ザ・セル
アマゾンプライムで鑑賞。なかなかおっかない内容でした。他人の心の中というか心象風景というか精神世界なんて、この映画で描かれる通り、見ても気持ちがいいものではないだろう。知らぬが仏。他人はある程度、顔の見えない他者だからこそうまく付き合いができるもんではなかろうか。ネタバレあり。
―2001年公開 米 109分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:異常殺人犯の脳内世界に入り込む奇想天外なサイコ・スリラー。監督はこれがデビューとなるターセム。脚本・共同製作はマーク・プロトセヴィッチ。撮影はポール・ローファー。音楽は「アナライズ・ミー」のハワード・ショア。衣裳はエイプリル・ネイピアと、「ドラキュラ」の石岡瑛子。出演は「アウト・オブ・サイト」のジェニファー・ロペス、「ファイナル・デスティネーション」のヴィンス・ヴォーン、「メン・イン・ブラック」のヴィンセント・ドノフリオ、「Uー571」のジェイク・ウェバー、「秘密と嘘」のマリアンヌ・ジャン・バプティスト、「ハピネス」のディラン・ベイカーほか。(KINENOTE)
あらすじ:若き心理学者キャサリン(ジェニファー・ロペス)は、最先端の技術を使って研究患者の精神世界に入り込む治療を行っている。ある時、逮捕された異常連続殺人犯カール・スターガー(ヴィンセント・ドノフリオ)の脳に入り、彼が拉致した女性の監禁場所を探り出して欲しいとFBIからの依頼を受けることに。こうしてキャサリンは、危険人物の潜在意識に入るという、前代未聞の危険な冒険に挑み始める。彼女が入ったスターガーの脳内は恐ろしく異様な世界だったが、そこにはまだ病んでいない小さな少年スターガー(ジェイク・トーマス)の精神も残されていた。少年スターガーは、暴力的な父であるスターガー・キングに虐待されており、それがスターガーのトラウマになっていたのだった。キャサリンはその残虐な光景に打ち拉がれ、一度現実へ戻るが、被害者への想いからもう一度スターガーの脳内に入っていく。そしてキャサリンは、いつしかスターガー・キングの虜にされてしまい、精神世界と現実を区別する能力を失っていくが、不気味な体験をした後、無事に現実の世界へと戻ってくるのだった。(KINENOTE)
監督:ターセム
出演:ジェニファー・ロペス/ヴィンス・ヴォーン/ヴィンセント・ドノフリオ/マリアンヌ・ジャン・バチスト
あの世界を視覚化できるとこがすごい
なかなかサイコでおっかない内容だった。精神世界に入るときの映像や、そこに入ったときの対象となる人間の心象風景の不可思議な描写。ああいうのを映像化するには作り手が持つヴィジョンを視覚化する必要がある。
俺は絵心がないので、仮にそうしたものを他人に伝えるためには言葉を使わざるを得ないが、そもそも言葉では伝達しきれぬ視覚像なわけだから、絵を描ける人って、ホントにすごいと思う。最近はコンピューターを使うテクがあればできるんだろうが、いずれにしてもその、視覚化できるその人の技術を羨ましく思うのである。
人の心なんて覗いてもいいことない
精神世界の中を現実だと認識してしまうとその世界に取り込まれてしまうらしい。で、その中で死んでしまうと現実の自分も死ぬと。他人の悪夢に取り込まれて死ぬなんて、嫌だねぇ。
他人の心の中というか心象風景というか精神世界なんて、この映画で描かれる通り、見ても気持ちがいいものではないだろう。知らぬが仏。他人はある程度、顔の見えない他者だからこそ、うまく付き合いができるもんではなかろうか。
にしても、夢を見ているときに、「これは現実ではない」と認識するのってけっこう難しくないですかね。俺は夢を見ているとき、「これは夢だ」と思っていたかどうか、覚醒したときにしか思い起こすことがないので、実際に見ている最中の自分が何を考えているのかって、よくわからんのだが。みんな違うのかな?
曲芸的自慰行為に笑った
てなことで、作品の内容について。ピーターが夢の中でキャサリンの個人的事情に触れて、現実でないことに気付かせるセリフ。あれはどうやって知ったンだろうね。一度だけ2人が個人的な事にも触れた会話をするシーンがあったけど、そこにはあのセリフはなかった。
恐らくピーターはFBIだし、捜査協力を要請する段階でキャサリンの履歴は知っているだろうから、そのくだりをカットしたのかそもそも端折ったんだろうけど、セリフに出しておいた方が伏線的な説得力があると思うんだが。あと、その会話シーン。ピーター思いっきりタバコの煙をキャサリンにかけてたけど、今あんな描写をしたら、どこかから苦情がくるんではないか(笑)。
もう一つ、サイコ野郎のカール。演じてたヴィンセント・ドノフリオはすごいと思ったけど、あの、自分の背中にフック付けて吊り天井状態でのオナニー(直接描写はないから、違うことしてる!?)、あれはムリだろ(笑)。どうやって成人男性の身体を宙吊りで固定できるほどのフックを自分の背中につけるんだよ。ずいぶん痛そうにオナニーしてたが、あの曲芸ぶりには笑った。
『パプリカ』に着想が似ていると思った
重箱の隅に突っ込んではいるものの、独自の映像美のある不可思議な映画で、それなりに楽しめました。作品そのもののモチーフは、俺の好きな作家、筒井康隆氏の『パプリカ』に結構似ていると思った(原作を一度読んだだけだけど)。この手の精神世界にダイブする人は、やっぱり女性のほうが向いているんだろうか。と自分で疑問視しておきながら、助けに来てくれた人がピーターみたいなオッサンだったら、普通はがっかりするわな(笑)。女性ならオッサンが来るほうが嬉しいもんなんだろうか。
ちなみに、続編があるらしいけど、主演とか全然違うみたいだから、きっと別物なんでしょうね。
夢か、現実かと言えば↓
元祖、サイコ野郎↓
ヘンテコ幻想世界の描写がある作品↓
コメント
曲芸的な○○行為についてです。
もうツッコミ多数でご存知だろうと願うばかりですが、
実在します。
○○行為としてではなく、ピアスやタトゥーと同じ感覚でなる方々がいます。
ご存じなくて、あんな発言をなさったかもしれませんが、もっと見識を深めてから
おっしゃった方がよろしいかと存じます。
確かに荒唐無稽かもしれませんが、社会的重要ポジションに居る方でも
多大なストレスからあのような行為を自分へのご褒美としている方々も居るのです。
世の中、思っているよりディープなものですね。
自分へのご褒美でああいうことをする人がいるんですね。個人的には、そうした行為そのものが性的な快感になることがあると思いますが、そうでなくてもやりたい人もいるんですかね。この作品のあのシーンで思ったのは、どうやって誰の力も借りずに自分を吊り下げるような状態になったのかということです。で、別にそういうご褒美を好む人がこの世にいるのは全然いいことだし、社会的重要なポジションで多大なストレスをかかえてようが、ストレスがまったくない人がそれを好もうが、どっちでもいいことだと思います。自分も含め、みんな人には言えないディープな部分は持っているものだと思っていますので。キキさん、コメントありがとうございました。
主さんが見識浅い訳ではないと思う。
知っていて当たり前のことを知らない場合なら見識浅いのかもしれないけど、こんなマニアックなこと一部の人しか知らない。
それを自分が知ってるからってマウントして「見識深めてから仰った方がいい」ってコメ呼んで鼻で笑えました。
それこそこっけいで一方的に自分の欲を満たす曲芸的◯◯行為ですね^^
自分があの曲芸のくだりについて言いたいのは、どうすれば自力であの状況をつくれるのかってことであります。そこに笑ったのであり曲芸的〇〇をしちゃう人を笑ってるわけではないんです。文章が下手なので誤解を招くかもしれないですが、読み手によっても理解や解釈など受け取りかたは変わるでしょうから、コメントもらえるのは勉強になるしありがたいです。てなことで、みみみかんさん、コメントありがとうございました!