ラスト・ターゲット
イタリアの田舎町で身を隠す、ジョージ・クルーニー扮するモテモテな殺し屋男の末路を描いた作品。なんだかアメリカ映画らしからぬ静けさがある内容だった。ネタバレあり。
―2011年公開 米 105分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:英国人作家マーティン・ブースの『暗闇の蝶』を「コントロール」のアントン・コービンが映画化。裏社会からの引退を決意した孤高の暗殺者の姿を描く。出演は「マイレージ、マイライフ」のジョージ・クルーニー、『恋するショコラ』のヴィオランテ・プラシド、「アンナとロッテ」のテクラ・ルーテン、「スカーレット・ディーバ」のパオロ・ボナチェッリ。(KINENOTE)
あらすじ:スウェーデン、ダラルナ。暗殺を生業として生きるジャック(ジョージ・クルーニー)は、連れの女と雪原を歩いているところを狙撃される。一瞬の間にスナイパーを返り討ちにすると、一緒にいた女も撃ち殺した。彼女も敵の一味だったかもしれないと疑惑を胸に秘め、ジャックは雪原を後にする。イタリア、ローマ。ジャックは“組織”の連絡係、パヴェル(ヨハン・レイセン)と接触。身を隠して連絡を待てと指示を受ける。ジャックは、城塞都市の名残を残す町、カステル・デル・モンテでアメリカ人カメラマンとして、小さな部屋に身を落ちつけた。その日から体力維持のための室内トレーニングと双眼鏡での屋外観察が彼の日課となり、食事に招待してくれたベネデット神父(パオロ・ボナチェッリ)と知り合う。ある日、パヴェルから潜伏中の仕事として狙撃ライフルの制作を依頼されたジャックは、マチルダ(テクラ・ルーテン)という若い女に会う。彼女から減音器付き狙撃ライフルの仕様説明を受け、早速制作を開始。銃身部は郵送で取り寄せ、足りない部品はベネデット神父の息子が営む怪しげなガレージを訪ねて譲り受けた。だが組み立て作業もほぼ終わったある晩、ふと立ち寄ったカフェの主人からジャックは一通の封筒を受け取る。中にはスウェーデンのあの殺しの記事の切り抜きが一枚入っていた。そんな中、ジャックはなじみの若い娼婦クララ(ヴィオランテ・プラシド)と昼間のカフェでばったり出くわす。売春宿の暗い室内では見えなかった明るく美しい表情に魅かれ、その後も逢瀬を重ねるうちに彼はこれまで歩んできた孤独な人生では感じられなかった悦びを知り、クララと共に生きることを決意する。そして今回のライフル制作を最後の仕事としてこの世界から足を洗うとパヴェルに告げる。街道沿いの食堂で、ジャックは特製スーツケースに仕込んだ狙撃ライフルと弾丸をマチルダに引き渡した。無事最後の仕事を済ませ、大金の支払いを受けたジャックは、一路クララが待つ“聖体行列”見物に向う。しかしそこでは思いもよらぬ運命がジャックを待ち受けていた……。(KINENOTE)
監督:アントン・コルベイン
出演:ジョージ・クルーニー/ヴィオランテ・プラシド/テクラ・ルーテン/ヨハン・レイゼン
ネタバレ感想
ジョージ・クルーニー扮する殺し屋は、殺しだけでなく銃のカスタムもできる凄腕。だから恐らく、仕事の依頼はすべて完遂してきたであろうと思われる男だ。そんな彼が、ある仕事を終えた後、知り合った女性とスウェーデンの山奥でイチャイチャしていたら、スナイパーからの狙撃を受ける。
何とか敵の攻撃はかわしたものの、イチャイチャしていた女性もグルなんではないかと疑ってクルーニーはためらいもなく彼女を射殺しちゃう。酷い。でも彼女は普通の一般人だったことがわかり意気消沈。
で、仕事の斡旋をしてくれる男と連絡を取り、イタリアの田舎町で身をひそめることに。そのときに仕事の依頼がくる。内容は、あるスナイパーのために特注のライフルを製造してあげること。そのスナイパー、けっこうな美女。どんなカスタムをしてほしいのか面会をしている最中、ムラムラしてくるクルーニー(俺の想像)だが、そこは我慢して町の娼婦に相手をしてもらう。彼のお気に入りの娼婦はクララと言って、これがまた美人。
まぁそんなこんなでいろいろある中で、彼はクララのことが好きになっちゃう。惚れてまうのだ。クララも彼のことを好きになっている。てなわけで、最後の依頼を終えたら足を洗ってクララと結婚しようと決心するんだけども、実は、美人スナイパーの標的はクルーニーだったのだ。
つまり、仕事を斡旋してくれる男が彼の命を奪おうとしていたのである。たぶんだけど、冒頭で彼の命を狙ってきた複数の相手の中に、この美人スナイパーもいたのかもしれぬ。まぁそれはいいとして、クルーニーはカスタムした銃が暴発するように仕掛けておいて、美人スナイパーの狙撃を失敗に終わらせて返り討ちに(このスナイパー、標的が作った銃なんだからもう少し疑えよとは思わんでもない)。
瀕死の美人スナイパーから黒幕の正体を知ったクルーニーは、イタリアまで自分を追ってきたそいつも返り討ちにする。
しかし、自分も弾をくらってしまい、クララとの待ち合わせ場所にしていた約束の場所にたどり着くも、そこで息を引き取るのであった――というのが適当なネタバレあらすじ。
冒頭にも書いたように、ともかく静かに物語が進むので、眠い時に鑑賞すると眠ってまう恐れのある睡眠薬映画。アメリカ映画らしからぬ静謐さもあるし、何だかフランス映画を観ているような気分。とはいえ、内容がつまらないわけではない。イタリアの田舎町は風情があって観ているだけでも楽しい。つまり作品の舞台が物語の静けさにマッチしている。
クルーニーが絡む女性はみんな美女であるのは羨ましいが、彼は渋い男であるからその辺は当然であるのかもしれぬ。にしても、女性と触れ合わずにはいられない男が、あのようなラストを迎えるのは必然として、関わった美女たちは気の毒ではある。この手の映画では、犯罪者もそれに絡む女性も、ほとんど幸せになれないんだよね。
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