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映画 ヨーゼフボイスは挑発する 感想 アートで社会を変革する

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ヨーゼフ・ボイスは挑発する

映画としてはどうかと思うが、これまで全く知らなかったヨーゼフ・ボイスなる人物には興味がわいた作品。

―2019年公開 独 107分―

解説:第二次世界大戦後のドイツで「社会を彫刻する」ことを掲げ、世界中を攪乱した芸術家ヨーゼフ・ボイスの人生に迫るドキュメンタリー。膨大な数の資料映像と新たに撮影された関係者へのインタビューを交え、その様々な芸術活動とボイスの知られざる傷を見つめる。出演は、ヨーゼフ・ボイス、美術評論家のキャロライン・ティズダル、美術史学者のレア・トンゲス・ストリンガリス、美術史学者/アートコレクターのフランツ・ヨーゼフ・ヴァン・デル・グリンテン、作家のヨハネス・シュトゥットゲン、アーティストのクラウス・シュテーク。撮影を「みつばちの大地」のヨーク・イェシェルが担当。監督は『ブラック・ボックス・ジャーマニー』『芝居に夢中』のアンドレス・ファイエル。(KINENOTE)

あらすじ:1921年、ドイツに生まれたヨーゼフ・ボイスは、18歳の時、軍に徴兵され空軍に配属。乗っていた飛行機が敵軍の迎撃により墜落し、頭蓋骨を骨折するなど重傷を負う。ボイスはこの経験を「タタール人に救出され、体温維持のため脂肪を塗りフェルトでくるむという治療によって一命をとりとめた」と語る。このエピソードは真偽が疑われているが、彼の作品には“脂肪”と“フェルト”が繰り返し使用されている。帰還後、ボイスは大学で彫刻を学ぶも、戦争のトラウマから2年にわたる重い鬱病を発症。1957年、そんなボイスをヴァン・デル・グリンテン兄弟は自宅に招く。部屋に籠りきる日々を送るボイスを見かねた兄弟の母が彼を訪ねた際、ボイスは「芸術は終わった」と打ち明けている。鬱からの回復後、彼はセンセーショナルなパフォーマンスで世界中を騒がせるが、それらの創造の根幹には、自身の傷、そして社会の傷への眼差しがあった……。腕に抱いた死んだ野ウサギを絵画に触れさせ、その説明を行う『死んだうさぎに絵を説明する方法』(1965年)、アメリカ先住民の聖なる動物コヨーテと共にNYのギャラリーに籠り1週間暮らす『私はアメリカが好き、アメリカも私が好き』(1974年)などのパフォーマンス、テレビの討論番組で繰り広げた評論家たちとの挑発的な議論から、彼は異端のアーティスト、トリックスター扱いをされる。1971年、教授をつとめるデュッセルドルフ芸術アカデミーにて「基本的人権に反する入学許可数の制限は、公平に解決するべき」と、学生らともにアカデミー事務局を占拠。1979年には、エコロジー運動、反原発・反核運動、学生運動、フェミニズム運動を背景に結成された政党「緑の党」に参加。1986年、デュッセルドルフにて没。ボイスの様々な試みは、現実社会に積極的に関わり人々との対話などを通して社会変革をもたらそうとする「ソーシャリー・エンゲージド・アート」の登場など、現在も美術界に影響を与え続けている。(KINENOTE)

監督・脚本:アンドレス・ファイエル
出演:ヨーゼフ・ボイス

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ネタバレ感想

ヨーゼフ・ボイスのドキュメンタリー

ドイツのアーティスト、ヨーゼフ・ボイスの半生を描いたドキュメンタリー作品。彼を知らない人が観るには説明不足感が多く、人となりを知ることはできるものの、かなりの物足りなさがある。さらに問題なのは、映画的な盛り上がりがないので眠くなるところだ。実際かなり眠れる。

俺はボイスなるアーティストのことをまったく知らなかった。たまたま知人がこの映画のことを話していて、観に行きたいとのことだったので、便乗して鑑賞してきた。そういう機会がないと、俺はあまりドキュメンタリーを映画館で観たりしないので。

映画『袴田巌 ―夢の間の世の中―』袴田事件なんてないんです!
「袴田事件なんてないんです!」袴田氏は何かの会見でこう言っていた。そうなのだ。世間が名付けた事件名、当人にとっては存在しないのである。袴田氏の言えることは、ただそれしかないのだ。

そういう意味では、自分の観たい作品ではなく、人の好みで鑑賞する作品からは得るものも多いということをあらためて体験できた映画であった。ただし、面白いかといわれると、返答には困る。

ヨーゼフ・ボイスは興味深い。コヨーテも可愛い(笑)

ただ、ヨーゼフ・ボイスなる人間には大いに興味をそそられた。作中で紹介される彼の作品を理解できたかというと、まったくもって、わけがわかりません。俺の理解の範疇を超えているので、語ることはできない。唯一、フェルトにくるまってコヨーテと写っている写真はよかったな。コヨーテが可愛いから(笑)。

彼の作品のことはわからぬにしても、討論会とかで彼が述べていることなどは、なかなか印象に残った。彼はアートの力で世を変えようと考えていたようだ。アートにはそれだけの可能性があると。であるから、資本主義や共産主義の世の中を越えていくには、アートによる社会変革が必要ーーというようなことを彼は声高に発する。それについては俺も非常に共感した。

ボイスは社会変革を目指す

俺は、上記のような彼の主張を以下のように解釈した。

アートによって既存の概念とは異なるものをそれぞれの人間が発見し、その概念によって得た新たな認識力が、世を変革するための力になるのだーーと。おそらくそういうことなんではないか。

俺自身が、文芸でも絵画でも踊りでも、およそアートと呼べそうなものなら何でもに期待するのは、そういうことだ。このあたりは、佐々木中氏の『切りとれ、あの祈る手を—〈本〉と〈革命〉をめぐる五つの夜話』を読んだことある人なんかは、同意してくれるんではないかと思いたい。

上記の書籍の内容に触れた記事↓

映画『ラ・ラ・ランド』みんなで夢をかなえよう!
2017年4月までに公開される映画で見たい作品の一本だった本作について。ミュージカル苦手な人間でも見て面白いのか? 結論から言うと、面白かった。やっぱ映画館で見ると全然作品の印象って変わるわな。とうことで、主に夢をかなえるってことについて語ります。

ボイスは人を煙に巻く(笑)

てなことで、ボイスは上記なようなことを述べるんだけども、笑えるのが、具体的にどのようなことをすれば今の世の中を変革できるかについては一切語らないところ。たぶん、具体策みたいなものはなかったんだろうと思われる。その辺は、彼が創作した作品の中に込められているのだと考えるのが、自然なところか。

しかしまぁだとしたら、議論してもあんま意味がないような気もするが、彼は世の中を挑発し続けるのである。そして、するどい突っ込みをしてきた聴衆の言に対しては「それは君の考えだ」で済ませてしまう(笑)。

それを言われちゃったら議論にならんし、逆にボイス自身も「それは君の考えだ」と言われちゃったらおしまいだと思うのだが、作中ではそういうシーンはなかったので、その辺のところはよくわからん。

いずれにしても、ヨーゼフ・ボイスが面白そうな人間だし共感できる考えの持ち主であるということはわかったが、映画的には物足りないのであった。

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