アーカイヴ
ロボット研究者の男が会社に内緒で亡き妻の記憶を移植したアンドロイドを製作しようと必死こいてたら、ラストでいろいろあって驚いちゃう話。ネタバレあり。
―2021年公開 英 109分―
解説:死んだ妻をアンドロイドとして蘇らせようとするロボット工学者をめぐるSFサスペンス。ジョージは“アーカイヴ”というシステムを利用して亡き妻のデータを取り出し、J1、J2とバージョンを上げたアンドロイドを開発。ついにJ3も完成間近となるが……。出演は、「ダイバージェント」シリーズのテオ・ジェームズ、「カサノバ 最期の恋」のステイシー・マーティン、「アンダーワールド:ビギンズ」のローナ・ミトラ、「ジュラシック・ワールド/炎の王国」のトビー・ジョーンズ。「未体験ゾーンの映画たち2021」にて上映。(KINENOTE)
あらすじ:ロボット工学者のジョージ・アルモア(テオ・ジェームズ)は、日本の人里離れた山奥にある施設で、人型のアンドロイドを開発していた。会社からは成果を上げていないと不評だったが、ジョージは実は亡くなった妻ジュール(ステイシー・マーティン)を蘇らせようと研究を続けていた。ジョージは“アーカイヴ”というシステムでジュールと交流を行っていたが、そこから違法にデータを取り出し、J1、J2とバージョンを上げたアンドロイドを開発する。そしてついに、まるでジュール本人のようなJ3が完成間近となる。J1、J2と家族のように過ごしていたジョージだったが、次第にJ2は違和感を覚えるようになる。さらに、施設が外部の何者かに見つかってしまい……。(KINENOTE)
監督・脚本:ギャヴィン・ロザリー
出演:テオ・ジェームズ/ステイシー・マーティン/ローナ・ミトラ/トビー・ジョーンズ
ネタバレ感想
アマゾンプライムで見つけて鑑賞。ある大企業から3年契約で仕事を請け負ってたロボット研究者が、雇い主の会社に内緒で亡き妻の記憶を移植したアンドロイドを製作しようと頑張ってたら、最後にあれまぁ、そんな結末ですか…と鑑賞者が驚いちゃう展開の作品であった。
もしかしたら、カンのいい人はあのオチにも予想がついちゃうんだろうけど、俺は見事に騙されたな。そこに至る展開は謎の出来事がいろいろ起こるので、ラストまで興味を惹かれるようになってて、そこはいいと思うんだが、だがしかし、展開に興味を惹かれるだけで物語的に面白かったということは全然ない。
結末を知って後に、あらためて再鑑賞すれば、ラストに至る伏線なんかにも気付けるんだろうけども、別にそんなことをしたいとも思う内容ではなかった。
この話のポイントというか、目新しく感じるところは、アーカイヴという、人間の記憶をデータ化することで、肉体がなくても生き続けさせることができるらしいサービスがあること。主人公は事故死した奥さんの記憶をこのアーカイヴに保存することで、電話回線のようなものを使ってデータ化された奥さんと会話ができる。
で、彼は人間に近いロボットを作る仕事をしていて、少しずつ人間に近いそれのプロトタイプを製造し、最終的にはそのアンドロイドに亡き妻の記憶を刷り込んで、昔のように奥さんと生活するような暮らしを目指していたらしい。
ところが実は、死んでいたのは彼のほうで、奥さんがリアルの世界で彼のデータと会話していたのだったーーというのが話のオチ。
であるから、主人公の経験した支離滅裂に思えるような謎展開は、彼のデータ化された世界の出来事だったってことで、その辻褄合わなさとかはラストで不問にされることになる。
その辺はもしかしたら、ちゃんともう一度鑑賞すれば納得のいく謎解きができるのかもしらんが、先述したように、俺はそんな気にはなれない。であるから、どうでもいい。
で、そのつまらないと俺の指摘する展開には、2体目のプロトタイプが3体目をつくるために自分の存在が主人公に邪険にされているように感じる悲しみや、ロボットなのに自死するエピソードが込められてて、「ロボットに感情はあるのか問題」などにも一応言及はされている。物語にはほとんど生かされてないように見えるが。
また、3体目も、きちんと人格を持った存在として描かれるのに、そこに亡き妻の記憶を上書きした場合、3体目のオリジナルの記憶とか人格はどうなってしまうのかという問題が浮上しそうに思うし、それはある意味で主人公による殺人ではないかと考える得るのだが、その辺についてもこの作品は言及することなくさらっと流してしまっている。
その辺は、ラストのオチの部分を重視するのであれば確かに言及されてなくてもいいものなんだけど、実はアーカイヴ化されていたのは主人公でしたーーというオチにしたことで、虚構世界の出来事として不問にしちゃっているところには、やっぱり不満を感じてしまったな。
ちなみに、主人公の働いている研究所は日本の山梨ってことなんだが、山梨にあんな風景はない。また、ヘンテコな日本式居酒屋みたいなのが登場し、そこで主人公と話をする男が「マグロは食うな」というセリフを言うんだが、唐突過ぎて文脈がわからず、意味不明。
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