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映画 帰れない山 ネタバレ感想 ピエトロとブルーノの友情物語

帰れない山
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帰れない山

幼馴染のピエトロとブルーノは、北イタリアの山麓を舞台に友情をはぐくむ。成長して疎遠になっていたものの、ピエトロの父の死をきっかけに再会。生前の父の意向を汲んで二人は山小屋づくりに着手。次第に昔の仲を取り戻し、お互いの人生に欠かせない存在になっていくのだがーー。山麓の風景が美しく、そこで暮らすブルーノと自身の身の振り方に悩むピエトロ。二人の人生における葛藤を描いた良作。ネタバレあり。

―2023年公開 伊=白=仏 147分―

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解説とあらすじ・スタッフとキャスト

解説:北イタリアの雄大なるモンテ・ローザ山麓を舞台に、都会育ちの少年と同い年の牛飼いの少年の友情と成長をたどる“大人の青春映画”。すべてを教えてくれた山と対峙し、それぞれが己と向き合い葛藤しながら、「ありのままの自分でいられる場所」を発見していく。イタリア文学の最高峰「ストレーガ賞」を受賞し、世界中で39言語に翻訳されているパオロ・コニェッティのベストセラー小説を忠実に映画化。第75回カンヌ国際映画祭にて審査員賞を受賞。主人公のピエトロ役には「マーティン・エデン」で第76 回ヴェネツィア国際映画祭で男優賞に輝いたルカ・マリネッリ。親友のブルーノ役には、「Sulla mia pelle(私の肌に)」(日本未公開)でダヴィッド・ディ・ドナテッロ主演男優賞を受賞したアレッサンドロ・ボルギ。「ビューティフル・ボーイ」で知られるベルギーの俊英、フェリックス・ヴァン・ヒュルーニンゲンが監督を務めた。(KINENOTE)

あらすじ:都会育ちで繊細な少年ピエトロは、山を愛する両親と休暇を過ごしていた山麓の小さな村で、同い年で牛飼いをする、野性味たっぷりのブルーノに出会う。まるで対照的な二人だったが、大自然の中を駆け回り、濃密な時間を過ごし、たちまち親交を深めてゆく。やがて思春期のピエトロは父親に反抗し、家族や山からも距離を置いてしまう。時は流れ、父の悲報を受け、村に戻ったピエトロは、ブルーノと再会を果たした。(KINENOTE)

監督:フェリックス・ヴァン・フルーニンゲン/シャルロッテ・ファンデルメールシュ
出演:ルカ・マリネッリ/アレッサンドロ・ボルギ/フィリッポ・ティーミ/エレナ・リエッティ

ネタバレ感想

適当なあらすじ

トリノに住むピエトロは夏の間だけ、両親に連れられて北イタリアの山麓にある田舎町で暮らし、冬になるとまたトリノに戻る生活をしている。山麓のさびれた町には、ピエトロと同い年のブルーノという少年がいて、二人は大自然の中で遊んでいるうちに打ち解けていく。

ある日ピエトロは父親とブルーノと登山をして、自分だけが高山病になってしまい山行を台無しにしてしまった。この出来事は後々までピエトロの心に悔恨の思いを残すようになる。

ピエトロの父親はブルーノに学費を支援して、ピエトロと一緒にトリノ暮らしをさせようとする。ブルーノもまんざらではなかったが、出稼ぎの多い実の父に連れられて職人の道に進むことになり、その話はご破算になった。

ピエトロは長じるにつれて父に反発するようになっていき、父のような人生は送りたくないと本人に告げて自ら関係を壊してしまう。そして、30歳近くなってもピエトロは定職に就かず、みずからの進む道に迷っていた。そこへ、父の訃報が届く。

その後、ピエトロは久しぶりに父の遺産になった北イタリアの別荘に向かい、そこでブルーノと再会する。ブルーノはピエトロの父から、山小屋づくりを託されていた。いろいろあって、ピエトロもそれを手伝うことに。

ピエトロは後に知ることになるが、父は昔からピエトロと登山を通じて親子の絆を育もうと望んでいたらしいく、しかしピエトロの反発によってそれを断念。代わりにブルーノを息子のように思いながら、共に山に登り続けていたのだ。

それを知ったピエトロは忸怩たる思いを抱えつつもブルーノとの交流を通じて、そして二人の過去の山行記録をなぞることで父の人生に思いを馳せていく。

自然の中で共に暮らし、深い絆で結ばれていく二人。ブルーノはピエトロの山仲間であった女性と結婚し、かねてからの夢であった酪農業にいそしむように。その激務によって二人が会う機会は減っていくが、蜜月は続いていた。

ところが、ブルーノの酪農業は経営危機に陥り、妻子との関係も破綻。次第に人を寄せ付けぬようになっていき、ピエトロと二人で作り上げた山小屋で引きこもり生活を送るように。対してピエトロは本の出版にこぎつけ、しかもネパールで伴侶となれそうな女性と出会い、その土地に根を張った生活をするようになっていく。

最終的に、ブルーノは自殺にも似た感じで山で消息を絶つ。いっぽうのピエトロは、ブルーノの死をきっかけに、北イタリアの山に帰ることはできず、他の山に登り続ける人生を歩むことになるのであったーーというのが超適当なあらすじ。

身に染みる良作

ベストセラー小説の映画化作品らしい。原作は未読。でも山登りが好きなんで鑑賞した。高山を登る過酷さを描いた話なんかなぁと思ってたら、内容は全然違う。ヒューマンドラマではあったが、それぞれが葛藤を抱えながらも自身の生きる道を見出していく、二人の男の人生と友情物語ってな感じ。

ちょっと長尺で終盤がダレてしまう感じもあったけど、なかなかに身に染みる物語でありましたな。山に生きて、山で死ぬことを選んだブルーノは、家族構成さえしっかりしていれば、ピエトロのように教養を身につけた生活ができた可能性もあったので、そのへんが気の毒。しかしまぁ、「山は俺を傷つけない(おそらく、肉体的にではなく”精神的にという意味だろう)」と言ってたように、山から出るチャンスはなくもなかったにせよ、いろいろな思いがあってブルーノは山で人生を終えることにしたのだ。山は彼を傷つけずに昇天させてくれたのか、そのへんはよくわからない。

ピエトロは父に反発しながらも、地に足のついた生活ができず、自分の道を見いだせずにもがく。どうして彼があそこまで父に反発したのかはようわからんが、相互が良好なコミュニケーションを取れていれば、二人はお互いの人生を尊重し、良い関係が築けたのではないかと思わなくもない。ところがそうなると、ピエトロとブルーノの友情は幼い頃に終わっていたようにも考えられて、人生とは実に、いかんともしがたいものであるなぁと思わされる。

常に山に根付いているブルーノの生活は、ときに過酷すぎてとても真似できるものではなさそうだが、自然の中に生きる二人の生活は、とてもよろしいでありました。

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