ノー・エスケープ 自由への国境
メキシコからアメリカに不法入国しようとした主人公(モイセス)ら一行が国境近くでハンターに狙われ、次々に射殺されていく。果たしてモイセスはうまく逃げおおせて国境を越え、妻子の待つアメリカで暮らせるのか――という話。ネタバレあり。
―2017年公開 墨=仏 88分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:「ゼロ・グラビティ」のアルフォンソ・キュアロンが製作を務め、息子ホナス(監督も兼任)の脚本を映画化したサスペンス。アメリカに不法入国を試みた15人のメキシコ人たちが、逃げ場のない砂漠の国境地帯で銃撃を受け、命懸けの逃走劇を繰り広げる。主演は「俺たちサボテン・アミーゴ」のガエル・アルシア・ベルナル。(KINENOTE)
あらすじ:メキシコ=アメリカ間の砂漠の国境。不法入国を試みるモイセス(ガエル・アルシア・ベルナル)と15人の移民たちに突如、どこからともなく銃弾が襲いかかる。襲撃者の正体は不明。摂氏50℃。水なし、武器なし、通信手段なし。“自由の国”を目指す命懸けの逃走劇が今、幕を開ける!(KINENOTE)
監督:ホナス・キュアロン
出演:ガエル・ガルシア・ベルナル/ジェフリー・ディーン・モーガン/アロンドラ・イダルゴ
ネタバレ感想
不法入国は射殺! 謎のハンター
あの、謎のハンターって普段は何で生計たててるんだろうか。まさか本作で描かれたように不法入国してくるやつらを射殺するのが仕事? 仮にそうだったら、その職業が倫理的に許されるかどうかはおいといて、なんであんな執拗に主人公たちを追い続けたかは理解できる。
終盤は愛犬を殺された怒りで動いていたのかもしらんが、それまでの間に彼は10人以上を容赦なく射殺しているわけで、その動機がよくわからんのは不気味ではあるものの、もうちょっとその辺の説明があってもよかった気がしなくもない。
決死の逃亡劇なんだけど…
ということで、もう少し社会派な内容も織り交ぜられているのかと思ったけどそんなこともなく、この作品は単に、ハンターに訳も分からず(不法入国しているからではあるが)襲われる人間たちの恐怖を描いたものなのかもしらん。つまり、狩られる者と、狩る者との追いかけっこを描くサスペンス劇ということだ。
ただ、仮にそうだとしても、なんか物足りなかったな。追われる者と追う者の作品と言えば、『激突!』という名作があるけども、あれに比べちゃうとさほど緊迫感もなく、何かを感じさせる広がりもあんまりないような印象。
主人公たちは丸腰なのにライフルで狙われているんだから、逃げ続けるしかないってのはわからんくもないけど、それなりに人数がいた時点で冷静に対策を立てていれば、もう少し犠牲者は少なくできたような気がしなくもない。
もう少し逃亡に工夫があれば
そのためにはまず、犬だ。どうせ逃げたって犬のスピードには勝てないんだから、致命傷を負わないで済むような防御策をとってから、複数人で迎え撃てばよかったような気が。
あと、主人公らはハンターに背中を向けて直線的に逃げ続けるけども、覚悟を決めて横の動きを入れて隠れながら移動してハンターの背後をとるとか、何でそういうのを考えないのか不思議でならなかった。そういう工夫の描写があったほうが、より逃亡劇としては楽しめたと思うんだが。
てなわけで、終盤の主人公の偶然の戦術は、味方が複数いるときに使ってれば、もっとなんとかなったのではないかと思った。みんなかたまって一緒に逃げるから追いかけやすいのであって、バラバラの方向に逃げようと思えばできたわけだし。
まぁ、そんな文句を言ってもしょうがないんだけどね。
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