エコーズ(1999)
催眠術にかけられて霊が見れるようになったケビンベーコンが、だんだんおかしくなってきて自宅に穴を掘り続ける話。ネタバレあり。
―1999年製作 米 99分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:『激突!』『ある日どこかで』などで知られる作家リチャード・マシスンの『渦巻く谺』を、「宇宙戦争」「パニック・ルーム」の脚本家デヴィッド・コープが映画化。突然霊が見えるようになった男が、ある殺人事件に巻き込まれていくサスペンス・ホラー。主演は「ミスティック・リバー」のケヴィン・ベーコン。(KINENOTE)
あらすじ:毎週どこかの家で、近所のみんなが集まりパーティーが開かれるシカゴの平和な町。配線工のトム(ケヴィン・ベーコン)は妻のマギー(キャスリン・アーブ)と一人息子のジェイク(ザカリー・デヴィッド・コープ)の3人で引っ越してきたばかりだった。トムはこの町で平凡だが幸せな暮らしを送っていた。しかしある日パーティーの余興として、義姉のリサ(イレーナ・ダグラス)に催眠術をかけられたことから、生活は一変してしまう。催眠術や心霊現象など信じていなかったトムだったが、リサの誘導により、あっけなく深い催眠状態に落ちた。トムは痛みを感じずに針で手を刺され、昔のいじめっ子の思い出を聞かれるままに語った。普段から「頭が固すぎる」とリサに罵られていたトム。催眠が解かれる直前、リサのほんの出来心から「精神の扉を開け」と暗示をかけられてしまう。目覚めたとき、それまでトム自身も気付いていなかった能力が覚醒された。その夜トムは、半年前から行方不明になっている少女、サマンサの幽霊を見てしまう。何か言いたげに、悲しげな瞳で彼をじっと見つめるサマンサ。以来、彼女の失踪に関わるこの映像が昼夜を問わず、突然彼を襲うようになる。断片的な映像はとても暴力的で、トムは頭痛と精神的なダメージに悩まされた。さらにその映像は、サマンサは事故や自殺ではなく、何者かによって殺されていたことを示していた。突然自分を襲った信じがたい現象に疲労したトムは、次第に苛立ちを隠せなくなり、周りから距離を置くようになる。しかし映像は止まることなく、ついにトムは普段の生活さえ送れなくなってしまう。リサに事情を説明し、何とか催眠術で再び「扉」を閉じようとするトムだったが、今度は催眠中に「掘れ」という啓示を受け、目覚めたときには何かにとりつかれたかのように庭や床下を掘るようになってしまう。トムの奇怪な行動に周囲は唖然とするばかりで、ついには彼のよき理解者であったマギーさえも、息子を連れて出て行ってしまう。一人残されたトムはさらに新しい映像に襲われる。サマンサ失踪の真実が明らかになった時、トムの身にも危険が迫っていた。(KINENOTE)
監督・脚本:デイヴィッド・コープ
原作:リチャード・マシスン
出演:ケヴィン・ベーコン/キャスリン・アーブ/イレーナ・ダグラス/ザカリー・デヴィッド・コープ/ケヴィン・ダン
ネタバレ感想
自分が何者かになれる思っているんだけど、大した仕事もできなくて、妻子もある身なので金も稼がなければならず、紋々と日々を過ごしているトム=ケビンベーコン。ある日、友だちのパーティで催眠術をかけてもらったら、眠っていた潜在意識が解放されて、自宅に居座っている霊が見えるようになっちゃう。
なんとか元の自分に戻りたいんだけども、それが叶わず、だんだんノイローゼみたいになってきて、家庭は崩壊しかかってくる。なんとかせねばと霊の導きに思われる指示に従い、自宅に穴を掘りまくってたら死体が。その死体は地元で行方不明になっていた女性で、彼女は近所のガキ2人に殺されていたのだ。しかも彼女の遺体をトムの自宅の壁に埋めたのは、ガキ2人の親たちだったのだーーというのが超適当なあらすじ。
アマゾンプライムで鑑賞。ケビンベーコンがまだ若い。最後まで観られなくはないが、観ても観なくてもどうでもイイ感じの内容。ケビンが、まだまだ人生に何かがあるんじゃないかと思って、平凡に終わりたくないと思っているところなんてのは、中年の俺にとっても共感できる部分はあった。でも、その設定って奥さんとのすれ違いに使われるだけであって、あんまり意味を成してないような。
何で催眠によって霊が見えちゃうようになったのか、その辺もよくわからん。ついでに、トムが自分が隠そうとしている過去のトラウマみたいなんがあるようなシーンが出てきたり、過去にきいたことがありそうなのに思い出せない曲があるような描写も、物語に大して関係ないように感じた。
関係ないと言えば、トムの息子が霊が見える能力者であることに気付いて、しかも親父であるトムにも同じ能力が発言したことを知ったおっさん。オッサンはトムと喋り違って呼び出してたのに、なぜか奥さんがそっちにおしかけて、トムには彼の存在を教えない。この辺のくだりなんかも物語に出てこなくても全然成立しちゃうと思うので、あのオッサンも必要ないのでは。
そもそも奥さん、なんでトムにそのことを話さないのか。この辺のトムと奥さんのすれ違いシーンが見ててイライラしちゃう。お互いにお互いの立場を考えて歩み寄り、心情を吐露できてないので、どんどんドツボにハマっていくくだりが長すぎ。ちゃんと説明しないトムもウンチ、おかしなことが起きているのはわかってるくせに、理解を拒否してトムが狂っていってると思ってる奥さんもウンチ。それを見てるとイライラする。
でまぁ、最終的に事の真相がわかって、トムと息子の前に現れてた霊は行方不明の近所の女性だったわけだが、あんなん、誰が彼女を亡き者にしたのかなんて、登場人物観てればなんとなくわかってきちゃうので、ラストの種明かしにも特に驚きはない。鑑賞してるほうからしてみれば、「早く気づけよ!」くらいにしか思えない。
さらにラスト。夫婦は仲を取り戻して別の街に引っ越していく。しかし、息子の霊を見る能力は未だ健在ーーてことが示唆されて終わる。そらそうだ。息子の能力は健在だ。別に彼の能力を消し去るのが物語の目的ではなかったんだし、あんな思わせぶりなラストにされても、「だから何?」でしかない。
穴を掘り続けるケビンベーコンが見たい人以外にはオススメできませんな。
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