マン・ダウン 戦士の約束
アマゾンプライムであらすじを読んで、戦地から帰った復員兵が故郷でも過酷な戦闘を繰り広げるSF作品かと思って鑑賞したら全然違った。シリアスで悲惨な話だけども、鑑賞して損はない作品。ネタバレあり。
―2017年公開 米 91分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:「陰謀の代償 N.Y コンフィデンシャル」のディート・モンティエル監督が、戦争がもたらす傷を描写した戦争ドラマ。海兵隊員ガブリエルがアフガニスタンの戦場から帰還したところ、故郷はまるで異世界のように荒廃し、妻子も街の人々も姿を消していた。主人公の帰還兵を「フューリー」のシャイア・ラブーフが、彼と行動を共にする友人を「スーサイド・スクワッド」のジェイ・コートニーが、アフガニスタンに駐留する大尉を「裏切りのサーカス」のゲイリー・オールドマンが演じる。(KINENOTE)
あらすじ:アメリカ軍海兵隊員ガブリエル・ドラマー(シャイア・ラブーフ)はアフガニスタンの戦場に赴任。想像以上に過酷な任務だったが、故郷で待つ妻ナタリー(ケイト・マーラ)と息子ジョナサン(チャーリー・ショットウェル)を思い、自らを奮い立たせてきた。ようやくアメリカへの帰還が叶うが、ガブリエルが目にしたのは建物や橋が崩壊し住人たちも消えた変わり果てた故郷の姿だった。街に何が起きたのかわからないまま、一緒に帰還したデビン(ジェイ・コートニー)とともに家族の行方を探すが……。(KINENOTE)
監督:ディート・モンティエル
出演:シャイア・ラブーフ/ケイト・マーラ/ジェイ・コートニー/ゲイリー・オールドマン
ネタバレ感想
冒頭に書いたようなSF的内容を期待していたが、過去と現在が交錯する展開になっているため、途中からこの作品は想像していたものと異なり、もう少しリアリティのある話だと理解した。SF的な展開で物語を進めるなら、何度も現在と過去を交錯させる描写は必要ないと思ったからだ。
そもそも、帰国した故郷があそこまで荒廃した世界になっているなら、空港から降りたときの描写などが普通はあるはず。そうでないと物語に説得力が出ない。そんな風に考えながら鑑賞してて、これはきっと夢落ち的な悲惨な話なんだろうと考えた。
しかし、そうではなく、主人公のドラマーは精神がどうかなってしまい、幻覚みたいなのを見るようになっていたみたい。だから、彼にとっては荒廃したように見えているだけで、リアルな世界は何も変わっていなかったのである。
しかしまぁ、気の毒な主人公だと思った。何となく親友の誘いに乗って軍隊に入ったのが運のつき。アフガニスタンで現地の民間人親子を殺したことがトラウマになっちゃう。
しかも、そのときの戦闘で親友は死んじまうし、さらにその親友が、ドラマーの妻を誘惑していたのである。妻はその誘いに乗らないようにしたみたいだけど、親友とのチャットの会話で「間違っていた」という表現を使っていることから、一回くらいはセックスしちまったんだろうなと思われる。
それを知っちゃったドラマーは、帰国してからも奥さんに心を開けず、精神崩壊しちゃったのか路上生活者兼息子を監視するストーカーみたくなっちゃうのであった。悲惨。鑑賞者もマン・ダウンしちゃう話でありましたな。
ちなみに、ラストでイラク戦争とアフガニスタン紛争に派兵されて復員した兵のうち、5人に1人がPTSDに悩まされ、20万人が路上生活者になっていると字幕が出ていた。これまた酷い話である。
この字幕をそのまま受け取るなら、20万人どころじゃない兵隊さんがイラクとアフガニスタンに派兵されたと想像されるんだが、調べた感じだとイラク戦争だけで派兵されたアメリカ軍の合計が20万ちょいくらいっぽい。
では、20万の路上生活者とはイラクとアフガニスタンだけでなく、アメリカ人の兵役経験のある人間の中で、20万人が路上生活者ってことだろうか。いずれにしてもすごい数であるのは確かだけど。こういう作品を見ると、戦地に行く人と戦争を始める人たちの格差を思って、暗い気持ちになると同時に、憤りを感じてまうのであった。
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