アオラレ
夫と離婚協議中のおばさんが息子を車で学校へ送ってる途中、前の車にクラクション鳴らしたら、その運転手の男がブチ切れてあおり運転の餌食になる話。男はサイコ。おばさんも好感度低め。ストレス社会にファックオフな作品。ネタバレあり。
―2021年公開 米 90分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:ラッセル・クロウ主演のアクションスリラー。シングルマザーのレイチェルは、自動車で息子を学校に送り届ける途中、前のクルマを追い越したことから、その運転手の男と口論に。これをきっかけに、レイチェルは常軌を逸した男の行動に追い詰められていく……。共演は「移動都市/モータル・エンジン」のカレン・ピストリアス、「チャイルド・プレイ」(19)のガブリエル・ベイトマン。(KINENOTE)
あらすじ:美容師として働くシングルマザーのレイチェル(カレン・ピストリアス)は、今日も朝寝坊してしまい、慌てて息子のカイル(ガブリエル・ベイトマン)を学校へ送り届けながら職場へ向かう。ところが、高速道路は大渋滞。度重なる遅刻がたたり、クビを言い渡されてしまう。最悪の気分のまま、赤信号で停止するが、青信号に変わっても前の車が発進しない。クラクションにも反応しないことにイラついたレイチェルは、思わず追い越してしまう。すると、その車を運転していた男(ラッセル・クロウ)が、“運転マナーがなっていない”とクレームをつけ、謝罪を求めてくる。それを拒否して車を出すレイチェル。話はそれで終わったかに思われたが、息子を学校に送り届けた後、立ち寄ったガソリンスタンドの売店で、その男に尾行されていることに気づく。さらに、店員から“あおり運転の常習犯”と警告を受けたレイチェルが車に戻ると、ある異変が……。だが、時すでに遅し。信じられない執念に駆り立てられた男のノンストップの“あおり運転”が、レイチェルに襲い掛かる……。(KINENOTE)
監督:デリック・ボルテ
出演:ラッセル・クロウ/カレン・ピストリアス/ガブリエル・エイトマン/ジミ・シンプソン/オースティン・マッケンジー
ネタバレ感想
肥えまくったラッセルクロウが見たくて鑑賞。この作品のための役作りとは思えないくらい、この人太ったよね。そのピザ野郎っぷりが、今作ではパワー系サイコ野郎な感じを醸しててグッド。
冒頭は彼が殺人者になる様が描かれる。詳細は忘れちまったが、彼は仕事もないし家庭もうまくいってないようで、イラつきまくった結果、恐らく元は自宅だったと思われる家の住人を殺し、家を燃やしてまうのだ。
もはや失うものが何もなくなった男は、社会を敵に回そうが何をしようが関係ない。先の未来に何も期待をしなくなったので、無敵の存在になったのである。
作品の冒頭でストレス社会を強調するさまざまなニュースが流されて、人心の荒廃ぶりが描かれるが、その背景にあるのは、資本主義、新自由主義の拡大によることが影響であると想像できる。
二人の主人公はこうした社会背景による犠牲者ともいえるが、そうとは言え、男のほうはサイコ野郎であるし、レイチェルについてもあまり感情移入できるタイプの人間ではない。息子に諭されていたように、最初に誤っておけば、あんなことになってないからね。相手に寛容になれないくらいに自身がイラついていたんだろうけど、こういう対応しちゃう人って増えてるんだろうなぁ。
そうした二人に振り回される周りの犠牲者はたまったもんではない。ガソスタの兄ちゃんはイケメンでかっこよかったのに、気の毒だなぁ。息子もそうだし、レイチェルの弟は焼き殺されかけたものの、一命をとりとめて喜ばれてたが、その彼女は死んじゃってるからね。しかも、図らずも弟が殺しちゃってるわけだから、トラウマ級の体験になったであろうことは想像に難くない。
まぁともかく、ラッセルクロウ演じる男を見てると、『フォーリングダウン』のマイケルダグラスが可愛く見えてくる。物語の端々で、この男はそれなりにまともな人間であったことを匂わせる言動がある。でも、何かの拍子でサイコ野郎になってまうのだ。俺だってそうなってまうかも。ある意味、あの男の狂気は度が過ぎているとはいえ、他人ごとではないのだ。
俺も今は車を持ってないとはいえ、運転中にけっこうイラついちゃうタイプの人間だから、身につまされる部分はある。
社会は『フォーリングダウン』が上映されてた90年代よりもディストピアになってるんだなぁと思わせる作品であった。
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