コールド・バレット 凍てついた七月
主人公に息子を殺された親父が、主人公をストーカーして嫌がらせする話だったのが、気付くとその親父と主人公が仲間になって、事件の裏にある陰謀に関わっていくようになる超展開な作品。ネタバレあり。
―2014年公開 米=仏 110分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:「肉」のジム・マイケル監督、脚本の本格スリラー。日本劇場未公開。(KINENOTE)
あらすじ:1989年、テキサス東部。深夜、自宅の一軒家に何者かが侵入し、家主の男性リチャードは自分の拳銃でその青年フレディを射殺してしまう。警察は正当な自己防衛だったと判断するが、フレディの父親ベンは自分の怒りをリチャードにぶちまける。直後、何者かがリチャードと妻アン、幼い息子ジョーダンが住む自宅に押し入る事態が。要請を受けた警察がリチャードの家を警護する中、また何者かが侵入し、すぐに逃走してしまうが……。(KINENOTE)
監督:ジム・マイケル
脚本:ジム・マイケル/ニック・ダミチ
出演:マイケル・C・ホール/サム・シェパード/ドン・ジョンソン/ヴィネッサ・ショー/ブローガン・ホール
ネタバレ感想
適当なネタバレあらすじ
妻子と普通の生活をしている額縁屋のリチャード。ある晩、自宅に侵入者が現れ、彼はビビりながらも父親の形見の拳銃で侵入者を射殺。保安官に調書を取られたが侵入者は前科者の強盗だったので正当防衛が認められた。とは言え人を殺めてしまった悔恨もあり、侵入者の葬式に向かう。
すると、彼の親父がこれまた前科者。しかも恨み言を言われてビビるリチャード。保安官に相談するが、相手にしてくれない。しかし、侵入者の親父=ベンはリチャードの息子の学校に現れるなど、嫌がらせをしてくる。
保安官はその事実を認めてリチャード一家の保護を約束するが、ベンは自宅に侵入してくるなどリチャード一家をおびえさせる。とはいえ何とかベンを逮捕。ほっとするリチャードだが、あるひ保安官事務所の手配書を目にすると、リチャードが射殺した相手はベンの息子(フレディ)とは顔立ちが異なる。
保安官に尋ねると煮え切らない返答をするので不振に思う。そこである晩に保安官事務所に張り込んでいると、保安官たちがベンを連れて、彼を縛り上げて線路に置き去り。これは何かおかしいと思ったリチャードはベンを助けて山小屋に隔離。その後、ベンを説得して真相を知るために息子の墓を暴くと、そこには別人の死体が。
これは何かの隠ぺい工作が働いていると感じたベンは朝鮮戦争時代の戦友だった探偵=ジムに声をかける。ジムが中心となっていろいろ調べていくと、フレディは、ヒューストンのマフィアと関わりがあって、裏切りでもしたのか命を狙われているので、組織の内情をゲロするのと引き換えにFBIに助けを求め、証人保護プログラムの対象となり、別人になりすまして隠遁生活をしていたのだ。
フレディの居場所をつきとめた三人は彼の自宅に向かう。すると彼は、他の悪友たちと組んで、未成年の女の子とわいせつ行為をしつつ、最後には暴行を働くAVビデオを撮影していたのである。FBIはマフィア撲滅のが大事なので、フレディの悪事は些末なこととして黙認しているらしい。
ベンはいろいろ煩悶しながらも、責任を果たすためにフレディの殺害を決意する。関わりのないリチャードは自宅に戻るものの、ベンとジムのことが気になったので、武器を調達して二人のところに戻った。そして3人はフレディたちのアジトに乗り込み、血みどろの闘争の果てに一味を全滅。リチャードは家族の元へ帰っていくのであったーーというのが適当なネタバレあらすじ。
ある種の迫力はある。あと、ドンジョンソンがよい
なんだか予想の斜め上行くような展開のヘンテコ作品だった。冒頭から中盤くらいまでは、リチャードがベンに嫌がらせをされる内容なので、そこを膨らませてよくある感じの、異常者に平凡な家庭が悩まされるような話になるのかと思っていたら、実はそうではなく、こっからはベンを中心に話が展開していく。ところが最後はリチャードが目的を達成して家族のところへ戻ってハッピーエンド。結局何がしたかったかよくわからんのだけど、ある種の迫力はある内容の謎作品だった。
特に後半の暗くて閉塞した感じが何とも言えぬ。最後の銃撃バトルも迫力はないものの緊迫感があって、楽しめる。あと、ドンジョンソンが派手に登場してからは彼の存在感に釘付け。相変わらずカッコいいのである。
ただ、やっぱり話の焦点をどこにもっていきたかったのかよくわからん。リチャードが殺した男は結局誰だったん? FBIはプライス保安官にまで圧力かけてベンを殺そうとしてたみたいだけど、ベンを殺すことになんのメリットがあったんだろうか、謎。途中から保安官たち物語に絡んでこないし。リチャードは一回の殺しを経て、戦士のような面構えになっていくが、彼の成長を描きたかったようにも思えないし、狂気にハマっていく感も特にない。
コメント