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映画 誰がための日々 ネタバレ感想 香港で暮らすショーンユーとエリックツァン親子

誰がための日々
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誰がための日々

―2019年公開 香 102分―

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解説とあらすじ・スタッフとキャスト

解説:実在の事件をヒントに、介護うつの果てに母を亡くした青年の苦悩を描いたドラマ。寝たきりの母の介護を1人で行って来たトンは、やがてうつ病を発症。ある事件を起こし、母を亡くす。1年後、うつ病の治療を終えたトンは、疎遠だった父と暮らし始めるが……。「インファナル・アフェア」のショーン・ユーとエリック・ツァンが再共演。監督のウォン・ジョンは本作で長編デビュー。(KINENOTE)

あらすじ:寝たきりの母を介護するトン(ショーン・ユー)は、婚約者のジェニー(シャーメイン・フォン)から、忙しすぎると言われながらも、施設には入れたくない1人で頑張っていた。父は長く家に寄り付かず、毎月お金だけを送ってくる。弟はアメリカに行ったきり帰ってこない。その上、身体が思うようにならない苛立ちをトンにぶつける母。ぎりぎりの生活を送るトンは、ついにうつ病を発症。ある事件を引き起こし、最愛の母を亡くしてしまう……。それから1年。躁うつ病の治療を終えて退院するトンの迎えに来たのは、ずっと会うことを避けていた父ホイ(エリック・ツァン)。こうして、二段ベットを置いた狭い部屋で父子は暮らし始めるが……(KINENOTE)

監督:ウォン・ジョン
出演:ショーン・ユー/エリック・ツァン/エレイン・ジン

ネタバレ感想

香港映画観たいなぁと思ったら、ネットフリックスで見つけたので鑑賞。なかなか悲惨なドラマであった。エリック・ツァンとショーン・ユーを久しぶりに見たけども、二人とも迫真の演技でなかなかよかったな。にしてもエリック・ツァンてただのオッサンなのに、なんであんなに可愛く見えるんだろうね(笑)。

てなことで、ラストに多少の希望は感じられなくもないものの、世に生きる日々の過酷さを感じさせる内容。父と母と長男と次男、誰に罪があるとかは簡単には言えない、各人の人生観のズレが招いたこの作品の結末は、鑑賞した自分の身にも降りかかる可能性を感じさせる。

主人公のトンは、病が少しずつ快方に向かっていた時期がある。その頃は、父との関係もそこそこによくなっており、希望の持てるひと時であった。しかし、この作品はそのままハッピーな世界に登場人物たちを連れて行かない。トンは元婚約者との再会を経て、彼女の裏切り的な告白に(彼女にとっては良かれと思っていたとしても)よって、さらなるどん底へ叩き落されることになる。

この彼女はトンによって借金を背負うことになった悲惨な境遇で、彼を恨む気持ちがあることはよくわかる。しかし、彼女の嫌さは、視点が常に自分のところにしかないことだ。プロテスタント系キリスト教会の会合の中で、彼女のする告白には、トンの立場に立った発言が一つもない。ああした自分本位な人間の行為には病気としてのレッテルは貼られていないが、実に病的である。

トンとホイの隣人として、息子の出世を願う貧乏な母親も出てくるが、彼女の終盤の行為なども、一方的なものの見方であり、病的と言えなくもない。

要するに何が言いたいかというと、人間なんて、全員病的なのだ。俺もそうだ。何か病的な気質を持っているはずだ。そういうものなのだ。誰かの精神を病気扱いなどできる人間は、いないのではないかと思ってまう。

しかしその中で、日常の、社会的生活をまともに過ごせない人たちに対しては、病名をつけられて投薬をされ、ある者は施設や病院送りになる。これは隔離だ。臭いものにふたをして排除する社会一般の隔離行為なのである。だから、本当にそれでいいのかという疑問が芽生える。

しかし、俺自身がそういう病的と言われる人間と共生ができる人間かと言われれば、肯定的な答えを返すことは簡単にはできそうもない。

トンは肉親である母親によって病気を発症してしまった。あの一連のシーンで病的なのは、母親のほうである。その母親の心を受け止めようと努力するトンが、母親の扱いに耐えかねて殺人を犯すことになる。何とも酷い話である。

さかのぼって、父のホイと母親が関係を結ばなければよかったのだと思うこともできる。しかし、ホイが言うように、わからないのだ。先のことなど、誰もわからない。そして、望んでそうなるわけではないのに、日々の積み重ねがすれ違いを生み、あのような結末を生むのである。

いずれにしても、邦題がなかなかいいなと思った。ほんとに、誰のために日々を使っているのか、よくわからんもんね。

…と、話があっちゃこっちゃ言って趣旨がようわからん文章になっているが、このまま続ける。

最近、俺の日常生活の中でも、トンほどの症状ではないものの、生きづらさから病気と呼ばれる症状になる、もしくは10代の頃の症状を社会人になって後に、再発するような人が続出している。全員、俺よりも10歳以上若い人たちだ。俺はこの体験により、日本の社会がとても生きづらい環境になっていることを実感した。俺もよう漫然と20代を過ごしてきたなと自己批判したくなるほどに。

何を言ってるのかようわからんと思いますが、こうした心の病を発症してしまうのは、生まれ育った境遇もあるし、断言はできなくても発症してしまうのは、本人の性質にもそれなりに原因があるのだろう。

しかし、もちろん、本人だけのせいではない。本当に当たり前のことなんだけど、現状の社会がそうした人たちを生み出しているし、そうした人たちの人数の割には、社会的な受け皿はとても少ない。

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