ファイティング・ダディ 怒りの除雪車
ノルウェー、デンマーク、スウェーデン。北欧3国の合作。邦題につられて観たので、B級感溢れるハチャメチャ映画かと思っていたら、内容はけっこうシリアス。作中で登場人物が死亡すると画面が暗く変わり、十字架と死者の名前が出る演出がなかなか新鮮であった。ネタバレあり。
―2014年製作 挪=丹=瑞 112分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:ハンス・ペテル・モランド監督による、北欧を舞台にしたサスペンス。日本劇場未公開作品。(KINENOTE)
あらすじ:除雪車の運転を長く続け、今年の市民賞に選ばれた真面目な初老の男性ニルス。だが、若い息子イングヴァルは薬物の過剰摂取で命を落としてしまう。実はイングヴァルは、薬物の密輸を手伝っていた友人がくすねたコカインに手を付けたのだ。ニルスは自宅にあった銃を持ち、独自に調査を開始。そのころ近くの町では、菜食主義者の“伯爵”をボスとする地元ギャングと“パパ”という大物をボスとするセルビア系ギャングが対立していた。(KINENOTE)
監督:ハンス・ペッテル・ムーランド
出演:ステラン・スカルスゲールド/ブルーノ・ガンツ/クリストファー・ヒヴュ/ビアギッテ・ヨート・スレンセン
ネタバレ感想
息子を殺された親父=ニルスが怒り狂い、息子を殺した悪者どもを除雪車でひき殺しまくる作品かと思っていたらぜんぜん違った(笑)。展開は至って静かで淡々としている。ニルスは除雪車で公道を走れるように雪かきをするのが仕事みたい。どうやらどっかから来た移民らしいが、仕事ぶりが認められて、それなりに町の名士だ。
そんな彼の息子が殺される。息子の友人が、ある犯罪組織の麻薬をくすねており、知らぬ間にその盗みの片棒を担がされていたために、息子は組織から命を取られてまったのだ。激怒するニルス。奥さんとは仲がよかったようなのに、息子の死で彼女は気が触れてしまったのか、関係も険悪になっていく。そして、作中ではこの夫婦の再生は描かれない。では、ニルスは何をしているのかというと、息子を殺した組織の黒幕=伯爵をぶっ潰すべく、末端から一人ひとり、組織の人間を抹殺していくのである。
そしてニルスは、そのまま自らの力で組織と戦うのかと思わせておいて、いきなり兄貴を頼り始める。この兄貴、実は以前、ニルスが探している伯爵の父親の部下だったのだ。今では足を洗っているものの、要するにギャングだったのである。ニルスは兄に頼み、殺し屋を紹介してもらう。ニックネームはチャイナマン。日系のデンマーク人らしいが、とおり名はチャイナマンである。う~む、そこはかとなく漂う人種差別臭(笑)。実はこの作品、人種関係の差別的発言が他にも出てくる。これはブラックユーモアだろうか。怒る人もいるだろうな。
閑話休題。いろいろあって、ニルスはチャイナマンを雇うが、こいつが糞野郎で、組織のボスである伯爵にも、ニルスを殺してやると、交渉を持ちかける。んで、ボスのほうに、「信用できない奴はいらない」てな感じで抹殺されてまう。度胸があるのか、バカなのかよくわからん最期であった(笑)。
これ以降の話はだいぶ端折るけど、その後、ニルスの兄貴が気の毒にも抹殺され、さらにセルビア系のギャングも物語にかかわってきて、三つ巴の戦いが展開されることになる。最終的には、ニルスとセルビア系組織のボス以外は全員死亡。一度にたくさん死にすぎて、冒頭に書いた演出では一画面に死者の名前が入りきらないほどの数であった(笑)。
ラストは、お互いが伯爵に息子を殺された仲だからか何なのか、ニルスとセルビア系組織のボスが仲良く除雪車に乗っているシーンで物語は終わる。
北欧の映画なんてなかなか観る機会がないけども、本当にその国の風土や文化で、撮影されるものって結構変わるんだろうなという当たり前の感想を持った。俺の観る映画は主に、邦画をはじめ東アジア圏の作品に、フランス映画が少し。残りはアメリカ映画が大半を占める。しかし、映画はどの国でも撮影されているわけで、さまざまな国のそれを鑑賞することは、その国民の精神性とかを知るきっかけにもなるので、たくさん観られるにこしたことはないのであるなと思った。というどうでもいいアホな感想です。
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