ジャスト6.5闘いの証
―2021年公開 斯 124分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:2019年の東京国際映画祭で最優秀監督賞と最優秀主演男優賞をダブル受賞したイラン製犯罪映画。薬物撲滅警察特別チームのサマドは、薬物取引の大物ナセル・ハグザドを追い詰め、刑務所に送ることに成功。だがそれは、ほんの始まりに過ぎなかった……。出演は「別離(2011)」のペイマン・モアディ、「ウォーデン 消えた死刑囚」のナヴィド・モハマドザデー。(KINENOTE)
あらすじ:薬物依存者が溢れ返る街。しかし、その多くはホームレスだった。薬物撲滅警察特別チームのサマドは、薬物売人の頂点に立つ大物ナセル・ハグザドを追っていた。あらゆる手を尽くして捜査を進めた結果、ようやくナセルをペントハウスに追い詰め、刑務所への収監に成功する。だがそれは、ほんの始まりに過ぎなかった……。(KINENOTE)
監督・脚本:サイード・ルスタイ
出演:ペイマン・モアディ/ナヴィッド・モハマドザデー/ファルハド・アスラニ/パリナーズ・イザドヤール/ホウマン・キアイ
ネタバレ感想
イラン映画。イランの警察って乱暴だねぇ。しかしまぁそれも仕方ないのかなと思わなくもない部分もある。ともかく、犯罪するほうは嘘ついてでも自分の罪を認めないような奴ばっかりだし、自分の子どもに罪を着せて自分は罪を逃れようとするクズもいたりとか、かなりメチャクチャ。
んで、この話はイランの麻薬王みたいな奴がいて、このナセルって奴がかなりの悪者だと思わせておいて、いざ、つかまってからの彼の所業を見せられているうちに、彼が何を目的にして犯罪を犯しながらも頑張っていたのかがわかってくると、なんだか彼のやっていることも悪いことではなかったように思わせられるのだ。
具体的には、彼は麻薬を売買して儲けることで、たくさんいる家族親せきに良い暮らしをさせてやりたかったのである。特に甥っ子とか子供たちに、きちんとした住環境を与えて、教育を施してやりたかったのだ。それができないと、ゲットーみたいな貧民窟みたいなところで明日をも知れぬ暮らしをせざるを得ず、そんな環境ではまともな教育を受けることも難しいのであって、であるからナセルは、ある意味では自らを犠牲にし、自分と同じような生き方をせずにすむように、家族や親せきを養ってやっていたのである。
ただし、彼が貧民窟みたいなところに薬をバラまいているのは事実であり、そういう意味では自分の生活とは関係ない人たちを不幸な道へ導いているのは間違いないわけで、であるから、最後の死刑は気の毒ではあるものの、仕方ないと思わなくもないでもない。
こういう作品観ちゃうと、日本が糞みたいなディストピアになっているなぁと思っていながらも、まだまだ治安とかも含めた生活環境はマシなんだなぁと感じるし、少なくとも俺が生きている周辺はけっこうまともで、恵まれた環境にいるんだなと思える。育ちの良さってのは大事なもんです。ただし、日本においても、衣食住に加えてちゃんとした教育を受けられる環境を子どもに提供できない親が増えているのは確かで、それは政治が腐っていることにも原因がある。やっぱりディストピア。
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