EXIT
―2019年公開 韓 104分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:高層ビル内で有毒ガスの危機に直面した人々の脱出劇を描いたサバイバル・パニック。韓国の都市部で、原因不明の有毒ガスが発生。人々がパニックに陥る中、高層ビル内で行われた母の古希祝いに参加したヨンナムは、大学時代の後輩・ウィジュと再会するが……。出演は「建築学概論」のチョ・ジョンソク、「コンフィデンシャル/共助」のユナ(少女時代)。監督のイ・サングンは本作で長編映画デビュー。(KINENOTE)
あらすじ:韓国のある都心部。突如、原因不明の有毒ガスが蔓延し始める。道行く人たちが次々に倒れ、パニックに陥る街……。そんな緊急事態が起きているとも知らず、高層ビルにある母の古希を祝う会場を訪れた無職の青年ヨンナム(チョ・ジョンソク)は、大学時代に想いを寄せていた山岳部の後輩ウィジュ(ユナ)との数年ぶりの再会に心を躍らせていた。その間、彼らにも有毒ガスの危険が迫る。だが、彼らがいるのは、地上数百メートルの高層ビル群。逃げ場のない危険な空間を命綱なしで登り、跳び、走る。果たして、2人は無事に街を脱出できるのか……?絶体絶命の中、決死の脱出劇が幕を開ける!(KINENOTE)
監督・脚本:イ・サングン
出演:チョ・ジョンソク/ユナ
ネタバレ感想
韓国産のパニック作品。有毒ガス単体のパニックものって珍しい。例えば、火災によって有毒ガスが…みたいのはありそうなもんだけど、今作はある化学薬品企業にうらみのある男が、韓国の街に毒ガスをバラまいちゃうという展開。
で、その街にたまたま親の古希祝いをしに来た主人公が、命をかけて有毒ガスから逃げ続ける様を描いている。
内容としては安心して鑑賞できるパニックものとして王道的展開を貫いた娯楽作品って感じ。王道って何かというに、主人公がまともな倫理観の持ち主で、他人のために自分を犠牲にして動ける人物というところ。そして、ラストはきちんと生還するところ。また、その間に、家族愛が描かれるところ。この辺はパニック作品の展開としてありがちではあるものの、そこが王道と言えば王道なのだ。ついでに、ここに主人公の成長と恋愛要素を挿入することで、娯楽的な面白さも付加しているのである。
てなことで、娯楽作品として安心して楽しめる水準。アサイラム社などのz級お笑いパニックの方向に行かないのは、さすがにレベルの高い韓国映画というところか。
だが、個人的には俺が好きな韓国映画は社会派やバイオレンスな作品などが好きなので、この手のコメディ色もある作品は苦手と言えば苦手。評判はかなりいいみたいだけど、そこまでは期待せずに鑑賞し、想像を超えるところはなかったなぁという印象だった。これは好みの問題なので、決して作品が悪いわけではない。
その中で良かったなと思うのは、主人公のパートナー役を務める娘さんのキャラがいいところ。あとは、前述したように、パニックの原因が有毒ガスってところに新鮮さがあった。さらに、ボルダリングオタクの主人公が、高所も厭わずに持ち前のテクニックでビルの壁面を上るシーンなどはスリリング。俺は高いところ苦手なので、あれは無理。ついでに、ボルダリングって全身鍛えられる競技らしくてやってみたいんだけど、メチャクチャ大変そうだなと思った。
逆に、ちょっと物足りないのは、街中に致死率の高そうなガスが蔓延しているのに、犠牲となる人がほとんど描かれないので、パニック感があまりない。その辺はこの映画の作風なんだろうから、あえてそうしているんだろうなとは思うものの、パニックものとしてはやっぱりもう少し毒ガスの脅威を描写したほうがよかったのではないかと。
あと、主人公とパートナーが劇中に死んだと思わせるシーンがある。で、その危機を脱出する様を描かずに話が続いていって、なぜかその九死に一生シーンをエンディングで流していた。あれはどういうことを狙った演出だったんだろうか。よくわからん。
てなことで、肩ひじ張らずに楽しく鑑賞するには十分な内容ではあったかな。
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