マルサの女2
今回のマルサ(国税局査察部)のターゲットは地上げ屋とそのボスが運営する宗教法人。社会派な内容をユーモアを交えて描写してくれるので、最後まで楽しく鑑賞できます。ネタバレあり。
―1988年公開 日 127分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:マルサ(国税局査察部)の地上げ屋や宗教法人に対する戦いを描く。「マルサの女」シリーズの第二弾で、脚本・監督は同作の伊丹十三、撮影は「いとしのエリー」の前田米造がそれぞれ担当。(KINENOTE)
あらすじ:マルサこと国税局査察部査察官・板倉亮子に、東京大学を卒業したばかりという部下がついた。亮子はある地上げ屋の脱税を追求していたが、その裏にはもっと大きな力がうごめいていた。それはヤクザであり、宗教法人であり、さらに大物政治家までもが絡んでいた。宗教法人というのはいくらお金をもうけても税金はかからない。そこに目をつけた悪人たちは、宗教法人を隠れミノに金儲けを企む。亮子たちは地上げ屋を繰る鬼沢鉄平という天の道教団の代表に目をつけ調査を始めるが、なかなかシッポをつかまえることができない。亮子らはあるとき税務署員を装い教団へと潜入するが、教徒らによって追い出されてしまった。地上げ屋のマンションの住人や大衆食堂に対する横暴が続く中で、何億円という巨額な金が動いていた。しかし、亮子たちが証拠をつかもうとすると、次々にトカゲのシッポを切るように人が殺されていく。いよいよ脱税の確信をつかんだ査察部は、天の道教団へ乗り込み、証拠書類を押収。鬼沢鉄平を取り調べまで追い込んだ。しかし、最後まで鬼沢は口を割らず挙句の果てに自ら顔を壁にぶつけて血だらけになりながら、「国税局は納税者を拷問にかけるのか」とすごむ始末。しかし、そんなとき取り調べ室まで狙撃された。鬼沢までトカゲのシッポでしかなかったのか。やがて鬼沢の腹心・猫田が死体となって発見され、鬼沢は身重の愛人と巨額の財産を隠していた自分の墓に逃げ込み高笑いし続ける。鬼沢の地上げした土地ではビルの着工を前に地鎮祭が行われ、鬼沢を背後で操って自らは手を汚すことなく利益を得た大臣・代議士・企業幹部が談笑する。その姿を少数の同僚とともにフェンス越しに隠れて見つめていた亮子は、やりきれなさに唇を噛む。(KINENOTE)
監督・脚本:伊丹十三
出演:宮本信子/津川雅彦/丹波哲郎/大地康雄/桜金造/マッハ文朱/笠智衆/不破万作/小松方正/洞口依子/三國連太郎/きたろう
ネタバレ感想
レンタルで鑑賞。このシリーズは中学生くらいの頃に地上波で放映されてたのを見た。以来、今回が久しぶりの鑑賞となった。アホな中学生だった俺は、国税局なんて役所のことは知らんし、「ダツゼイ」が反社会的な行為であることくらいは知ってても、こういう社会派な内容の映画作品にはまるで興味がなかった。
しかし、地上波で放映される映画番組はできる限り鑑賞していたわけで、興味がない内容でもテレビの前には座ることになる。
で、このシリーズについては、前述のように頭の悪い俺でもかなり楽しめたのである。久しぶりに今回鑑賞してみたけども、内容もけっこう覚えてたからね。
伊丹十三監督のすごいのは、こうした際どい社会問題をテーマにし、その闇の深さ皮肉りつつ、ユーモアのある演出をすることも忘れないところだ。であるから、アホな俺にもストーリーを楽しめたのである。
にしてもこうして見返して思うのは、丹波哲郎や津川雅彦の存在感のすごさですな。丹波さんの役が課長だよ、だって。どう見たって部長以上の威厳と貫禄があるんだが(笑)。津川雅彦も然り。
でまぁ、この話は地上げ屋の鬼沢(三國連太郎)がターゲットになってて、彼は宗教法人を隠れ蓑にして脱税をしていたわけである。ところが、鬼沢なんてのは単なる地上げ屋であり、彼の地上げをさせた土地を使って儲けるのは、政治家やら大企業とかなんである。最高にムカつくね。
最近、政権与党がカルト教団とズブズブの関係であることが広く世間に知られるようになったが、こんな世の中になってることを伊丹監督が知ったら、どんな作品をつくってくれるんだろうねぇ。
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