ザ・マーダー 連続殺人事件
富豪の家に嫁ぐことになった女が、いわくありげな新郎一家に惑わされる中で、命の危険にさらされる。しかも、家の関係者が何者かの手によって殺されていき、いったいどうなっちまうのかという話。ネタバレあり。
―アマゾンプライム配信 88分―
あらすじ・スタッフとキャスト
あらすじ:新婦が納屋の火事で死亡してから10年。男は再び新たな新婦を迎えた。広大な敷地の新郎の実家で結婚式の準備が行われる中、新婦の命に関わる事故が立て続けに起こる。更にはその事故に関わったであろう関係者も、次々と何者かに殺されていく。家族愛が狂気へ変わるミステリーサスペンス!(amazon)
監督:サム・アーヴィン
出演:アンナ・ハッチソン/ジェイソン=シェーン・スコット/メリッサ・ボローナ
ネタバレ感想
アマゾンプライムで見つけて鑑賞。なんともチープなつくりの連続殺人事件話。テレビ映画か何かだろうか。最初から期待せずに観たのでいいんだけど、全然面白くないです(笑)。
新婦のディアナが新郎であるカールの家に招かれて結婚式の準備を進めるわけだが、ディアナとカールは付き合いが浅いため、それぞれがどんな人間かは知っているものの、過去のことなどで共有できてないことが多い。特に、カールにはいろいろ秘密があって、彼の実家でディアナは、彼の母親や義理の妹であるルビーらと関わる中で、カールの過去を少しずつ知ることに。
それもカールから告白があるというよりは、不審な出来事が起こるたびにディアナがそれを問いただし、彼の過去に暗いものがあったーーというのがわかる展開になってて、カールの怪しさ全快。ディアナはそれにより結婚すら躊躇するようになっていく。
怪しいのはカールだけでなく、彼の母親は息子を溺愛しているようで、結婚式の進め方にいちいち口を出してくるし、ルビーもルビーで義兄をかなり慕っているようで、物語が進むにつれてその慕いぶりが異常であるように見えてくる。
さらに、屋敷の使用人の中にも足の悪い、いわくありげな管理人がいるし、結婚式のプランナーはカールの元カノだし、ともかく、ディアナ目線で鑑賞してると、出てくる登場人物のすべてが怪しい。
その怪しさ満点の人物たちが登場する中で殺人事件が立て続けに起こるという意味では、この物語は誰が殺人犯で、それは何の目的に行われてるのかというのを楽しむ内容なんだということがわかってくる。
で、ネタバレしていくと、犯人はルビーなんである。ルビーは拾われてきた子らしく、カールの父は彼女を養子にしたいと思ってなかったが、カールと彼の母親はルビーを迎え入れてやりたかったらしい。それで、ルビーは父親を事故に見せかけて殺害(どうやったのかは不明)。そして、その際に父親の親友だった足の悪い男(後の管理人)も事故に巻き込まれたのだと思われる(だから管理人は足が悪くなったのだろう)。んで、その後にカールの婚約者を納屋で焼き殺す。
そんで10年後(だったと思う)にカールの新たな婚約者として現れたディアナを殺すべく、今回の殺人事件が起こったのだ。まず、ディアナがココナッツアレルギーだと知ったルビーは、ディナーで提供されるケーキにココナッツパウダーみたいのを隠れて散布する。ところがその現場を料理人のセバスチャンに発見されて咎められ、このままではまずいので、何らかの方法で彼を殺害するのだ。
見事ココナッツパウダーを口にしたディアナは瀕死になるが、一命をとりとめた。そこでルビーは次の手を考えることになる。みんなでクルージングに出た際に、ディアナがカナヅチだと知ったルビーは、彼女を溺死させる作戦を思いつく。
んで、結婚式用の写真を撮影する際に、クルーザーの手すりに細工をして外れやすくしておいて、そこによっかかってディアナを撮影するシチュエーションをつくり、見事ディアナをクルーザーから落下させる事故を起こすことに成功。ところが、カールがディアナを助けたので、作戦は失敗に終わるのだった。
その事件後、プランナーは何か腑に落ちないものを感じてクルーザーに戻ってくる。彼女は元々カールと付き合ってた経緯があるので、一家の怪しさを知っていたようで、特にルビーに対して不信感を持っていたらしい。そんで、クルーザーの手すりを調べたら細工があって、それを証拠としてカメラに収めるのだ。
ところが、そこにルビーがやってきて彼女を何らかの方法で殺害する。しかも、その現場は管理人に見られていた。管理人は心臓が悪く薬を服用しているが、その薬を部屋に忘れてきたことを思い出し、必死に部屋に戻るが、薬はルビーに盗まれており、彼は部屋に戻ったはいいが薬を飲めずに発作で死亡する。
ディアナを殺す計画がうまくいかないルビーは段々と本性をあらわにして、結婚式当日に周りがドン引きするくらいのディアナdis、兄貴loveな告白をかます。そんで、なんとかディアナを納屋におびき寄せることに成功し、前の婚約者と同じような方法でディアナを焼き殺そうとするが、失敗。
返り討ちに遭い、自分が火傷を負って精神病院みたいなところにおくられてまうのであった。そして、ディアナとカールは晴れて結婚し、子どもを授かってる幸せな描写があって劇終である。
誰もが怪しそうに見えていたが、カールは単に母親と義理の妹に対して自己主張できないマザコン、シスコン野郎? で母親は息子を溺愛しているというある意味家族ドラマ的な登場人物で、愛に飢えていた異常者がルビーだったという結末。そして彼女が殺人を犯していたという。
ただそれだけの話であって、だから何なの? という内容であった。最初のほうに書いたように、この話を面白く観るには、犯人が誰なのだろうかという興味を持続させることであって、それにはある程度成功してるように見えるけども、その殺害方法に突っ込みどころありすぎるし、真犯人がルビーだったとか言われても、そこに何の驚きもなく物語がおわってしまう。
どうツッコミどころがあるかというと、元婚約者殺しはいいとして、セバスチャン殺しをどうやったのかが不明。なぜか警察は事故扱いをしてそのまま葬式になってたけど、どうやって殺したかを描写しないため、彼の死が事故扱いになることに納得がいかない。
プランナー殺しは証拠を掴まれたから殺害したってのはいいとして、ルビーがディアナが泳げないのを知ったのはクルーズ始める直前なのにも関わらず、どうやってあの細工をして、さらにあそこで写真を撮るシチュエーションをつくれたのか、そこがいきあたりばったりにしか見えなくて、無理がありすぎるような。
ルビーが行うセバスチャンから始める一連の殺しのシーンでは、殺す相手がすべて、自分の顔見知りだということがわかるようになっている。プランナーと管理人殺しの際には、「やっぱりお前がやったのか」みたいなことを言われてそれぞれ2人は殺されるので、もともとルビーが怪しいと思っていたのだ。だったらもう少し早く事件を明るみに出せそうな気がするんだが、この作品の登場人物は事なかれ主義なのか事を荒立てることはしない。その辺がなんともご都合主義的に感じてしまって乗り切れないのであった。
ついでに、ディアナは彼の家に来る前まで結婚にノリノリで、「彼はパーフェクトな男だわ」とか抜かしてたけど、それは単に付き合いが浅かっただけで、その後に起きたことを考えると彼女の目が節穴としか思えない。そもそも、あんな顎が長くて青髭がすごいオッサンが全てにおいて完璧とか言われても、あまり説得力がない(笑)。
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