フィアレス
飛行機墜落事故で奇跡の生還を遂げた男が、死を恐れぬ心を手に入れたものの生きる実感を失ってしまってジタバタする話。生還した男が世の中の常識的生活になじめなくなっているところが何だか文学青年みたいな感じに見えちゃう話。ネタバレあり。
―1994年公開 米 122分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:飛行機事故から奇跡的に生還したことを契機に、死の恐怖から開放された男の行動を通して、生と死の意味を問う異色のヒューマン・ドラマ。ラファエル・イグレシアスが91年に発表した同名小説を彼自身が脚色し、「いまを生きる」「グリーン・カード」のピーター・ウィアーが監督。製作は、92年に他界した「推定無罪」のマーク・ローゼンバーグと、「白く乾いた季節」のポーラ・ワインスタインの夫婦の共同。撮影は「バグジー」のアレン・ダヴュー、音楽は「危険な年」「刑事ジョン・ブック 目撃者」などでも監督と組んだモーリス・ジャール、美術は「モスキート・コースト」のジョン・ストッダートが担当。主演は「フィッシャー・キング」「失踪 妄想は究極の凶器」のジェフ・ブリッジス(主人公が心象風景として描く画は彼の筆による)。共演は「愛の果てに」のイザベラ・ロッセリーニ、「忘れられない人」のロージー・ペレズ、「バートン・フィンク」のジョン・タトゥーロ、「アマデウス」のトム・ハルスら。(KINENOTE)
あらすじ:大勢の犠牲者を出した飛行機墜落事故が発生した。奇跡的に命を取り留めた建築家のマックス(ジェフ・ブリッジス)は、その日から別人に生まれ変わった。苺アレルギーが治って平気で食べられるようになり、重度の飛行機恐怖症もなくなった。家に帰ってからも、彼は妙に生き生きとした表情で、死に直面した瞬間に見た不思議な光を追い求めて、往来の激しい車道を突っ切ったり、高いビルに登ったりと奇行を繰り返した。妻のローラ(イザベラ・ロッセリーニ)は不安な思いで見守るが、事故現場で多くの生存者を誘導して助けた彼を、マスコミは救世主のように書き立てた。一方、同じ事故で赤ん坊を死なせたカーラ(ロージー・ペレズ)はショックから立ち直れずにいた。航空会社から派遣されたセラピストのビル(ジョン・タトゥーロ)は、まったく対照的な症状を示す2人を思い切って接触させてみた。最初はかたくなだったカーラも、いつしかマックスだけには心を開くようになる。ある日、2人はデパートへ行き、マックスは父へ、カーラは子供へ、死んだ者へのプレゼントを買う。彼女は自分が手を放したせいで赤ん坊が死んだと思い込み、罪悪感から逃れられないでいた。マックスは買ったばかりの工具箱を抱かせ、車を猛スピードで壁に激突させて事故を再現する。たとえ彼女がしっかり抱いていたとしても、やはり赤ん坊は死んだのだということを悟ったカーラは、罪の意識から開放された。相変わらずのマックスは退院後、家に戻った。弁護士のブリルスタイン(トム・ハルス)は、事故で死んだマックスの友人ジェフの遺族のためにもできるだけ多くの賠償金を取れそうだと言う。それを聞きながら苺を口に放り込んだマックスはその瞬間、激しいアレルギー症状を起こし、死の淵であの不思議な光を見る。だが、ローラの必死の救急措置で命を取り留めた彼は、生のすばらしさを実感するのだった。(KINENOTE)
監督:ピーター・ウェアー
出演:ジェフ・ブリッジス/イザベラ・ロッセリーニ/ロージー・ペレズ/トム・ハルス/ジョン・タトゥーロ/べニチオ・デル・トロ
ネタバレ感想
適当なネタバレあらすじ
主人公のマックスは飛行機事故で死にかけて、しかし奇跡的に生還したことで、一度心が死んでしまったようで、死を恐れない人間になってしまう。
逆に、生きていることにも実感が得られないようで、同じように事故から生還した女性のカーラと一緒にいることにしか救いを見出せない。いっぽう、息子を助けられなかったカーラは悲しみにくれているが、マックスとの交流を通じてその悲しみから立ち直っていく。
だが、マックスは他の生還者を含めて他人に寄り添うことはできたが、家族とは以前のような生活ができずに離婚の危機を迎えてしまう。とはいっても、悲しみから立ち直ったカーラは彼のもとを去っていく。家族のもとに帰ったマックスは、アレルギーのあったイチゴを口にして死の淵を彷徨い、奥さんの救護を経て生の世界に戻ってきたのであった。というのが超適当なあらすじ。
ジェフブリッジスはいい役者
いつだか忘れたが、深夜に地上波かなんかで放映されてて、けっこう面白かったのでDVDを購入。以降、何回か見ている作品。ジェフブリッジスのほか、ジョンタトゥーロやチョイ役でべニチオデルトロも出ていて、なかなかに豪華。
死を恐れなくなったマックスはアレルギーのあるイチゴを食っても全然平気だったのに、なぜラストでは発作を起こせたのかは謎だが、なかなかいい話。今こうして中年になってから本作を観てみると、死ぬことを恐れなくなった人間でいるよりも、死を恐れて生を実感して生きることこそが、人生の幸福を見出せるのだーーというようなメッセージが込められているように感じる。
若い頃に鑑賞したときは、マックスは生還後、生の実存に悩み、世の中で行われてる常識的なことのすべてがアホらしく見えちゃう人間になってしまっているような、世の中を斜に構えて観ちゃう、いわゆるこじらせ屁理屈文学青年になっちゃったように見えて、そこに感情移入して楽しんでいたなぁ。
まぁいずれにしても、大した話ではないんだけども、たまにみるとそれなりに感慨深いものがある、いい作品だと思います。ジェフブリッジスっていい役者だよなぁ。彼が演じたからこそ、この映画は心に残っているんだろう。おそらく。
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