プリズナーズ・オブ・ゴーストランド
サムライタウンの銀行を強盗したら捕まっちゃったニコケイが、町を牛耳るガバナーに命令されて、ゴーストタウンに姿を消した女性を連れ戻すべくジタバタする話。園子温監督かニコケイか坂口拓とか作品に関わる誰かが好きじゃない人は観なくてもいい残念作品。ネタバレあり。
―2021年公開 米 105分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:園子温監督のハリウッドデビュー作でニコラス・ケイジ主演のアクション。悪党のヒーローは、一帯を牛耳るガバナーの支配から逃亡した女を連れ戻すことを命じられる。彼は特殊なボディスーツに身を包み、美しくも暴力的な世界“ゴーストランド”にたどり着く。出演は、「CLIMAX クライマックス」のソフィア・ブテラ、「私の中のあなた」のニック・カサヴェテス、「スリー・フロム・ヘル」のビル・モズリー。(KINENOTE)
あらすじ:高名な悪党のヒーロー(ニコラス・ケイジ)は、銀行強盗をしくじり囚われてしまう。そして、一帯を牛耳るガバナーの支配から逃亡した女(ソフィア・ブテラ)を連れ戻すよう命じられる。特殊なボディスーツに身を包んだヒーローは女を探して、美しくも暴力的な世界“ゴーストランド”にたどり着く。東洋と西洋が混ざり合い、混沌が包み込む町で、ヒーローは女を見つけ出し、自由の身になることができるのか……。(KINENOTE)
監督:園子温
出演:ニコラス・ケイジ/ソフィア・ブテラ/ニック・カサヴェテス/ビル・モズリー/TAK∴/中屋柚香/YOUNG DAIS/古藤ロレナ/縄田カノン/渡辺哲
ネタバレ感想
園監督作品、ニコケイ主演
公開中はスルー。レンタルで鑑賞した。なんで劇場をスルーしたかというと、園監督の作品はあんまり観たことないし、鑑賞した中では『冷たい熱帯魚』くらいしか印象に残っていない。監督の書籍とかはけっこう面白く読んだんだけど。
まぁでも、今作は何と言っても、俺の好きなニコラスケイジが出てるわけだから、劇場ではスルーしても作品自体は観ておきたくなっちゃうわけで、こうやって鑑賞してみたわけだが、残念ながら、つまらなかったなぁ。
過去作をごった煮にした感じ
作品世界は、西部劇と日本の時代劇に『マッドマックス』シリーズのSF世界と幽霊話を混ぜたような感じ。ニコケイが命令を聞くようにガバナーが彼に、拘束具爆弾をつける設定なんかは、『ニューヨーク1997』を思わせる。てなわけで、いろいろな過去作をごった煮にしたような内容であった。
そこに原発だの核兵器の問題などを物語に挿入していたようだが、その辺の比喩的表現が今の社会に対するどういうメッセージだったのかなどは、よくわからん。
ともかく、面白くない。冒頭、サムライタウンのガバナーの屋敷で、壁から首出した女たちが「かもめかもめ」を歌ってるシーンから俺には意味不明で突っ込みどころありすぎ。最後まで観続けられるか不安をよぎったが、これはニコケイを観るための映画なのだと割り切ることにしたら、それなりに楽しめはした。
てなことで以下に、ニコケイ面白ポイントをいくつか。
今作のニコケイハイライト
1、ふんどし一丁のニコケイ
2、自転車をこぐニコケイ
3、車の事故で気絶するニコケイ
4、拘束具の爆破装置が作動し、睾丸が爆発して気絶するニコケイ
5、拘束具の爆破装置が作動し、右腕が爆発して気絶するニコケイ
6、「俺のヤバさは放射能並み」と自己評価するニコケイ
7、日本語でバンザイ アリガトウ オイシイ などと日本語を話すニコケイ
――などなど。
その辺はニコケイ好きとしては楽しめるんだけど、彼の演じたキャラが何か弱いんだよなぁ。
極悪人として登場したかと思いきや、強盗仲間により子どもが殺されたことに心を痛めてるし、物語中で過去の罪を反省するようになってるし、ゴーストとなった強盗仲間が登場したときには、子どもを殺したことを責めるよりも旧交を温めるようなことをしてて、そしたら相手のほうもすぐに会心しちゃってるし、あの強盗被爆幽霊とその配下みたいな軍団って出てくる意味あったの?
坂口拓のアクションはいいが…
あとニコケイのアクションシーンがいくつかあるんだけども、そのアクションもパッとしない。むしろソフィア・ブテラが一回だけ見せる殺陣のシーンのほうがキレがあって、彼女のアクションのほうがもっと見たかったなぁという感じ。
そんな中で、坂口拓が見られたことは、ある意味では救いであったか。彼のアクションは見せ場としてそれなりにあるしね。でも、ニコケイとのラストバトルはシリアスなアクションだったのに、途中で、金玉の蹴りあいをするギャグがあって、あんなところで笑わせにこなくてもよかったのになぁとは思う。
てなことで、ニコケイ好きとしても、総じていうなら残念作品でありました。
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