バッド・エデュケーション
ニューヨークの、ある学区を全米4位の学力に引き上げた教育長・フランク。仕事熱心で人気者。数々の功績のある彼はみんなに評価されていたが、実はそこには裏の顔があった…。実話を基にしたヒュージャックマン主演のブラックコメディ。ネタバレあり。
―2019年製作 米 108分―
あらすじ・スタッフとキャスト
あらすじ:ニューヨーク州、ロズリン学区の教育長・フランクと同僚のパムは、学区を全米第4位の成績に導いた功績を認められ、多額の運営資金援助を受けていた。しかし、誰からも親しまれているフランクには裏の顔があった。学生新聞部の部員が怪しい臭いを嗅ぎ取り…。(U-next)
監督:コリー・フィンリー
出演:ヒュー・ジャックマン/アリソン・ジャネイ
ネタバレ感想
先日鑑賞したコリー・フィンリー監督の『見えざる手のある風景』がけっこうおもしろかったので、同監督の作品を探してみたらUnextに今作があったので鑑賞。なんでも実話を基にした話らしい。
自分が受け持つ学区を全米ナンバーワンにしようと奮闘する教育長のフランクと彼の相棒のパム。二人は協力をしあって仕事に邁進し、学区を全米4位にまで引き上げた。その功績もあって二人は周囲から称賛されている。
ところがこいつら、裏で多額の横領をしてたのである。それが明るみになるきっかけは、パムの息子がちょっとしたヘマをしたからなんだが、パムが何食わぬ顔で隠蔽しようと動いてたら話が大きくなってきて、フランクの耳に入っちゃうことに。
んで、パムはこれまで一緒に頑張ってきたフランクだから、自分のことを何とかしてくれるだろうと思ってたら、フランクは表向きは助けてやるような表情をしていながら、彼女をクビに。実は自分も同じようなことをしているし、パムもその事実を知っているふうなんだが、ともかく彼は、自分は清廉潔白な面をしてパムをトカゲの尻尾切りに利用して自身の地位を安泰なものに維持しようとするのだ。
フランクに裏切られた思いのパムは彼を「私をソシオパス扱いするなら、彼はもっとひどいソシオパスだ」みたいに評する。そして、物語は終盤に至るにつれて、確かにフランクのクズ人間ぶりが白日の下にさらされていく展開になっていく。
彼は自分が妻を亡くしたヤモメぶった自己紹介をしているが、実はゲイ。それを隠すために、妻が死んだことにしているのだ。しかし、実際には妻のように接してくれている同姓の愛人がいるのである。にもかかわらず、昔の教え子とも関係を持っちゃっているという。
まぁこの辺の、彼がゲイであるとか二股かけてるとかいうのは、個人的にはどうでもいい話なんではあるが、ポイントは、彼がゲイであることを隠しているということだ。
それが明るみに出るのは、彼にとっては不都合なんだろう。まぁ、教育者であることが彼をそうさせるんだろうけども、自分の印象をマイナスにしてしまうようなことは、隠蔽しようとする体質が彼にあるところが、こうした一連のゲイエピソードからも垣間見えてくるのだ。んで、物語の本筋となる横領事件については、学生新聞の女性記者がフランクの周囲をかぎつけてくることに対し、笑顔で脅しをかけてくるという。
脅しをかけてる時点でクロが濃厚なわけだが、そういうことを平気でやっちゃうところがパムにソシオパスと評される所以であろう。彼は自分の目的達成のためには、手段を選ばない人間になっちゃっているのである。そして、それを悪いことだと思っているのか、思っていないのか。あの笑顔を見ていると、どうも悪いこととは思ってないように俺には感じた。
そんで、そうしたところが、フランクという人間の恐ろしさなのだ。正しい顔をして、正しいことを達成するためには、その過程での悪事は悪事でなくなってしまう。彼の場合は金に目がくらんだパムとは違って、自己実現と名誉欲に目がくらんだと思ったのだが、いずれにしてもクズ人間にはかわりない。
という彼のクズ人間ぶりをさわやかに、ユーモラスに演じているヒュージャックマンがなかなかすごいですな。
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