アリサカ
護送中の証人を乗せた車が襲撃された。護衛の警官で唯一生き残った女性、マリアーノは追手から逃げるべくジタバタしてたら、地元の原住民に助けられた。しかし、そこにも追手がやってきて…ネタバレあり。
―2021年製作 比 96分―
あらすじ・スタッフとキャスト
『バードショット』が第29回東京国際映画祭アジアの未来部門で作品賞を受賞したミカイル・レッドは、29歳の若さながら本作がすでに長編7作目となるフィリピン期待の監督。太平洋戦争で日本軍の捕虜となった多数のアメリカ軍兵士およびアメリカ領フィリピン軍兵士が収容所への移送中に死亡した事件「バターン死の行進」を題材とした。タイトルは日本軍が使用した三八式歩兵銃「アリサカ・ライフル」から付けられている。(シネマトゥデイ)
あらすじ:命を狙う追っ手から逃れるため、そして復しゅうを遂げるため、警察官の女性は死の行進を追体験し始める。その歩みの果てに、彼女を待ち受けるものとは?(シネマトゥデイ)
監督:ミカイル・レッド
出演:マハ・サルバドール/モン・コンフィアード
ネタバレ感想
超適当なあらすじ
警官の汚職事件? に関わっている人物たちを知る、どっかの都市の副市長を護送中の警察車。その車に乗っている警官のマリアーノは上司と一緒にその副市長を護衛しているのだ。彼女の車の前後にも護衛のパトカーがいるんだが、そのうちの前を行く車が、なぜか急停車。そして、乗車していた警官たちが護送車に近づいてくる。
そして、事情を聞こうとしたマリアーノの上司を射殺。護送車は銃弾でハチの巣にされる。その中で、運よくマリアーノは生き残った。しかし、今度はパトカーの残骸や死体を始末するために、別の警官たちが現れる。マリアーノが生き残ったことに気付いた彼らは、逃げる彼女を抹殺しようと追いかけてくる。マリアーノは傷を負いながらも森の中を逃げ続けた。そしたら、原住民の女の子と出会った。彼女と出会ってから2名ほど追っ手を返り討ちにしたマリアーノだが、深手を負って気絶。気付いたらそこは、原住民の女の子の家、彼女の家族がマリアーノを手当てしてくれていた。
なんとか歩けるようになったマリアーノは原住民の女の子に森への出口を案内してもらった。しかし、その間に原住民の家を探り当てた追っ手たちは、家族を皆殺しにしてまう。マリアーノは原住民の女の子に、その土地に残るライフルを託される。
それを手にした彼女は、追われる者から追うものへと変わり、憎き敵どもをの頭をライフルで狙いすましては打ち抜いていくのだったーーというのが適当すぎるあらすじ。
不正事件って何だったんだろうね
ネットフリックスで見つけて鑑賞したフィリピン映画。あらすじは上に書いたような感じなんだけども、なんだかよくわからん部分も多い。例えば、マリアーノの回想シーンとして登場する洞窟の描写とか。あそこに出てくるのはソニーとか言うボスだったので、彼女も昔、あの男の組織にいたってことか? それとも、ソニーは元から警官で、何らかの悪さをしてて、それにマリアーノも無理やり加担させようとしてたのが、あの回想シーンってことでいいんかね? たぶん、俺はそっちなのかなと思っているんだが、その辺の詳細説明が、この作品にはない。
そもそも、何かの不正事件の証人を護送してるっていっても、何の不正事件なのかわからんし、出てくる警官のほとんどがマリアーノを的にかけてくる敵だったってことは、組織ぐるみで警官たちが汚職してるってことなんだろうなぁとは思うものの、結局詳細はよくわからん。マリアーノは殺された副市長に託された事件に関わった人間たちの名前を忘れないように、暗唱し続けるんだけども、では、そいつらが何者だったのかという説明もない。
たぶん、そういうのはこの物語においての細部であって、どうでもいいということなんだろう。少なくとも、作り手にとってはそうだったんではないかと。それよりも別のところに見せ場があると。
じゃあそれがどこなんかって言うと、まぁ確かに、最初の襲撃シーンとか、追っ手から逃れる過程とか、ラストのマリアーノが追っ手たちをライフルで返り討ちにしていくシーンなんかは、緊迫感があっていいんだけども、尺の割には静かで必要なのかようわからん回想描写も多くて、はっきり言えば退屈なんである。
死の行進と有坂銃
そんな中で個人的に勉強になったと思うのは、冒頭から出てくる「死の行進」の話だ。実は俺は、第二次世界大戦で日本がアメリカ領フィリピンに攻め込んでたっていうことは知らなくもなかったんだが、その細部なんて全然知らんので、死の行進とか言われても何のことかさっぱりだったのである。なんで、その辺は知らないことを知れてよかったかなとは思う。
で、この物語においては、その死の行進がマリアーノの道程に重ねられているようなんだが、その辺の重なり具合についてうまくいってるのかというと、そうでもないような気がしてならん。もう一つ、原住民が守り続けている土地の話。それを脅かしているのが、この物語でのボスたちであり、マリアーノであるわけだが、それだけではなく、死の行進の際のアメリカ軍や日本軍のことも示しているということだろうか。
仮にそうだったとしても、それ以上のことは何にも察することができないというか、それを示したから何だというのかーーと思っちゃうくらいに、この作品ではそうした社会派な部分が生かされていないように感じてしまった。
また、タイトルのアリサカって何なのかなと思ってたら、日本軍が使用してたライフル銃のことだったみたいね。これもまた初めて知った。
この作品はネットフリックスで鑑賞できます。
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