ヘルドッグス

ヤクザ組織に潜入捜査官として派遣された男が、狂犬と呼ばれる男を飼いならして相棒に加え、組織で成り上がりつつ任務を遂行していく話。アクションはすごいが人が多すぎてややこしく、相棒との関係がちょっともったいないが、そこそこ面白い作品。ネタバレあり。

―2022年公開　日　138分―

解説とあらすじ・スタッフとキャスト
ネタバレ感想
1. 関連

解説とあらすじ・スタッフとキャスト

解説:「関ヶ原」「燃えよ剣」に続き原田眞人監督と岡田准一が組み、深町秋生の人気小説を映画化した犯罪サスペンス。警察からヤクザ組織・東鞘会への潜入を強要された兼高は、相性98％と分析された室岡に接近。二人は最強の狂犬コンビとしてスピード出世し……。獰猛な兼高昭吾を岡田准一が、兼高とバディを組む室岡秀喜を「余命10年」の坂口健太郎が、ヤクザ組織の若きトップ・十朱をロックミュージシャンで「不屈の男アンブロークン」など俳優としても活動するMIYAVIが演じるなど、豪華出演陣が集結。(KINENOTE)

あらすじ:警官時代に愛する人が殺されるのを止められなかったことがトラウマになっている兼高昭吾は、正義も感情も捨て、復讐するためのみに生きていた。警視庁組織犯罪対策部特別捜査隊班長の阿内（酒向芳）はそんな彼に、関東最大のヤクザ組織・東鞘会への潜入を強要。警察の目的は、東鞘会の７代目会長・十朱（MIYAVI）が持つ秘密ファイルを手に入れることであった。警察は、心に深い闇を抱え組織内でも制御不能な存在であるイカれたサイコボーイ・室岡（坂口健太郎）に喧嘩を売り、それをきっかけに東鞘会・神津組へ潜入するよう兼高に指示を出す。兼高と室岡の相性98％という警察のデータ分析結果の通り、二人は互いの心の隙間を埋めるかのようになくてはならない存在になり、最強の狂犬コンビとして猛スピードで組織を上り詰めていく。そして二人はボスである神津組組長・土岐（北村一輝）の推薦で、十朱の護衛に抜擢される。一方、スピード出世する兼高を妬む土岐の部下・三神（金田哲）は、兼高が潜入捜査官であるとの情報を掴み……。(KINENOTE)

監督・脚本:原田眞人
原作:深町秋生:(「ヘルドッグス地獄の犬たち」（角川文庫/KADOKAWA刊）)
出演:岡田准一/坂口健太郎/松岡茉優/北村一輝/大竹しのぶ/MIYAVI/村上淳

ネタバレ感想

ネットフリックスで鑑賞。原作は未読なのでどのくらい映画と異なる点があるかは不明。去年公開時の予告を観る限りヤクザ世界を舞台にしたバイオレンスアクションで、しかも主演は格闘シーンをうまく演じられる岡田准一が主演てことでけっこう期待できる内容だなと思っていたが、劇場には行けず。

岡田准一は原田眞人監督と『燃えよ剣』でもけっこうなアクション魅せてくれてたし、あの作品も期待を越える水準だった。で、肝心の今作もアクションシーンは満足させてくれる仕上がりだったなぁ。仮にこれが邦画の規模じゃなくて韓国とかで作品化されてたらもっとすごかったのかもしれないが。

まぁともかく、それなりに楽しめる内容だった。兼高と室岡の関係性も序盤のほうはなかなか魅せてくれて、ある意味ではおホモだち的な想像すらさせられる。男同士の友情ってのはそういう雰囲気すら醸すものであるから、その辺がきちんと描けているのはよろしかったね。

ところが、終盤に進むにつれてこの関係に亀裂が入っていくわけで、そこからラストに至る展開に少しヌルさを感じてしまった。というのも、室岡は兼高がスーパー殺人事件の犯人たちを抹殺していることに歓喜していて、尊敬の念を持っているわけだから、その本人が目の前にいることを知って、それが憎悪に変わるところにちょっとした違和感。もちろん、兼高が出世していき自分とのコンビが解消されてしまったことにより、兄貴と一緒にいられない不満もあるだろうし、自分が置き去りにされてる感があるが故に兼高憎しとなるであろうこともわからんではないが、そんな簡単に手のひら返せるもんかねぇ。

まぁそこは不問に付すとしても、ラストで兼高は室岡を殺しちゃうのは仕方ないが、自殺を止められちゃうのはなんとも。やっぱあそこで兼高は死ぬべきだったように感じちゃう。その結末を迎えてこそ、二人の関係性が鑑賞者の目によって修復されるわけで、生き残っちゃったことによって、兼高が過去の室岡との出会いを描いたラストの回想シーンのウェット感みたいのが薄まっちゃっているような気がしたんである。

あとは、登場人物が意外に多く、顔と名前を一致させることができずに物語がグイグイ展開していくので、初見だと登場人物の相関図をイメージするのに苦労しちゃったな。

とはいえ、娯楽作品としては楽しめる内容なので、見てよかったとは思う。