ナイト・ストーム
妻子がありながら金に困っているバディは、ニコケイと彼の妻の住む豪邸の庭にある柵の修理の仕事を請け負う。しかし、ニコケイとその妻は何とも怪しい奴らで、バディは災難を被ることにーーネタバレあり。
―2019年制作 米 97分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:ニコラス・ケイジ主演のアクションスリラー。町に猛烈なハリケーンが近付いていたある日、妻と病気の子どもを抱える求職中のバディは、退役軍人のウォルターから家の柵の修理を頼まれる。バディは高額報酬に釣られて修理作業に取り掛かるが…。(KINENOTE)
あらすじ:町に猛烈なハリケーンが近づくある日、求職中のバディは退役軍人のウォルターという男から、自宅の柵を修理してほしいという依頼を受ける。バディは高額な報酬につられて作業に取り掛かるのだが、ハリケーンの上陸までに終わらず、やむなくウォルターの自宅に泊まることになる。バディはウォルターの魅力的な妻ファンシーから誘いを受けるがまま一夜を共にしてしまうのだが、そこには大きな思惑と秘密が隠されていた…。(amazon)
監督:ステファン・S・カンパネッリ
出演:ニコラス・ケイジ/ケルシー・グラマー/ルーク・ベンワード/ズライ・エナオ/ケイディー・ストリックランド
ネタバレ感想
ニコケイ、カッコいい(笑)
内容になんて、最初から期待していない。最近はヘンテコ映画ばかりに出演し、バカ映画王になってきたニコケイ目当てで鑑賞したからだ。彼の最近の主演作は、そういうスタンスで臨まないといけない。じゃないと、怒りを感じてきちゃうかも(笑)。
ということで、本作では全体的に長髪ながら、前髪はハゲているニコケイがかっこいい。ラスト、軍服きて髪をきちんと整えた正装ニコケイは、そんなにかっこよくない(笑)。でも、カッコよかろうがダサかろうが、ニコケイはニコケイだ。素敵(笑)。
ラストのシーン何なの?
内容はツッコミどころ満載。例えば、ラストの意味深なシーンが何のことかよくわからん。捕まってるはずのニコケイ扮するウォルターの奥さん、ファンシーが、なぜか地下室の扉について言及し、次の手は常に用意してあるーーみたいに言うんだけど、どういうこと?
おまん捕まってるんだし、何もできないだろ。ホラー映画の終わり方みたいだから、幽霊だったとか? んなわきゃないわな。ともかく、作り手もさして深く考えずに挿入したのではないか。
強盗を撃つ元軍人のニコケイ
あと、最初のほうのシーンでニコケイが追い払った強盗はどうなったん? 撃たれて倒れてたと思うんだが。あれはニコケイの射撃のうまさを紹介するシーンなんだろうけども、彼ってば、軍歴そんなに長くないんだよね?
バディに話した軍隊時代の話によれば、戦地に行く前に同僚のミスで手りゅう弾の爆破に巻き込まれてケガかなんかして、それで戦地に行きたかったのに行けなかったら、自分の所属するはずの部隊の仲間が全員死亡してたという。そんで退役したとか。じゃあ、あの冷静な銃の扱いはどうやって身につけたんだろうか。最初から凄腕だったてことかいな?
バディとウォルター(ニコケイ)の戦場でのトラウマ
戦場でのトラウマ話と言えば、バディが船上で仲間を助けられずに逃げたって話、何であんな最後まで引っ張って執拗に告白させようとしたの? 意味わからん。
ついでにバディの奥さん、バディの浮気を知って最初は縁を切ろうとしてたものの、自分と子どもの命が危うくなって、それはそもそもバディのせいではあるんだが、彼の決死の行動によって助かったからか、最後は歩み寄りを見せていた。
だけど、その前段階のバディがブタ箱にいたときの態度はひどいでしょ。とりあえず、話くらいは聞いてやればいいのに。とはいえ、バディがファンシーオバサンとセックスしちゃってるのが悪いのではあるが。
ニコケイは奥さんのファンシーとの問題とは別に、戦場で戦えなかったことを悔いてて、で、戦場に行かせてくれなかった軍の扱いに憤って生きてきたみたいだけど、バカっぽくない?
確かに『ランボー』みたいに、戦地から故郷に帰ってきたら、故郷の奴らの扱いのほうが冷たかったーーというのはわかるんだけど、ニコケイは戦場行ってないからね(笑)。行ってないのに帰らされて、戦ってもいないのに、みんなに酷く扱われたってこと? 何だか意味がよくわからん。
ウォルターはキャラが崩壊してるが、そこが見どころ
意味が分からないと言えば、そもそもニコケイ扮するウォルターってキャラが崩壊しちゃってて、よくわからん奴。奥さんのことを愛してるのか、どうなのかというと、まったく愛してないように見えるんだが、なぜか彼女のしている犯罪に協力してるっぽいし、バディとのコミュニケーションなんて、基地外のそれにしか見えない。
だって、バディが仕事とはいえ柵を直してやってるのに、いきなりその側に空瓶を立てて、ライフルで撃ち抜く遊び始めちゃうからね。同じ軍人出身だから、銃の腕前でマウント取りたかったんだろうか。他にもバディに向かって、「今夜お前は、俺の妻とヤる」とか言い出すし、何なんだよ。実際その通りになるんだけど(笑)。
ラストのほうでは、若者の行方不明事件への関与が疑われて警察に家宅捜索されちゃって、奥さんのファンシーは泰然としてるのに、1人でテンパり始めて、あろうことか、ファンシーを置いて逃げちゃうニコケイ。すがすがしいクズ(笑)。
このとき彼が乗ってる愛車がどっかの作品で観たことあるような車で(『60セカンズ』か『ウィリーズワンダーランド』かも)。よく考えたらニコケイ本人も車が好きらしいから、彼の趣味が爆裂した車なのかも知らん。
てのは置いといて、ともかく最初から最後まで、基地外キャラでよくわからんウォルターなんだが、これをニコケイが演じてると笑えてくるのである。だから、このウォルターの奇行はある意味で本作の見どころになっている。
奥さんのファンシーも…
そして、もう一つの見どころが、ウォルターを上回るくらいな基地外である、彼の奥さん、ファンシーだ。最初の登場時っから怪しさ爆発で、このオバサン絶対、子どもに対してなんかあるんだろうなと思わせる。そしたら案の定、自分は子どもが産めないので、近所の若者をさらっては、子どもを産ませていたという、はじけっぷり。
自分が産めないからって、人に産ませることで、どんなカタルシスがあるのか。その辺は俺のような凡人には計り知れぬ。単に幼い子どもを誘拐して育てるーーというんじゃなくて、「産む」ということに意味があるんだろうが、産ませても育ててやってないっぽいし、なんだかやっぱりよくわからん。
んで、もちろんこのオバサンは表向きにはそんなことをしてる人には自分を見せてないわけだが、旦那のウォルターが結婚記念日を覚えてないと腹を立てて彼にビンタを食らわせる、なかなかの武闘派ぶり(笑)。
さらに、ウォルターは不能者なのか何なのかしらんが、熟女になった彼女を抱こうとしいないので、若いバディを見てムラムラしちゃって誘惑しちゃく積極性の持ち主。
ケイディー・ストリックランドの色気
でまぁ、最終的に、この人は精神がイカレちゃってたってことになって終了するんだけども、これを演じてる女優さんが、ケイディー・ストリックランドって言う人。
冒頭のシーンとかは化粧も濃いし、ほんとに気味悪い熟女って感じなんだけど、バディを誘惑し始めるころから、なぜか色気が出てきて、バスタブに入ってるシーンあたりからは、あろうことか、美人に見え始めちゃってくる。
こうなると、俺もバディと同じく、このオバサンにメロメロになりつつあるのかもーーなんてちょっと怖気が走って彼女の名前を検索かけてみたら、なんと、俺とほぼ同年代でマジで驚いた。足の甲とかの皺がかなりやばかったんだけど、さすがに老け過ぎでないかと思ったのである。
さらに調べてみたら、この人『アナコンダ2』とか、『17歳のカルテ』とか『アメリカンギャングスタ―』とか、このブログでも紹介したことある作品に出てたんだけど、まったく印象がない(笑)。まぁそれはともかく、ウォルターと同じくらいに意味不明なキャラで、あの謎の色気はこの作品のもう一つの見どころだ(もちろん、そう思わない人もいるだろうw)。
一見の価値はあるかも。でも、ないかも(笑)
ということで、長々と書いてきたが、ウォルターの軍に対する恨みつらみ、ファンシーの誘拐、監禁事件、2人の問題児に板挟みになるが、動きが定まらずフラフラする主人公のバディというそれぞれの話の軸がしっかりしてないうえ、チグハグな今作は、はっきり言って、ニコケイ好きじゃない人は見なくていい内容ではある。
しかし、中盤から終盤にかけてのケイディー・ストリックランドの怪しい色気は、一件の価値はあるかもしれない。けど、ないかもしれない(笑)。
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