パドルトン
ネットフリックス配信作品。中年オヤジ2人組が死に別れるまでを描く友情物語。ネタバレあり。
―2019年製作 米 89分―
あらすじ・スタッフとキャスト
あらすじ:末期がん宣告を受け、症状が悪化する前に自分で人生を終わらせようと決めた中年男マイケルは、親しくしている隣人アンディーにその手助けを依頼する。(Filmarks)
監督:アレックス・レーマン
出演:マーク・デュプラス/レイ・ロマノ/アレクサンドラ・ビリングス/マット・ブッシュ
ネタバレ感想
アンディーの友人マイケルは末期がん宣告を受け、余命が少ない。そこでマイケルは安楽死をする最期を選び、その最期を看取る役目をアンディに頼むのだが――というのが適当なあらすじ。
アパートの1階に住むマイケルと2階の住人アンディーは友達同士で仲がいい。仕事をする以外の時間は常に2人で、ナゾナゾを出して遊んだり、パドルトンという二人で創作したスカッシュみたいなスポーツをしたり、『必殺拳(デスパンチ)』というカンフー映画などを観ながらピザを一緒に食う生活をしている。
なんかこいつら、あまりにも一緒にいすぎて、そういうカップルなのかと思わせるし、実際に、あるモーテルに泊まろうとしたときに、ベッドの分け方をどうするか聞かれたりしている。まぁそう思うわな。でも、彼らは単なる友人であって、そういう関係ではない。
確かに中年の男が2人で宿泊施設に泊まったら、そういうふうに思われるのも仕方ない。俺自身も、毎年海外に遊びに行く友人と同じ部屋に泊まるんだが、ダブルのベッドの部屋をあてがわれないように細心の注意を払っている(笑)。
こういうとき、世間の見る目って恐ろしいなと思う。勝手にそういう関係だと思われちゃうんだから――てのはどうでもいい話だな。
で、アンディーもマイケルもさほど社交的ではないから交友関係はほとんどない。むしろ他人との付き合いをなるべく避けているようにも見える。特にアンディーにはそれが顕著で、物語を通して感じるのは、彼はマイケルへの依存度が高すぎるように見える。
だから、彼の安楽死を最初は説得して阻止しようとするし、それを認めてからも安楽死のための薬を自分で管理しようとする。彼に死んでほしくないからだ。自分が独りになってまうので。
その辺が彼を観ていてイライラするところだ。しかしそれは、俺自身の嫌な部分を観ているような気にさせられたからそう思ったのだ。なぜなら、俺にも彼のようなことをしていたように思い当たる節がなくもないから。
10代のある時期に彼女もいなくて悶々としていて、身近にいた友人といつも一緒にいたりすると、その友人に対して何か友情めいたものを勝手に感じて、依存度が高くなり、相手にいろいろ期待してまう。
そういう過去が俺にはあった。別に同性愛的な交流を望んでいないのに、何がしかの心のつながりを他者と求めたがっていたのは、自分に独りよがりな寂しがりみたいな部分があったからではないかと振り返ると思うのだ。
さすがに今はそういうことはなくなったが、アンディを観ていると自分の過去が思い出されるのである。
俺も中年になって、昔の友達とも疎遠になり、それこそグループで集まるようなことは皆無に等しくなって、会うとしても時代ごとの友人と1対1で酒を飲むくらいの機会がほとんど。
それは俺の友人づきあいの仕方がそうさせたわけで、たまに寂しく思うこともあるが、なるようにしかならなんし、そういう風にしたくてそうしてきた自覚があるので、仕方ない。
しかしまぁ、寂しく思うこともなくはない。そんな感じで、映画としては普通な感じだったが、自分の境遇になぞらえて見るに、なかなか切ないというか、刺さる部分のある映画であった。
この作品はネットフリックスで鑑賞できます。
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