13時間 ベンガジの秘密の兵士
アメリカ人の元兵士6人がリビアに拠点を構えるCIA施設の警備を任される。本来アメリカは当地で戦闘行為ができないようで、アメリカ大使のいる領事館を地元兵に攻められても反撃ができぬ。大使の救出作戦を上層部に止められていた警備兵のリーダーは、自らの意思で仲間を率いて大使の救出に向かうが…ネタバレあり。
―2015年製作 米 144分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:『トランスフォーマー』ほか、ヒット作を数多く手掛けたマイケル・ベイ監督による社会派戦争アクション。リビアのベンガジにあった米国領事館がイスラム過激派に襲われた実際の事件を元に、たった6人のCIA警備兵と武装勢力の過激な攻防戦を描く。(KINENOTE)
あらすじ:リビアのベンガジ、米国領事館からさほど遠くない場所に、秘密裡に設置されたCIAの拠点「アネックス」に軍事組織GRSの6人の警備兵が派遣された。2012年の9月11日、その夜は、在リビア大使のクリストファー・スティーヴンスがベンガジに滞在している、というだけでなく、特別に重い意味を持つ日付となった。夜の10時になろうかという時、それまで静かだった領事館の周囲に、どこからともなく群集が集結し、しばらくもみ合ったあとその内の誰かが、自動小銃を発射しだした。その群衆の目的は、火器による領事館の襲撃だった。そしてゲートに殺到すると同時に塀をも乗り越え、ほとんど反撃される事もないまま、領事館を制圧してしまうばかりか、内部の人間を襲撃し始めた。救援要請はアネックスでも傍受され、警備兵のメンバーは当然、真っ先に駆けつける役目と思っていたが、彼らに対する命令は待機であった。アネックスの任務はすべて極秘、GRSメンバーもまた、本来そこに居てはいけない軍隊だった。しかし、領事館を取り巻く情勢はさらに緊迫度合を高め、ついに6人のGRSメンバーは、彼ら自身の任意により救援活動を開始した。一切のバックアップがない状態での戦いに。それが、凄惨なあの13時間のはじまりだった・・・(amazon)
ネタバレ感想
実話に基づいた話ってことで、なかなかシリアスな内容。
アメリカを敵視して攻め込んでくる敵兵も、アメリカを支援してくれる兵も、両方地元民のようで、アメリカ兵からすると誰が味方か敵か、見分けがつかない。しかも、地元民自身が戦局によってコロコロ立場を変えたり、警備を任せたのに逃げちゃったり、そもそも戦闘経験がなさそうな素人っぽいのもいて、支離滅裂。
誰が敵なのかわからないとなったら、頼れるのは同胞のみと思いきや、CIA含むアメリカ上層部は、政治絡みの事情があるらしくなかなか援軍を送ってくれない。
孤軍奮闘する主人公らだが、次第に疲弊してきて最終的には犠牲者を出してまうことに。
この作品で描かれる戦闘の恐ろしさは、アメリカ側にとっては誰が敵なのかよくわからないところ。そして、敵の戦術がセオリーどおりでなく、予想もつかない攻撃を仕掛けてくるところにある。組織的に統率が取れてるのかどうなのか、個人の戦闘能力もプロなのか素人なのかもわからない。行動がいちいち読めない奴らばかりだから、迎え撃つアメリカ兵は苦労するわけだ。
もちろん相手も生身の人間だから撃たれたら死んでまうのだけど、ミステリアスで理解しにくいやつらのように描かれていて、そこに恐ろしさを感じた。
グローバリズムだのダイバーシティだの、それっぽい言葉を使って表面的には人類皆兄弟みたいな流れができつつある世の中けども、やっぱり人種に関わらず、顔の見えない他者ってのは恐ろしいものである。そんなことを思わせる作品であった。
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