PIGGY ピギー
自分を苦しめてくるイジメっ子が謎の男に拉致されたのを目撃にしたのに、誰も言えずに黙ってたサラ。そしたら話がだんだん大きくなって、自分も警察に呼ばれるし、謎の男と再会することになっちゃうしーー。自分に自信がない女の子が、殺人鬼騒ぎに巻き込まれて成長する話。ネタバレあり。
―2023年公開 西 99分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:スペインのゴヤ賞など、世界各国で多数受賞したカルロタ・ペレダの同名短篇を自ら長編化したホラー。クラスメイトからの執拗なイジメに苦しむサラは、ある夏の日、1人でプールに出かけた帰り道、いじめっ子たちが謎の男に拉致される現場を目撃するが……。主演は「テリー・ギリアムのドン・キホーテ」のラウラ・ガラン。(KINENOTE)
あらすじ:スペインの田舎町。ティーンエイジャーのサラは、クラスメイトからの執拗なイジメに苦しんでいた。両親や弟にも理解されず、家の中でも居場所を見つけられないサラは、ヘッドホンに頭を埋めて自分の気持ちを閉じこめる日々を送っていた。ある日、あまりの暑さにひとりで地元のプールに出かけたところ、怪しげな謎の男と、3人のクラスメイトに鉢合わせし、再びイジメの標的となってしまう。しかしその帰り道、サラは恐ろしい現場に遭遇する。血まみれになった3人のいじめっ子たちが、謎の男の車に拉致され、連れ去られようとしていたのだ……。(KINENOTE)
監督・脚本:カルロタ・ペレダ
出演:ラウラ・ガラン/カルメン・マチ/リチャード・ホームズ/ピラール・カストロ/イレーネ・フェレイロ/カミーユ・アギラル/クラウディア・サラス
ネタバレ感想
レンタル配信で鑑賞。もう少しスプラッター&ホラーな話かなぁと思ったらそうでもなくて、主人公のサラの成長物語って感じだったなぁ。だいぶヘンテコな成長物語ではあるが(笑)。グロシーンもそんなになくて、むしろ冒頭のほう、サラの親父が経営する肉屋で屠殺された家畜が商品として加工されているシーンがもっともグロく感じてしまった。
サラは自分をいじめた女子3人組が、謎の男に拉致されたのを知ってたにもかかわらず、ザマァミロという感情や、どうすればいいのかわからないから見て見ぬふりをしたーーという感じに、いろいろ複雑な思いがあって、ともかく周囲には自分の目撃談を語ろうとしない。
ところが、そこに住む人は大体が知り合いってな具合の小さな田舎町での出来事のため、サラは警察に怪しまれ、母親にも何が起こったのかを詰問されるなど、厳しい状況に陥っていくのだ。
こういう一連のシーンを見てると、サラの気持ちもわからんでもないが、自分の今後を考えるとさっさと起きた出来事を開陳したほうがいいと思うわけだが、そうはできない彼女の心情がやっぱり理解できなくて、イライラしてきてしまった。まぁでも、彼女はラストのほうで自分で告白するように、どうすればいいかわからないことは、どうすることもできないような人なのである。
そういう彼女が、いじめっ子を拉致っていった謎の男と再会することになり、男にチョッとした恋心みたいなんを抱くようになる。逆に、男のほうもサラのことを自分の理解者になれそうな女子だと感じたのか、何とも奇妙な連帯感を抱くような関係になっていくのだ。
ところが、ラストにおいて、その謎の男をとるか、まだ殺されていなかった二人のイジメっ子の命を助けるかという選択において、彼女は男を抹殺し、二人の命を助けてやるという選択をとるのである。
なぜ彼女がそういう心境に陥ったのか、その判断をしたのか、俺にはようわからんかったが、彼女はこの判断において自己を成長させ、己自身を愛することができる迷いのない人間になったように感じさせて、劇終を迎える。
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