ロード・インフェルノ
妻子を連れて両親が待つ実家へ車で向かっているオッサンが、いろいろなことがってイライラしてるのに、前を走る車のノンビリ運転にさらにイライラさせられて、煽り運転したら家族ともども酷い目に遭う話。子どもの使い方が効果的。ネタバレあり。
―2019年製作 蘭 85分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:2019年末にユトレヒトで開催されたオランダ映画祭(英語版)で上映され、その後2019年10月31日に全国で初演された。日本での公開は2020年7月3日にヒューマントラストシネマ渋谷にて開催された「未体験ゾーンの映画たち2020 延長戦」が初演。キャッチコピーは「あおり運転した相手がイカれたサイコパスだった!!」。(KINENOTE)
あらすじ:あおり運転した相手が、イカれたサイコパスだった車で実家に向かうハンスは苛立っていた。口うるさい妻、騒ぐ娘たちクラクションを鳴らし、車間距離を詰めるそれは決してあおってはいけない車だった。(KINENOTE)
ネタバレ感想
アマゾンプライムで見つけて鑑賞。謎のドライバーに死ぬほど追いかけまわされる話っていうと、やっぱりスピルバーグの『激突!』を思い出しちゃう。亜流だと『ヒッチャー』とか『ロードキラー』シリーズとか。最近だと太っちょになったラッセルクロウの『アオラレ』とかもあったよなぁ。
で、今作はオランダの作品らしく、話の内容としては冒頭に紹介したとおり。今作の主人公ハンスは大した男ではないんだが、プライドが高いし怒りっぽいのか、しょうもない理由でオッサンの車を煽ったら酷い目に遭うわけだ。
まぁああなっちまうのもわからなくもない。出かける準備が遅れちゃう妻や、娘二人は喧嘩したり何なりでうるさいし、道路は渋滞してるからな。
車を運転してるときに人が変わっちゃうのはよくある話。俺も今は車のない生活をしてるけども、一人で車中にいると、気分のいいときは歌も歌えて楽しいんだけど、あまり面白くもないことがあったり、マナーの悪いドライバーに危ない目にあわされたりすると、イライラしちゃって気が大きくなって怒っちゃうこともあったなぁなんて思い出す。
で、ハンスはその感情の爆発が素直過ぎて、迷惑された相手にそのまま感情のベクトルが向かっちまうんだな。この辺が子ども過ぎて残念な感じだが、まぁ自分も含めて人間なんてそんなもん。最終的には家族の前で裸になって母親からシャワーの水をかけられちゃうという屈辱を味わうことになる。この辺の皮肉が今作の面白さ。
ついでに、子ども2人の存在がけっこう効果的。サイコなオッサンにファストフードなんて食ってたら将来ガンになるって脅されて、素直にそれを信じちゃうところが子どもらしく。しかもあんだけ怖い目にあわされたジジィが最後、「君らはいいけど、両親はアウトだな(超意訳)」ってなこと言われて、今後の災厄をほのめかされてるのに、恐ろしすぎて両親にそのことを告げられない。
それによってラスト、ハンスは恐らくひき殺されちゃったんだろうなぁと思わせて物語は終わる。たぶん、奥さんもすでに葬られたか、この後に殺られちゃうんだろうねぇ。気の毒だが。
で、サイコパスなジジィは謝罪のチャンスをあげるんだけども、彼の望むタイミングでそれが成されないと、ハンスや冒頭の自転車の兄ちゃんみたいに執拗に追われることになるのだ。て考えると、君子危うきに近寄らず。ヤバいなと思ったら自分からサッサと誤って事を済ますのも処世術であると思わされる。
とは言え、相手がどんな奴なんてわかりゃしないんだから、それ以前になるべくトラブルを避ける行動が必要って考えると、嫌な目にあってすぐに激情するよりは、冷静に一歩引いて、自分の感情を顧みる必要があるんだろうねぇ。とはいえ、そんなことできれば苦労はないわけで、まぁともかく、短い時間でサクッと観られるので、暇つぶしにはイイ感じの作品でありました。
にしてもあのサイコパスジジィ、何であんなにパワーがあるんだろうか。強すぎるし怖すぎ(笑)。
コメント