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映画 訣別の街 ネタバレ感想 政界のジョンキューザックとアルパチーノ

訣別の街
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訣別の街

NY市長の補佐官として働く若者が、ある少年の死亡事件を調べていくうちに、政界の闇に切り込んでいくことになる政治ドラマ。ネタバレあり。

―1996年公開 米 112分―

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解説とあらすじ・スタッフとキャスト

解説:カリスマ的なNY市長とその補佐官を軸に、腐敗した政界の人間模様をサスペンス・タッチで描いた骨太なエンターテインメント。83年から2年間、エド・コッチ元NY市長の下で助役を務め退官後は会社経営のかたわら、映画「ウォール街」の原作などを手掛けるケン・リッパーのオリジナル・シナリオを、「カッコーの巣の上で」「セント・オブ・ウーマン 夢の香り」のボー・ゴールドマン、「キャット・ピープル」のポール・シュレイダー、ニコラス・ピレッジがリライト。監督には「シー・オブ・ラブ」「冷たい月を抱く女」のハロルド・ベッカーがあたった。製作は「ウォール街」「ストリートファイター」のエドワード・R・プレスマンと、リッパー、ベッカー、チャールズ・マルヴェヒルの共同。撮影は「愛と哀しみの旅路」などアラン・パーカー作品で知られるマイケル・セラシン、音楽は「トゥルーナイト」のジェリー・ゴールドスミス、美術は「摩天楼を夢みて」のジェーン・マスキン、編集はロバート・C・ジョーンズとデイヴィッド・ブレザートン、衣裳はリチャード・ホーナングが担当。主演は「シー・オブ・ラブ」「ヒート」のアル・パチーノと「ケロッグ博士」のジョン・キューザック。共演は「ケロッグ博士」のブリジット・フォンダ、「レオン」のダニー・アイエロ、「エド・ウッド」のマーティン・ランドーほか。(KINENOTE)

あらすじ:ニューヨーク市、ブルックリン。保護観察中のマフィアの麻薬ディーラーと刑事の銃撃戦で、一発の流れ弾が罪のない黒人少年の命を奪った。市民から絶大な支持を受けるNY市長のジョン・パパス(アル・パチーノ)は、すぐに彼の右腕である若き市長補佐官ケヴィン・カルフーン(ジョン・キューザック)に、事件の処理を命じる。複雑な政治局面を乗り越え、今また次期大統領候補と目されるパパスにとって、彼のイメージを損なうような事態は避けなければならない。カルフーンがうまく情報を操作したしたことで、パパスの人気は以前にも増して上昇した。しかし、そのために、殉死した刑事がマフィアと結託していたという憶測記事が流れてしまう。そんなある日、カルフーンは訪ねてきた若い女性弁護士コーガン(ブリジット・フォンダ)から、死亡したマフィアの男の保護観察処分に不正の疑いがあると聞かされる。この事件にはまだ何か隠された秘密があると言う彼女に促されて、カルフーンは再調査を始めるが、パパスはこれ以上の調査は必要ないと言った。それを無視してカルフーンは、事件の鍵を握る老判事スターン(マーティン・ランドー)に会う。高潔で知られた判事は、生涯でたった一度の過ちを悔い、マフィアに買収されて例に男に執行猶予の判決を与えてしまったことを告白する。さらに、判事に賄賂を持ちかけたのは、パパスの進める都市開発を協力にサポートしている議員のアンセルモ(ダニー・アイエロ)だった。しかも、NYの政界にマフィアのボス、ポール・ザパティ(トニー・フランシオーサ)からの大量の裏金が流れているというのだ。調査を進めるうちに、カルフーンの貴重な情報源となった人物が次々と殺されていく。やがて、事件は明るみに出てスキャンダルに発展し、起訴されたアンセルモは自殺した。亡くなった少年の葬儀で、パパスが感動的なスピーチを述べた夜、カルフーンはある決意をもって彼を訪ねた。理想主義をまだ失わないカルフーンの糾弾に、パパスは日々の政務の中で妥協を重ねるうちに、かつて自分の内部にもあったその思いが次第に曇っていったことを告白。彼は時期選挙に出馬せず、辞職すると告げた。パパスの元を去ったカルフーンは市議会議員に立候補し、朝の街頭に立った。(KINENOTE)

監督:ハロルド・ベッカー
出演:アル・パチーノ/ジョン・キューザック/ブリジット・フォンダ/ダニー・アイエロ

ネタバレ感想

高潔な精神でNYの市長職を務めるアルパチーノ=パパス市長に心酔し、彼の補佐官として働くジョンキューザック=カルフーンは、刑事とチンピラの銃撃戦の流れ弾に当たった少年の死亡事件を調査し、上手に処理したことで、パパスの名声を上げることに成功する。

しかし、その事件の裏には政界の闇が隠されており、ブリジットフォンダ扮する弁護士から促されたカルフーンは、パパスの再調査は必要ないという言を無視して事件を調べていく。その中で判明していくのは、政界の腐敗していた姿であったーーというのが適当なあらすじ。

アルパチーノとジョンキューザック共演ってことで、何となく気になってたのでレンタルで鑑賞。なかなか面白いです。

この作品はけっこう希望のある内容で、どういうことかというと、パパス市長はカリスマ性のある人で次期大統領候補とも言われてる人間。彼が、最後は若き日の理想に燃えていた自分の姿をカルフーンの中に見出し、自分は政治の世界から身を引くという決断をするところ。一方のカルフーンはその意志を継いで自らが政治家への道を進み始める。

パパスは白黒では決められない灰色の政治界に入っていったことで、マフィアの裏金に手を染めるなど、自らの理想に反する行為や決断をしていた。そして、カルフーンもいずれはそうなるだろうことを知っている。

なぜなら、政界というのはそうした社会の表裏にいるさまざまな権力者どもの利害で動く世界だからだ。決して一般常識、法律、正義の心、人間全体への慈悲の心では動かせない場所なのである。

ある意味では、自分の信念を貫くために、不正に手を染めざるを得ないことすらある。しかし、彼はそれでもカルフーンに後を託すのである。とても潔い。

という意味では、実はパパスは優れた政治家であったということだ。こんなまともな奴はいないだろうってくらいに。しかし、それでも不正は働いているのである。これをそういうもんだーーで片付けていては、カルフーンの目指すことはできないだろう。ところがやっぱり、権力の上層部に行けばいくほど、確実にそうした腐敗した世界が待っているのである。それを完全に浄化することは、おそらく人類にはできないだろう。それは人類の歴史を振り返ればわかることだ。

――と、だんだんと話が作品とはそれてしまったが、この話は上記のような意味で、希望があるのだ。

ちなみに、アルパチーノの演説シーンが二つくらいあったかと思うが、教会で少年の死を悼みつつも、参列者の心をとらえていく演説の場面は、けっこう恐ろしい。カリスマ性のある権力者のパフォーマンスに大衆が湧きたって一つになっていくあの光景こそが、ある意味では選挙活動などには必要なものなんだろうけど、あれって単なるパフォーマンスでもあるからだ。どっかの国の首相の振る舞いと比べれば、雲泥の差で前者のほうがマシではあるが。

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