ラスト・パニッシャー

ボスの代わりにムショでお勤めしてたニコケイが、19年ぶりに釈放。自分を嵌めやがったボス以下、組織の奴らに復讐を試みるのだがーー。単なるリベンジものではなく、ニコケイB級映画にしてはなかなかエモくて余韻のある佳作（笑）。ネタバレあり。

―2020年公開　加=米　105分―

解説とあらすじ・スタッフとキャスト
ネタバレ感想

解説とあらすじ・スタッフとキャスト

解説:ニコラス・ケイジが「ビューティフル・ボーイ」（2010／映画祭上映）のショーン・クー監督と組んだアクション。ボスの身代わりとなり服役していたフランクが19年ぶりに釈放される。余命僅かである彼は、愛する者の命を奪った悪党を自らの手で裁くと心に誓う。共演は「ドクター・ストレンジ」のベンジャミン・ブラットほか。特集『未体験ゾーンの映画たち2020』にて上映。（KINENOTE）

あらすじ:フランク（ニコラス・ケイジ）はボスの身代わりになり殺人罪で服役。19年ぶりに釈放された彼は、一人息子のジョーイ（ノア・ル・グロ）と共に、これまで過ごせなかった家族の時間を埋め合わせるように穏やかで幸せな日々を過ごしていく。しかし致死性の不眠症を患い余命いくばくもないフランクは、銃器を手に取り、服役中に大切な人の命を奪った裏切り者たちをこの手で制裁すると心に誓う。(KINNOTE)

監督:ショーン・クー
出演:ニコラス・ケイジ/ベンジャミン・ブラット/カロリーナ・ヴィドラ

ネタバレ感想

ニコケイが主演してなければ観る価値はない（笑）

ニコケイ好き、とくに近年のB級、C級ばかりに出てるニコケイが好きなので、個人的にこうした彼の主演作を見つけては、ニコケイ狩りを楽しんでいる。

ニコケイB級作品はニコケイが出ているからこそ輝くのであり、彼が出てないんだったらほとんど見る価値のない内容のものばかり。しかし、ニコケイだからこそ観たくなるのだ。さすがだ、ニコケイ。

息子とイチャつくニコケイ（笑）

てなことで本作についても、もちろん最初っから内容になんか期待してなかったんだけども、なかなかに見せてくれる作品であった。ボスの身代わりでムショ行きになっちゃって、しかも５，6年のつもりが19年もお勤めすることになって、いざ釈放となったら不治の病抱えちゃってるニコケイ。

自分を嵌めやがった親分とその手下どもへの復讐を図りつつ、亡き妻との間にできた息子に19年ぶりに会えたので、彼のために贅沢なホテル生活を始めるのだ。

息子とイチャイチャしながらショッピングを楽しんだりしてるニコケイは可愛いっちゃ可愛いんだが、男同士であるがゆえにキモさを感じなくもない（笑）。しかし、実はしかし、物語も終盤に差し掛かったところで、息子はすでに死んでいたことが判明するのだ。

つまり、ニコケイは一人でムショから街まで徒歩で戻ってきたのであり、一人で豪華なホテルに泊まり、一人で贅沢なショッピングを楽しみ、一人なのに、息子がいるかのような生活をしていたのである。つまり、幻覚かなんかを見ていたようだ。もしくは、イマジナリーフレンド的なものか。

復讐劇が中途半端に終わるニコケイ

てなると、冒頭の引用してるあらすじは結構際どいネタバレをしてることになっちゃってる（笑）。まぁともかく、気付く人は気付くんだろうが、俺の映画を観る目は節穴なので、きちんとこの展開に驚きを感じることができた。

確かに、よくよく考えてみたら、ホテルの接客係にスマホの使い方を教えてもらうくだりで、息子のスマホ番号が履歴になかったりするところとか、息子に買い与えた高級車を、喧嘩したからとはいえ、なんでニコケイが当たり前のように乗り回してるんだよとか、そういうシーンで、息子がすでにこの世にいないことを匂わせるシーンはあったことに、後から気付いた。

まぁそういういい意味での驚きシーンがあったのち、事件の黒幕は別の奴だったことも判明。ニコケイのリベンジ作戦はかなり中途半端になってしまい、何とも気の毒な感じで劇終を迎えることに。とはいえ、最近のニコケイ作品の中ではしっかりと筋の通った感じのする物語で、なかなかに楽しめた。

ちなみに、ニコケイが好きになっちゃうシモーヌ（ジェニファー）を演じてた女優さんがなかなか美人。どっかで見たことあるような気がして調べたら『スモーク』っていうヘンテコ映画（ポールオースター原作のとは違うやつね）で、ボウボウの腋毛を見せてくれた人だった（笑）。興味がある人はぜひ。