オペレーション・メコン
実話を基にした物語なせいか、ダンテ・ラム監督作にしては男の友情的な要素が他の作品よりは控えめに感じた。だが、そこがよいと思う。どこまでがノンフィクションなのかはわからんけども、緊迫感のある作戦が繰り広げられるので、なかなか楽しめる。ネタバレあり。
―2017年公開 中=香 140分―
解説:実際の事件を映画化したアクション大作。巨大な麻薬密造地帯に接するメコン河で、航行中の中国船が襲撃される事件が起きた。中国政府は捜査のために、公安のカオと特殊部隊を現地に送り込む。事件の背後に巨大な麻薬組織がいることを知ったカオは戦いを挑む。監督・脚本は、「疾風スプリンター」のダンテ・ラム。出演は、「グレート・ウォール」のチャン・ハンユー、「疾風スプリンター」のエディ・ポン。第29回東京国際映画祭ワールド・フォーカス上映作品(上映タイトル「メコン大作戦」)。アジアンムービーセレクション2017で上映。(KINENOTE)
あらすじ:2011年10月5日、タイ、ミャンマー、ラオスの三国に交差する巨大な麻薬密造地帯“黄金の三角地帯(ゴールデン・トライアングル)”に接するメコン河で、航行中の中国船が何者かに襲撃され、乗組員13名が惨殺される事件が起きた。事態を重く見た中国政府は事件解決のために捜査を開始する。その指揮に選ばれた公安のカオ(チャン・ハンユー)は、特殊部隊と共に現地へと乗り込む。既に現地に潜入している諜報員フォン(エディ・ポン)と合流し、事件の背後に巨大な麻薬組織が関与していることを知ったカオは、手がかりをつかむために、誰も介入できない無法地帯へと向かう。カオとフォンは部隊を率いて作戦を開始し、立ち塞がる巨大な組織に戦いを挑む。(KINENOTE)
監督:ダンテ・ラム
出演:チャン・ハンユー/エディ・ポン/チェン・パオクオ/スン・チュン/フォン・ユェンチャン
ネタバレ感想
チャン・ハンユーがカッコいい
主人公のチャン・ハンユーは『グレート・ウォール』に出ていたらしい。誰の役か忘れるくらいに印象に残っていないが、今作では主役ってこともあってかなりの存在感。渋くてカッコいい役どころで好感を持った。
彼の相棒役となるエディ・ポンは相変わらず軽い身のこなしの動きに躍動感があって、こちらもいいんだけど、あの整った顔だと、髭があんまり似合わないような(笑)。
てなわけで、ゴールデン・トライアングルに巣食う麻薬組織を仕切る大物をとらえるべく、彼らのチームがいくつかの作戦を遂行することで組織の大物を追い詰めていく様が描かれる。ただ、ほぼすべての作戦が予定通りに進行できず、失敗に終わっているようにも見えるんだが、これはいかがなもんか。運よく次の作戦への糸口は掴めているものの、あれだけの組織を追い詰めるには、計画どおりに作戦を遂行するなんて無理っていうことなんかね。
一番活躍するのは犬です
それぞれの作戦では、カメラを搭載したラジコンとか、ドローンとか、最新鋭の機器が活躍していて、なかなか面白い。しかも、それらの機器よりも大活躍するのが、よく訓練された賢い犬ってのがさらによい。
だからあのワンコが死んじゃうのはなかなかツライでありますな。てか、地雷みたいなのが埋まった地帯を走らせるとか、考えてみれば動物虐待とも言えなくもない(笑)。結局ワンコは、せっかくあの地帯を見事走り抜けたのに、追っ手の銃撃によって死んでしまうのであった。…ちくしょう。
ちなみに、大活躍するワンコに対して、作戦を遂行するメンバーたちの存在感は薄い。人となりが申し訳程度に紹介される程度で、さほど掘り下げはない。だから、彼らが犠牲になってもあまり感情が動かないのは残念ポイントではある。登場人物が多すぎるから仕方ないとも言えるが。
死を恐れない子どもたち
今作の大物はゴールデン・トライアングルでかなりの存在感を示しているようだが、物語には出てこないけども、彼よりも大物がいるらしい。ラストでも言及されるように、あの大物がいなくなっても、また別の人間が彼の立場に座するわけで、あの地帯そのものを完全に占領しない限り、根本的な解決にはならんのだろうね。
にしても、近隣の集落の人々を武力で支配し、子どもたちを奪っては麻薬漬けにして兵士に育てるとか、恐ろしすぎる。育てられた子どもたちの人間兵器ぶりも描かれててなかなかエグイが、そこをきちんと紹介したところは、この作品のいいところだと思った。
ということで、可もなく不可もないような普通な感想になっているのは、この作品が可もなく不可もないからである(笑)。でも、銃撃シーンやカーチェイスなどには迫力があるので、アクション好きな人はそれなりに楽しめる映画と思います。
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