ブロークン 過去に囚われた男
何だかよく意味のわからないシーンもあるし、静かな展開で進むんだけど、不思議と最後まで魅入ってしまう作品。もうかなりのお爺ちゃんになっちゃったけど、アル・パチーノはいくつになってもカッコいい。渋いね。ネタバレあり。
―2014年製作 米 97分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:「ゴッド・ファーザー」シリーズのアル・パチーノ主演によるドラマ。小さな街で鍵修理屋を営む孤独な老人・マングルホーン。彼は胸に秘めた女性への想いに囚われながらも、新たな女性との出会いによって、心の鍵を徐々に開き始めていくのだが…。【スタッフ&キャスト】監督・製作:デヴィッド・ゴードン・グリーン 脚本:ポール・ローガン 製作:リサ・マスカット 撮影:ティム・オアー 出演:アル・パチーノ/ホリー・ハンター/ハーモニー・コリン/クリス・メッシーナ(KINENOTE)
あらすじ:小さな街で鍵修理屋を営む老人マングルホーン。息子とは疎遠になり、溺愛する孫ともなかなかふれ合う時間が取れない寂しい毎日を送っていた。孤独な独り暮らしを支えるのは愛猫のファニーと、毎週通う銀行で顔を合わせる受付係の女性ドーンだった。交わす言葉は少ないものの、お互いのペットやおすすめのカフェの話をする短いひと時が、彼にとってはなによりも大切だった。ある週末、マングルホーンが通っているカフェに突如ドーンが姿を現し、この日をきっかけに彼女との距離が縮まり始める。一緒にパンケーキを食べ、週末を彼女の家で共に過ごす。彼女との穏やかな時間を重ね、徐々に閉ざされた心の鍵を開き始めるマングルホーン。だが彼の心の奥底は、過去に愛した女性クララへの未練が今なお支配していて…。(amazon)
監督:デヴィッド・ゴードン・グリーン
出演:アル・パチーノ/ホリー・ハンター/ハーモニー・コリン/クリス・メッシーナ
ネタバレ感想
奥さんではなく、過去に付き合ったことある女性(らしい)のことが忘れられず、悶々と暮らす爺さんの話。とは言え、アル・パチーノが演じてる役柄だけあって、現在進行形で気のある美人の女性とイイ仲になれそうに。相手もアル・パチーノ(マングルホーン)のことを好いているので、そのまま楽しく過ごせばいいのに、マングル爺ぃはそれができない。
過去の女性、クララのことが忘れられないからだ。で、この爺さんいろいろな場面で癇癪をおこしたり憎まれ口たたいたりしちゃう偏屈野郎なんである。他人からすると何でそんなことで切れたり嫌味言われなきゃならんのか理解できないんだけども、ともかくこの爺さんは切れやすくて、物にあたったりもする。で、酒も好きなので、なんだかアル中みたいだ。
てなふうに見ていると、俺もこの爺さんをまるで自分のことのように思える部分もあって、なかなか感情移入して最後まで観た(イラつくこともあるんだけど)。あと、彼は動物を非常に愛しているらしく、過去の彼を称えるエピソードはすべて動物がらみのもの。そこにマングル爺さんの人となりが現れていると言えなくもない。
別におもしろくはないんだけど、やっぱり魅入ってしまう変な映画で、自分の将来を案じていろいろ思わせる部分はあるし、そのあたりは良くも悪くも示唆的でいいんだけども、じゃあ明確な何か、テーマというかそういうのを感じたかというと、それはない。もちろん、そんなもんなくたってイイ作品は良いんだけど、物足りなさを感じたのは確かだ。
というわけで、わかりそうで何だかよくわからん映画だった。特に、中盤くらいの幻想的に見える事故現場のシーンと、マングルホーンがやたらと上手な射撃術を披露するシーン。あれ、何なんだろうか。ラストの鍵が開いちゃうところもよくわからん。
あと、マングル爺さんがクララのことを何かの拍子で過去のこととして完全に決別しようとするシーン。数々の思い出の品を焼却しているんだけども、あまりにもその数が多すぎたようで、ボートを捨てる際にその品々も一緒に捨ててまうのである。あんな廃棄の仕方許されるんかねぇ。
あと、あんな放置プレイみたいなボートの捨て方、よろしくないと思うぞ。アメリカは土地が広いからああいうことできるんだろうけど、なんか観ていてすごい嫌なシーンだった。別にエコロジストじゃないんだけど。
アル・パチーノ好きな人は、観て損はないと思います。
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