ストーカー
―2002年制作 米 98分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:幸福な家族に憧れる孤独な中年男が、だんだん狂気に踏み込んでいく様を描くサイコ・スリラー。監督・脚本は「天国からの中継」(未)のマーク・ロマネク。撮影は「K-19」のジェフ・クローネンウェス。音楽は「ラン・ローラ・ラン」のラインハルト・ハイルとジョニー・クリメク。音楽監修は「アメリカン・ビューティー」のクリス・ドゥリダス。美術は「ザ・セル」のトム・フォーデン。編集は「裏切り者」のジェフリー・フォード。衣裳は「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」のアリアンヌ・フィリップス。出演は「インソムニア」のロビン・ウィリアムス、「グラディエーター」のコニー・ニールセン、「2番目に幸せなこと」のミシェル・ヴァルタン、オーディションで選ばれた子役のディラン・スミス、「ギフト」のゲイリー・コール、「ジェイコブズ・ラダー」のエリック・ラ・サールほか。(KINENOTE)
あらすじ:大型ディスカウントショップのスピード現像カウンターで働く中年男、サイ・パリッシュ(ロビン・ウィリアムス)。長年、真面目に仕事に携わってきた彼だが、私生活では家族も友人もいない。そんなサイは、常連客である主婦ニーナ・ヨーキン(コニー・ニールセン)の幸福な家庭に憧れている。いつしか彼は、ヨーキン家のスナップ写真を密かに自宅の壁に貼り、自分が家族の一員になる空想にふけるようになった。しかし実際のヨーキン家は幸福ではなく、ニーナは夫ウィル(ミシェル・ヴァルタン)との諍いが続く日々。そしてある日、サイは上司のビル(ゲイリー・コール)から解雇を告げられる。さらにサイは、ウィルがマヤ(エリン・ダニエルズ)という女性と浮気していたことに気づいた。すべてを失ったサイは激情にかられ、家族を裏切ったウィルに代償を支払わせようと、ウィルとマヤを脅して2人が裸で絡んでいる様を撮影。しかしヴァンダージ刑事(エリック・ラ・サール)が追ってきて、まもなく逮捕されるのだった。(KINENOTE)
監督・脚本:マーク・ロマネク
出演:ロビン・ウィリアムズ/コニー・ニールセン
ネタバレ感想
ロビンウィリアムズの作品ってあんま紹介したことがない。今作は存在知らなくて、レンタルで見つけたので鑑賞。
名優と呼ばれたロビンウィリアムズが変人を演じるとなると、その狂気へ陥る様や殺戮シーンなどはかなりの迫力なんだろうと期待したけども、サイコサスペンス的な変態殺人鬼映画ではまったくなく、いたって地味な内容だった。
そういう意味では肩透かしではあるものの、ロビンウィリアムズの演技はさすがで、孤独な中年男の悲哀がうまく描かれていると思う。
要するにこの作品は、恋人も家族もおらず、仕事をして家で一人過ごすだけしかやることのない寂しい男が、勤め先のお客の家族に羨望を感じ、自分もその中の一員であることを妄想するしか生きがいがないという、その寂寞とした人生と結末の悲しさを描いた作品なんだと思われる。
ということで、ロビンウィリアムズ扮する写真のDPE店の店員であるサイは、ヨーキン一家の幸せそうな姿に憧れ、自分もその中の一員になりたいと思い、奥さんが現像を依頼してきた写真を自分用にも現像し、部屋にコレクションしているのである。変態!
そんで、彼女の家の近くまでいって、自分が家族の一員であるかのように振る舞っている妄想を楽しむなど、この辺も変態!
俺はこうした彼の行為は奥さんに対する愛情なんだろうと思い、どっかの時点で彼女にその変態行為がばれてしまい、そこで彼は凶行に及ぶのかと勝手に想像してたんだが、そういう短絡的な展開に陥ることはなかった。
彼は奥さんの旦那の浮気に気付き、その証拠を奥さんにそれとなく(けっこう強引な手法だが)気付かせるなどするし、自分をクビにした店長の娘の写真を密かに撮影し、それを店長に知らしめるなどの脅迫めいたことはするものの、肉体的に人を傷つけることはないのである。
ラストの展開で、旦那の浮気現場に乗り込んだ際も、ナイフで脅しはするが、その現場を撮影もしないし、肉体的に傷つけることもない。そして、彼は店長の通報によってお縄を頂戴するのである。
刑事の取り調べに対して、彼は自分が幼少期に虐待されていたことを示唆する。気の毒なことに、彼はその虐待が原因で、孤独な生活をしていたようだ。
という意味ではかなり気の毒な奴ではあるが、彼がクビになったことについてはさして同情の余地はない。店長が良い人間だとは思わないし、解雇の必要はなかったかもしれんが、会社の商品を勝手に人にあげたり、無駄に現像枚数を増やしてコストをあげていたりするのは、勤め人としてはいかがなもんかな行為であり、クビになったことであそこまで動揺しちゃうのは、先を見越した行動ができない自分のせいじゃんかーーと思ってしまう俺は、性格が悪いのか。
しかしまぁ、淡々と物語が進んでさしたるスリルはないんだけども、ロビンウィリアムズの存在感に助けられたこともあって、最後まで楽しめた。そういえば、この作品が制作されたのと同時期に彼は、『インソムニア』って作品に出てて、あれではこの作品とは異なるサイコを演じてたなぁってことを思い出した。あの作品はアルパチーノも出てるしけっこう好きなので、いずれ紹介したい。
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