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映画『境界線』ネタバレ感想 ボケているのは写真ではなく作品全体

境界線
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境界線

スリラーかつミステリーな内容かと思ったら、全然違った。地球に2人だけになってしまった恋人同士が、他の人間が存在しない世界でどういう末路にたどり着くのかという過程が、淡々と描かれる話。ネタバレあり

―2017年製作 氷=米 91分―

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あらすじ・スタッフとキャスト

あらすじ:アイスランドを旅行中の若いアメリカ人カップルが、ある朝目覚めると、地球中からすべての人間が消えていた。2人だけ残された世界で、どう生き延びるのか。(NETFLIX

監督・脚本:アンドリュー・サリバン
出演者:マイカ・モンロー/マット・オリアリー

ネタバレ感想

なぜかこの世から人類が消えた

この作品では恋人同士のアメリカ人カップル以外、どうして人類が消えちまったのか、謎は解明されない。したがってミステリー的な要素は全くない。まぁでも、実際に一瞬で人類が消失した(消失シーンが描かれない)んだとしたら、解明なんかしようがないんだが。

そして、2人きりになったカップルが生き残りをかけてハラハラドキドキの活劇を繰り広げる内容でもない。では、何なんだろうかね?

2人だけで生きるのはキツイ

主人公の2人は冒頭で仲のよいカップルとして描かれる。男のほうは写真の道で大成したいらしい。女のほうはそれを応援しているようだ。そして彼女はどうやら、クリスチャンらしい。2人は冒頭こそ仲がよいが、2人だけの世界で生きるようになってからは、お互いのエゴだの、考え方の違いなどで喧嘩をしたり、別々の行動をしたりし始める。

これはわかる。そもそも普通の生活をしている場合でも、恋人同士なら起こり得そうなことが描かれるから。

例えばブルーベリーのくだり。あれは賞味期限を守って食料を大事にしたい女のほうからしたら、そのルールを破って食おうとしている男の、子どもじみた行為に腹が立つのは当然だ。男のほうはアホだから、ともかく目の前の自分の食いたいものの誘惑に負けちゃって、ルールを無視してブルーベリーに手が伸びちゃって、女の怒りを買うのである。ああいう軋轢は日常生活の中でも起こりうる。

しかも、あの世界には2人しか人間は存在していないのである。2人しかいないのはツライ。なぜなら、比較する他者がいないために、お互いの考え方の相違が際立ってしまうからだ。とはいえ、お互いがずっと別々に生きられるかというと、なかなかに孤独を感じて、それもツライだろう。

つまりあの2人を観ていると、人間って自分と関係ない無数の他者が存在している(つまり社会がある)から、毎日を生きてられるんだなぁと思わされるのである。

2人は何もしない

人類が消えた世界であの2人は、何も生産的なことをしようとしない。日常であればそれもいいだろう。でも、自分が生きるために必要な諸々を生産してくれる他者がいないにもかかわらず、2人は自らの手で何かを生産しようとはしない(男は水車みたいのつくってたが)。

2人はただ残りの電力や食料を消費するだけで、明日以降を生きるための方策を考えていないように見える。なんでだろうか。2人とも、生きることに希望を見出していない――というか、生き延びることに興味がないんじゃないかと思ってしまった。女のほうはそれでもわからなくはない感じの人なんだけど、男のほうは、もう少し何かを考えなかったんだろうか。よくわからん。

1人と、1人と、1人だ

2人は終盤で、ある老人と出会うことに。つまり、人類は2人でなく、少なくとも3人が生存していたことがわかる。なぜそうなったのか、もちろんそれはわからない。この作品では描かれない。

その老人の言葉で印象的なのは、カップルの男のほうが「3人で助け合っていこう」みたいなことを言うと、「いや、3人ではない。われわれは、1人と、1人と、1人だ」と応える。

この言は恐らく、「人間はそもそも、それぞれが孤立した個としてしか存在できない。誰もが孤独であらざるを得ない。何人の人間がいようが、1人なのだ。複数の人がいても、それぞれが1人なのだ。2人ではない。100人でもない。常に1人なのである」ということを強調しているように感じた。俺がこの作品のよいと思ったのは、唯一、このセリフに対してである。

ラストも何だかよくわからんです

で、出会ったと思ったらこの爺さん、すぐに死んでまうのである。あれは病気なのか何なのか、なんとも意味がわからん死であった。

んで、カップルの女のほうは何もかもどうでもよくなったのか、それとも絶望しちゃったのか、自殺しちゃうし、男のほうは彼女を助けられなかったことに後悔し、泣きながら車を走らせてエンディング。なんだかよくわからん。

原題は『BOKEH』。写真の中で、意図的にボヤかした部分のことを意味する言葉らしい。確かにこの作品は、全体的にぼんやりした感じで、何だかよくわからないから、タイトル通りではある(笑)。

ちなみに、本作と似たシチュエーションの映画に『スモーク』という映画がある。毛色が異なるとはいえ、作品としてはこちらより説明不足感は少ないミステリーだ。別にオススメはしないけど。

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