インフィニット・ストーム
―2022年製作 米 97分―
登山家の女性が雪山を登山してたら自殺志願と思われる男を発見。彼を励ましつつ下山するためにジタバタする話。実話を基にした物語らしく、主人公の男に対する献身的な行動に頭が下がるんだけども、内容は退屈。ネタバレあり。
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:タイ・ガニエの記事「High Places: Footprints in the Snow Lead to an Emotional Rescue」に基づいた、マウゴルザタ・シュモフスカ監督、ミハウ・エングラート共同監督、2022 年のアメリカのドラマ アドベンチャー映画です。 この映画には、ナオミ・ワッツ、ビリー・ハウル、デニス・オヘア、パーカー・ソーヤー、エリオット・サムナーが出演している。(wikipedia)
あらすじ:ニューハンプシャー州のワシントン山を登山中、ベテラン登山家は猛吹雪に見舞われ、山頂に到達する前に引き返そうとする。しかし下山途中、立ち往生している1人の男性と遭遇し、嵐で命を落とすことなく日没前に2人そろって下山しようと決意する。実話に基づく物語。(Amazon)
監督:マウゴジャータ・シュモフスカ
主演:ナオミ・ワッツ/ビリー・ハウル/デニス・オヘア/パーカー・ソーヤーズ
ネタバレ感想
適当なあらすじ
登山家で山岳救助隊員でもあるパム(ナオミワッツ)は、過去にある悲しい出来事によって二人の娘を亡くしている。その痛みをいまだに引きずっている感じだが、山に登ることで癒しを得ているらしい。
そんな彼女が天候不良が予想される中、馴染みの山であるワシントン山への登山を決行。案の定、天気がやばくなってきたので下山しようとしたら、軽装で登山をしていることが明らかな男の存在を知る。なぜなら、雪面にスニーカーによる足跡があったからだ!
なんとか男を探して助けねばとパムは下山をせずに捜索を始める。途中、雪穴に落ちて死にそうになりながらも、吹雪の中、遭難者の行方を捜し続ける。
そしたら、頂上のところに軽装で座り込んでいる男を発見。男は低体温症になってるのか、動きが鈍いし会話が成立しないし、助けてほしい感じでもなさそう。名前もわからない男をパムは「ジョン」と呼ぶことにし、救命道具を使って彼の体温を上げるためにいろいろしてやって、何とかあるけるようになったので、ジョンを連れて下山を開始。
しかしジョンはやっぱり助かりたくないのか、奇行を繰り返したり、バランス崩して斜面を転げ落ちたり、ともかく面倒くさい奴。そのほか、沢を渡渉する最中に足を滑らせて流されてっちゃう。諦めないパムはジョンを捜し続け、奇跡的に息のある状態で発見。いろいろありながらも登山口の駐車場に戻ってくることができた。
自分の車にジョンを乗せるためにエンジンをかけるパム。しかし、ジョンの姿はない。あろうことかジョンは、同じ駐車場に停めていた自分の車を運転し、パムに何も告げずに去っていくのであった…。
なんなんこれぇ…。なんなん、あの人間…。帰宅してからもパムは心の整理がつかない。後日、この出来事はニュースになっていて、ジョンは自分が何者かを明かしはしなかったが、パムの救助があったからこそ自分の今があるーー的なコメントを残していた。それでもパムの気持ちはおさまらなかったが、癒しを求めて山には登り続けていた。
そんなある日、ジョンを取材した記者がパムのところに訪れ、ジョンはパムと会うことを期待していると伝言される。乗り気ではないパムだが、意を決してジョンと再会。やはり彼は自分の名を明かそうとしなかったが、彼もまた、心に傷を抱えていたのだ。なんでも、恋人をあの山で亡くしているのだという。彼女がいなくなった場所にいれば、自分を呼びに来てくれるのではないかと思ったそうだ。要はやっぱり、自殺しようとしてたと。しかし、迎えに来たのは恋人ではなくパムだった。今はのことを感謝していると、ジョンはパムに告げた。
その話を聞いたパムは、自分にもつらい過去があることを告白。昔、自分の家でガス漏れ事故があり、娘2人を助けられずになくしたのだと。そして、「この世にはインフィニットストーム(無限の嵐)が吹き荒れているが、だからこそ美しい」みたいなことをジョンに語る。
パムはその後、4人の子どもを育てたらしいことが紹介されて、劇終ーーというのが適当なあらすじ。
実話を基にした話
レンタル配信で鑑賞。実話を基に制作された作品らしい。パムを演じたナオミワッツ、今作では化粧っ気がない顔で登場してるので、年老いたのがよくわかっちゃいましたな。その辺を気にしないでこういう役を演じる役者魂はすごいと思う。
物語冒頭で、パムは娘を亡くしたことを引きずってるのがわかる。ではなぜ亡くしたのか終盤まで説明がないままに物語が展開していく。いっぽう、彼女が救うべき相手のジョンも、なんで死にたがってるのかとか、なんも明かされないまま決死の下山を続ける描写が延々と続くために、物語としては非常に退屈な内容。
不屈の精神で救助を行うパムではあるが、俺だったらあんな面倒くさい輩はほっといて、自分の命を守ることを考えちゃうだろうなぁと思った。彼女が何であんなに頑張るのか、もちろん救助隊員としての使命感もあるだろうけど、やっぱりよくわからんのである。助けられなかった娘たちの存在がチラつき、ジョンを見捨てると自分が後悔すると思ったんだろうか。
一方のジョンは、死にたがってるし、すでに低体温症なんじゃないかと思わせる感じなのに、割と耐久力が高めだったのが受ける(笑)。もちろんそれはパムの救命措置があるからこそなんだが、凍傷になってるし、雪山転げ落ちてるし、足首かなり重症そうだし、川を流されてるにもかかわらず、死なないという。しかも駐車場についてからは、自力で車運転しちゃってるからね。超人かよ。
ということで、ラストでそれぞれの背景が明かされて、人生賛歌みたいな感じで話は終わるんだが、やっぱり途中の下山シーンが過酷なことは伝わってくるものの非常に退屈で、映画としては残念な感じ。
この世と言うのか、世界というのか、宇宙でもいいけど、ともかく我々が生きるこの場所は残酷で厳しい。しかし、その中に美しさがあるんです。インフィニットストームなんです。
そう言いたいのはわかるんだけど、物語を通じて、そのテーマが心に染みわたってくるような出来ではありませんでしたな。
コメント
感想が雑。