移動都市/モータル・エンジン
―2019年公開 米 129分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:イギリスの作家フィリップ・リーヴによるファンタジー小説『移動都市』を、ピーター・ジャクソン製作・脚本で映画化。都市が移動し、都市を喰う世界を舞台に、亡き母の復讐と人類の希望を胸に抱く一人の少女と、その思いに共鳴する反逆者たちの冒険を映し出す。出演は「殺意の誓約」のヘラ・ヒルマー、「ムーン・ウォーカーズ」のロバート・シーアン、「ハクソー・リッジ」のヒューゴ・ウィーヴィング、「ドント・ブリーズ」のスティーヴン・ラング。共同脚本に「ロード・オブ・ザ・リング」「ホビット」シリーズのフィリッパ・ボウエンとフラン・ウォルシュ。監督は、ピーター・ジャクソンの右腕として「キング・コング」で第78回アカデミー賞視覚効果賞を受賞したクリスチャン・リヴァーズ。日本語吹替え版では『進撃の巨人』の石川由依、『Free!』の島﨑信長、「宇宙戦艦ヤマト」シリーズの大塚芳忠といった声優陣が出演。(KINENOTE)
あらすじ:たった60分で文明を荒廃させた最終戦争から数百年。残された人類は、地を這う移動型の都市を創り出し、他の小さな都市を駆逐し、捕食しながら生き続けるという新たな道を選択。地上は、都市同士による弱肉強食の世界へと姿を変え、いまでは巨大移動都市ロンドンによって支配されていた。捕食した都市の資源を再利用し、人間を奴隷化することで成長し続けるロンドン。小さな都市と人々は、その圧倒的な存在を前に逃げるようにして生きるしかない。いつ喰われるかもしれない絶望的な日々のなか、一人の少女ヘスター(ヘラ・ヒルマー)がその目に激しい怒りを宿し、ロンドンへの反撃を狙っていた……。(KINENOTE)
監督:クリスチャン・リバース
原作:フィリップ・リーブ:(『移動都市』創元SF文庫刊)
出演:ヘラ・ヒルマー/ロバート・シーアン/ヒューゴ・ウィーヴィング
ネタバレ感想
小説を映画化した作品。ファンタジー+SF映画って感じの内容だった。戦争により地上から文明が消え去った未来が舞台になってて、生き残った人類は、巨大な動力で動く移動都市をつくり、移住生活をしている。都市はその動力に必要な資源を他の移動都市から奪い取り、そこに生きる人たちを住民に加えて働かさせて、肥大していく。中でも大きく成長したのが、この作品で唯一、巨大な移動都市として登場するロンドンだ。下記からの文章は、あらすじを端折ってネタバレし終わった前提で話を進める。
ロンドンは冒頭のシーンで、主人公のへスターが暮らしていた小さな移動都市を飲み込むために攻撃をしかける。そして、飲みこんだ移動都市から過去のテクノロジーの部品をかき集め、何かをしようとしている。何をしようとしているかというと、コンピューター制御の大量破壊兵器の生産。量子だか陽子だかわからんが、ともかく強烈なビーム砲をつくらんとしているのである。完成の暁には、定住生活をしているコミュニティの、楯の壁(確かそんな名前)を侵略しようとしているのである。一方のその楯の壁はすぐれた航空兵器をたくさん保有していて、こいつでもって、余所者の侵略から街を防いでいるらしい。
各々の都市がなぜ定住するか、それとも移住するのか、なぜそうすべきなのかの思想というか主義みたいのはよくわからん。さして説明もない。
しかし、人類はそもそも、狩猟採集社会、つまり動物を狩っては食い、狩っては食う移動生活をしていた。その後、農耕が発明されることで、定住生活が広まる。てことを踏まえると、この作品のロンドンと楯の壁の戦いは、その異なる社会形態同士の闘争として描かれたら、面白かったのになぁなんて思った。
まぁでも、本作はそんな話ではない。なんというか、描かれている世界観はとても魅力的。冒頭のロンドンがちいさな移動コミュニティを捕食していくシーンなんかは、面白い。
だが、ストーリーとしては大した捻りもなく、あんまり楽しめなかったな。特に、復活者のシュライクというターミネーターみたいな奴のくだり、必要なかったような…。というのは言い過ぎか。しかし、あの心変わり具合というか、もともと愛情があったからそうなるのも分かる気がするんだけども、俺にはよくわからんキャラだった。
実は、移動都市というタイトルを見て俺が最初に思い出したSF小説は、クリストファー・プリーストの『逆転世界』だ。この小説が、今になって映画として登場したのなら、ぜひ観てみたいと思って鑑賞したら、違う作品が原作だったのである。ちなみに、その『逆転世界』も移動都市が登場する。この作品のようにどこでも走れるわけではなく、線路を敷設しながら、そのレールの上を移動するというものだったが。ちょっと古い作品だけど、興味があればどうぞ。
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