハ・ジョンウ)は、一人娘のイナ(ホ・ユル)と新居へと引っ越す。サンウォンは事故のトラウマに苦しみながら、深い溝ができてしまったイナとの関係を修復しようとするが、彼女は心を閉ざし続ける。ところが、イナが新しい友達ができたと笑顔を見せるようになる。一方、サンウォンはクローゼットから聞こえる奇妙な声や、毎晩のように見る悪夢に悩まされ始める。そんなある日、イナが忽然と姿を消す。サンウォンはイナの行方を探し回るが、手掛かりは見つからない。サンウォンが憔悴していると、イナの行方を知るという謎の男ギョンフン(キム・ナムギル)が現れる。ギョンフンは、クローゼットにすべての秘密が隠されているとサンウォンに告げる。二人は謎を解き、イナを救い出すため、クローゼットの扉を開く……。(KINENOTE)
監督・脚本:キム・グァンビン
出演:ハ・ジョンウ/キム・ナムギル/ホ・ユル/キム・シア
ネタバレ感想
適当なあらすじ
妻を事故で亡くし、娘と二人で暮らす建築家。しかし、娘との関係はうまくいっておらず、自身も妻を亡くしたショックで精神的に不安定。娘の心を癒すためにもと思って引っ越してみると、その引っ越し先の家で怪奇現象が頻発。あげくに娘が行方知れずになってしまう。
テレビなどに出演して娘の行方を捜索していたら、ある祈祷師が家を訪ねてきた。彼が言うに、娘の失踪には悪霊が絡んでいると。半信半疑ながらも頼る相手がいない建築家は彼に報酬を支払って、異界に連れていかれたという娘の救出を依頼するのであったーーというのが、適当なあらすじ。
祈祷師の実績が謎
どういう作品か特に調べもせずに、ハジョンウ主演作ということでレンタルして鑑賞。韓国版の悪霊ホラーであった。それなりに綺麗にまとまって劇終を迎えるものの、手放しで称賛できるような作品ではなかったかな。
建築士の娘を連れて行った子どもの悪霊は、自分が過去に父から虐待を受けていて、無理心中を図った際に母と共に死んじまったのである。それ以来、虐待を受けている子どもや、親からちゃんと世話をされていない子どものところに現れては、異界に連れてきていたという。要するに、ダメ親からかくまうために一生懸命? 活動しているのであり、終盤で建築士が懺悔するように、悪いのは親なのである。
であるから、悪霊の悲しみを大人=建築士が包み込んでやることで、彼は祈祷師の協力も得つつ、自分の子どもを現世に連れ戻すことに成功するわけだ。
そういう話の大筋については特に突っ込みたいことはないんだけども、建築士の相棒たる祈祷師は、やたらと「実績に傷がつく」などと言ってる割には、その過去の実績が一つも例として出てこない。仮に、今回の悪霊騒ぎにおいて誰かの子どもを連れ戻したことがあるのなら、それを言えばいいんだけど、それについての言及はない。
ということはこいつ、この作品の悪霊から救えた例は、建築士の娘の一件だけということになるわけで、自分の母親を殺したそいつの存在を追い続けていただけの無能ってことではないか。そうでないなら、ほかの悪霊との戦いの実績を述べるべきなのに、それがない。何でなん?
ついでに、ラストで建築士の娘は救われ、元凶たる悪霊は亡き母に連れられて魂を浄化されたようだったが、ほかの犠牲になった子どもは? モブキャラはさらわれて異界に連れられたままで終わりって、ちょっと酷くないですかね?
ちなみに、これと同時期に、『食われる家族』って韓国の作品を鑑賞した。そちらも主人公は仕事優先で家族をないがしろにしてた建築士なんだけど、韓国の建築士ってのはそんな奴らばっかなのかね(笑)。ついでに、この作品は幼児虐待が多発する社会へ警鐘を鳴らしてるようにも受け取れる。最低限の生活だけさせて、子どもとのコミュニケーションを放棄しちゃうのも、確かにネグレクトといえるわけですな。
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