カード・カウンター
軍の刑務所に服役していた経験のある主人公。出所後はギャンブラーとして生計を立てていたが、ある二人の人物と出会ったことで彼の過去が明るみになっていく。ギャンブルのスリリングさを味わえる内容かと思ったら全然違った(笑)。けどいい作品です。ネタバレあり。
―2023年公開 米=英=中=瑞 112分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:アメリカが掲げた「テロとの戦い」のもと戦争犯罪の十字架を背負い続けるギャンブラーが、ある出会いをきっかけに、復讐と贖罪を賭けた人生の勝負に挑むミステリアス・スリラー。「タクシードライバー」から45年、監督のマーティン・スコセッシが製作総指揮、脚本のポール・シュレイダーが監督・脚本という強力タッグが実現。刑務所で8年間服役した元上等兵の主人公ウィリアムを、カンヌ受賞作「インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌」のオスカー・アイザックが魅惑的に演じる。ウィリアムと運命的な出会いを果たすカークを「X-MEN:アポカリプス」でアイザックと共演したタイ・シェリダン、ラ・リンダをコメディアンとしても人気のティファニー・ハディッシュ。第78回ヴェネチア国際映画祭のコンペティション部門正式出品。(KINENOTE)
あらすじ:幽霊のようにカジノからカジノを渡り歩くウィリアム・テル(オスカー・アイザック)は、風変わりなギャンブラーだ。米国軍刑務所で8年間服役し、独学で「カード・カウンティング」と呼ばれるカードゲームの勝率を上げる裏技を学んだ彼は、「小さく賭けて小さく勝つ」がモットーで目立たず、匿名でいることを好む。ある日、ウィリアムはギャンブル・ブローカーのラ・リンダ(ティファニー・ハディッシュ)と出会い、大金が稼げるというポーカーの世界大会への参加を持ちかけられる。一度は断ったウィリアムだったが、その直後、アトランティックシティで二人の男と遭遇する。一人は、かつて上等兵だった自分に“消えない罪”を背負わせた男ジョン・ゴード(ウィレム・デフォー)、もう一人はウィリアムにゴードへの復讐を持ちかける若者カーク(タイ・シェリダン)だった。ラ・リンダとカークとの運命的な出会いが、ウィリアムの心を駆り立てる。彼はラ・リンダにコンタクトを取り、世界大会のテーブルに座る。(KINENOTE)
監督・脚本:ポール・シュレイダー
出演:オスカー・アイザック/ティファニー・ハディッシュ/タイ・シェリダン/ウィレム・デフォー
ネタバレ感想
超適当なネタバレあらすじ
ウィリアムは軍人だった頃、ある任務で捕虜にした兵士を尋問する作戦に参加していた。これがまぁ、尋問というより拷問。そのプログラムを進めていたのが、ウィリアムデフォーが演じるゴード。ウィリアムはゴードの命令に従っただけとはいえ、嬉々としてその任務に就いていた。その後、そのプログラムが明るみになったせいで、彼は服役することに。なのにゴードやそれ以外の上役どもは罪に問われることなく普通に暮らしていたのである。
ウィリアムは出所後にギャンブルで小銭を稼いでいたが、あるカジノ場で、彼に出資したいと申し出てくる女性=ラ・リンダと出会い、さらにはコンサルタントみたいな感じで講演をしてるゴードの姿を目にする。そしてその講演会に出てたタイシェリダン扮するカークに声をかけられて連絡先を渡され、後で連絡してみたら、カークの親父もウィリアムと同じ仕事をしたせいで身を滅ぼしていたことを知る。
ウィリアムは乗り気ではなかったが、リンダの申し出に乗って大きく儲けるギャンブルをすることに。そして、カークもそのビジネスに同行させることにした。なぜなら、親父の仇討をしたいカークを思いとどまらせたかったから。
んで、それは成功しそうになるんだけども、カークはウィリアムに内緒で一人、ローグの家に侵入して返り討ちにあい死亡してまうのである。それを知ったウィリアムはビジネスを放棄してローグ宅に乗り込み、ローグに拷問バトルを仕掛け、見事勝利。その代償に、またしても刑務所に入ることになるのだったーーというのが超適当なあらすじ。
シーツで覆うのは刑務所生活の再現か
アマゾンプライムで見つけて鑑賞。ギャンブルの天才が強敵を出し抜いて勝ち抜いていく姿を描いた作品かと思ってたら全然違った(笑)。そういう描写はなくもないんだけど、主人公のウィリアムは金儲けよりも目立たずに生きることを目指しているので、ギャンブルは生計を立てるための手段に過ぎないのである。
しかし、上記に書いた通り、リンダやカークと出会ったことで彼は過去を清算する運命をたどることになるのだ。
繰り返しになるが、想像と全然違う話で内容もかなり重い感じ。でも、描かれる尋問プログラムみたいなのは実際にあった話で、『ゼロダークサーティ』や『ザ・レポート』なんかでもそのことが描かれていましたな。
ウィリアムはムショでカードの極意を覚えたらしい。劇中、ところどころでギャンブルの心得などを開陳してくれるが、俺には経験がないので何のことを言ってるんかさっぱりわからんかった。
彼は娑婆に出てからはモーテルみたいな施設を転々として暮らしてるわけだが、部屋全体を白いシーツで覆っているのは、おそらく白い壁に覆われたムショのような環境で生活するほうが精神も落ち着くし、慣れていたからだろう。自身も「ムショ暮らしが性に合っている」というようなセリフを言うシーンがいくつかあるからね。
あと、命令とは言え、自分が加担した作戦への罪の意識からか、常にムショにいるべき人間なんだーーという思いもあるのかもしれない。ではラストバトルでローグの家の内装をシーツで覆ったのはなぜか。ローグもムショに行くべきという思いなのかどうか。その辺はようわからん。
でまぁ最終的にいろいろあって、ウィリアムはカークの仇討をする道を選ぶのだ。ラスト、恋仲になったけど彼の過去を知らないリンダが、真相を知って後に面会に来てくれるところが救いになっているように感じた。
予想外の展開に驚きはしたものの、淡々と進む物語の中にハードボイルドさを感じる、いい作品でしたな。
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