アリゾナ
―2018年製作 84分 米―
あらすじ:住宅価格が急落したアメリカ。不動産業者の女性は、自宅の資産価値が低下して取り乱した男の怒りに巻き込まれてしまう。理不尽な狂気から逃れる術はあるのか?(Netflix)
主演:ダニー・マクブライト/ローズ・マリー・デウィット/ルーク・ウィルソン
ネタバレ感想
リーマンショックのあおりで自分の家の価値が下がりまくっちまって発狂した男が、家を購入した不動産業者の社長を殺し、その従業員である女性とその娘も亡き者にせんと執拗に追いすがってくるサスペンス。
かなり適当に紹介すると上記のような感じで、バカバカしくて笑っちゃうような展開が続くコメディタッチな内容。かつツッコミどころも満載なので、B級、C級以下と言ってもいいような作品。
でも、短い尺の中で劇終するし、上述のようにところどころ笑える部分もあるので、観ても損はない。しかも、この作品のよいところは、リーマンショック前に住宅が売れまくってた頃に、アリゾナにニュータウンみたいな計画で作られた街が舞台になってて、リーマンショック後に価値が下落した同地が、どのような状況にあるかが描写されてて、けっこうな風刺になっていること。
例えば、僻地につくった街だから、警官(保安官?)の数が圧倒的に少なく、事件が複数起っちゃうと、担当できる人がいなくなっちゃうとか、マジ適当すぎ。街を計画的に建設したというよりは、儲かるから突貫的につくっちゃって、それを維持するための策とかはまったく講じていなかったんだろう。
で、価値が下がりまくってからは、さらに手付かずな土地になっていくんだから、住環境の改善なんて望めない。そんなところでローンだけ抱えて生きていくとかまぁ地獄ですわな。にしても、主人公のオバサンは自分も不動産使う仕事してんだから、もう少しよく考えて購入すればいいのにと思っちゃう。
旦那が不倫しちゃってて、娘はデブってるだけのブタ人間、仕事は糞過ぎるし、何のために生きてるのかよくわからんような人だったが、ある部分においては、アメリカ社会の現状を描写してるような感もあるし、そもそもこの作品の登場人物に感情移入できる奴なんて一人もいないんだけど、発狂して主人公を付け回してくるオッサンも、主人公のオバサンも、ある意味ではサブプライムローンの犠牲者であるわけで、そういう当時のアメリカの社会背景を下敷きにしているところには好感を持った。
――というか、それがなかったら頭おかしいオッサンがオバサンを追っかけまわしてるだけの内容なんであって、それだけでは面白くないに決まってる。
この作品は、ネットフリックスで鑑賞できます。
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