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映画 生きててよかった ネタバレ感想

生きててよかった
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生きててよかった

元プロボクサーが、引退後、何をやってもうまくいかずにいたら、地下格闘技への参加を要請された。やってみたらのめり込んじゃって、奥さんとの関係もまずくなってくんだけども、闘うことへの情熱には抗えず、試合を重ねていく。その先には何があるのか。戦闘狂とその妻の生き様を描いたヒューマンドラマ。ネタバレあり。

―2022年公開 日 119分―

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解説とあらすじ・スタッフとキャスト

解説:プロボクサーだった経歴を持ち、ドニー・イェンが認める<逆輸入俳優>木幡竜が主演を務めた本格アクション映画。年齢と身体の限界を超えてもなお闘い続けることにしか生きる価値を見出せない元ボクサーの狂気と本気をスリリングに描く。木幡竜が演じた創太には、木幡自身がプロボクサーを引退しサラリーマンを経て俳優になった頃の不遇の時代が反映されているという。木幡は中国映画「南京!南京!」(09)の出演を機に、単身中国に渡って中国語を学び、アンドリュー・ラウ監督の「レジェンド・オブ・フィスト 怒りの鉄拳」(10)でドニ―・イェン、 スー・チー、アンソニー・ウォンらと共演。昨年は綾野剛主演ドラマ『アバランチ』の“最狂の敵”役で注目された。監督・脚本を務めたのは「くそガキの告白」(11)がゆうばり国際ファンタスティック 映画祭で審査員特別賞ほか 4 冠を獲得した鈴木太一。(KINENOTE)

あらすじ:長年の闘いが体を蝕み、ドクターストップによって強制的に引退を迫られたボクサー・楠木創太(木幡竜)は、闘いへの未練と執着を捨てきれずにいたが、恋人との結婚を機に引退を決意する。新しい生活を築くために仕事に就くも、人生の大半をボクシングに捧げてきた創太は何をやってもうまくいかないうえに、社会にも馴染めず苦しい日々を過ごしていた。そんなある日、創太のファンだと名乗る謎の男から大金を賭けて戦う欲望うずめく地下格闘技へのオファーを受ける。一度だけの思いで誘いに乗った創太だったが、忘れかけた興奮が蘇り、再び闘いの世界にのめり込む。彼にとってその高揚感は何物にも代えがたいものだった。闘うことに取り憑かれた男の狂気と愚直なまでの生き様は、果たして喜劇となるか悲劇となるか? 今、再び闘いのゴングが鳴る――。(KINENOTE)

監督:鈴木太一
出演:木幡竜/鎌滝恵利

ネタバレ感想

木幡竜氏は元ボクサー

気になってたけど劇場に行かなかった作品がレンタルされてたので鑑賞。主役を務めた木幡竜は大橋ボクシングジムに所属したこともある元プロボクサーだそうだ。んで、中国でも映画作品にけっこう出てて、ドニーイェン先生が主演の『レジェンドオブフィスト怒りの鉄拳』にも出てたらしい。マジか。観たことあるけど、覚えてない。

プロでは2戦しかしてないようだが、アマチュア経験も豊富な人らしいので、シャドーボクシングの動きとかはカッコいい。まさにボクサーって感じ。

その肉体も自分とほぼ同年代とは思えないほどバキバキな肉体で、すごいでありんす。逆に言えば、俺ぐらいの中年でもこの人ほどではないにせよ、鍛えれ続ければあれに近くできるのかもしれないと思えるのは励みになると言えなくもない(笑)。

創太はなぜ闘いたいのか

てなことで、なぜこの作品が気になってたかというと、闘いの中でしか己の生きがいというか、燃える場所を見つけられない男が、どのような結末を迎えるのかってのに興味があったから。

主人公の創太はなぜここまで戦闘狂だったのか。ボクサーとしてもさほど大した実績を残せてないようだが、それでも試合を重ねていた。しかしある日の敗戦でジムの会長からは引退を勧められ、恋人(後の奥さん)からも説得されて、仕方なくその道を選ぶ。

奥さんと結婚してから後は、いろいろな仕事をするもののうまく働くことができずにいて、生活費を満足に稼げない。そして彼の心の中では、まだ闘うことへの欲望がくすぶっているのだ。何でそこまで闘うのか。

いろいろあって彼は、彼のファンだという謎の男の誘いで地下格闘技の世界へ。最初は敗戦するものの、友だちをセコンドにつけつつトレーニングに協力してもらうことで、ボクシング以外の格闘術も身につけて、連勝を重ねるようになっていく。

しつこいけど、何でそこまで闘うのか。やっぱりよくわからない。闘いの中でしか己の生きる術だったり、生きている実感みたいなのを見出せないキャラクターってのは、物語世界の中ではよくある話で、今作の主人公もそういう人なんだろうなってのはわかるんだが

…そうだ、矢吹ジョーだよ。創太は『あしたのジョー』の主人公、矢吹ジョーみたいな男だ。と考えると、この作品の主人公と幼馴染の男は『ロッキー』に影響を受けて、影響を受けすぎて創太は人生をボクシングに捧げ、幼友達は役者の道で大成することを目指して頑張るわけだが、実は主人公の創太の生き方は矢吹ジョー的なのである。

例えば、創太と、ボクシングを止めさせたい奥さんとの関係は、『あしたのジョー』の終盤のほうの葉子と矢吹の関係に似ていなくもない。てことで、この話は表向き『ロッキー』リスペクトだが、話の根幹には『あしたのジョー』リスペクトがあるのではないかというのが、俺の個人的な解釈。

創太と奥さんのラブロマンス作品か

でまぁ、そういう戦闘狂の男の奥さんは大変だなぁというお話なのかと思ってたら、実は奥さんのほうも変な人で、創太がボクサーの頃の試合は一つも観たことがなく、実はその試合の日にはいつも、他の男とセックスしてたのである。なんだそれは。どういう奴なのか。酷くないかね。そういうことが、創太が地下格闘技を始めたことがきっかけでになって明るみになって二人は離婚することに。

この奥さんは創太の幼馴染で、子どもの頃から創太に依存して生きてきたらしい。つまり、彼がいないと生きられない人間なのである。ところが、その創太は闘いでいつ死ぬかわからぬ。そういう不安が試合を見に行かない理由であり、その不安を埋めるために他の男とセックスしていたのかなぁ? よくわからん。

一方の創太は口にこそしないが、奥さんのことを愛しているようで、それを察している幼友達は、奥さんに創太の試合を観させようとする。自分も奥さんのこと好きなくせに。この幼友達のキャラは物語展開上、重要でとてもいいキャラ。まぁでもそれはおいといて、ともかく創太は、奥さんから応援してもらえないことが、戦いを止められない一因だったのかもしれないーーと俺は想像した。

だからこそ、ラストバウトで奥さんに応援された創太は、気力を振り絞って闘い切れたのではないか。すでに離婚してるわけだし、あんな激しいセックスするんなら、もっとお互い向き合ってればいいじゃんとか思わぬでもないが、夫婦とか恋人の関係ってそうなっちゃうもんだよなぁーーと思わされるという意味では、これは二人のラブロマンスを描いた作品だったのかもしれない。

ぼっち野郎の地下闘技場主催者(笑)

という感じに解釈はしてみたが、この作品には説明されないことが多くて、よくわからんことも多い。例えば、創太は亡くなったみたいだが、あれは八百長試合を拒否して勝利しちゃったことで、地下闘技場の主催者の組織に殺されちゃったのか、それとも、長年のダメージの蓄積とか、リング禍によるものなのか。その辺は描かれない。

あと、地下格闘技の主催者である若い兄ちゃんが謎過ぎ。裏社会の人間だったとして、バックに誰がいるのかとか、それとも単独であんな大会主催してるのか、その辺の説明がない。キャラも謎過ぎで、試合に出てる戦士と仲良く友だち付きあいしたがっちゃう、ぼっち野郎なところが意味不明。

気に入らないことがあると、すぐにチャカを出してすごみ始めるところが小者臭満載だし、マジでキモい(笑)。自分より強い人間を自分の手で操ることで優位に立ち、その力関係をつくったあとでしか親密な付き合いができないんだとしたら、この作品中でもっとも不幸な主要キャラだな。

いずれにしても、そういう細部はあえて描かずに、主人公の心情もセリフなどではほとんど説明しない、その見せ方はあえて作り手が狙ったものなんであろうから、そこを腐したいわけではなくて、期待した通りには楽しめた。

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