ハイエナ・ロード
序盤の敵がワラワラ出てくる戦闘シーンはなかなかの見もの。それ以降は、ちょこちょこ戦闘は行われるが、どちらかというと情報将校のピートがいろいろと策を巡らせて伝説の戦士=亡霊を巻き込み、ハイエナ・ロード復興にむけた足がかりをつくろうとする取り組みに焦点が当たる。ネタバレあり。
―2016年公開 加 120分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:カナダ・アカデミー賞3部門受賞の戦争アクション。アフガニスタン・カンダハルで、“ハイエナ・ロード”と呼ばれる復興道路建設の任務に従事するカナダ軍の兵士たち。ある任務中に敵の総攻撃を受けたライアンは、偶然逃げ込んだ村の長老により命を救われる。監督・脚本・出演は、「A TIME OF WAR」のポール・グロス。ヒューマントラストシネマ渋谷ほかで開催される「ワールド・エクストリーム・シネマ2016」で上映。(KINENOTE)
あらすじ:イスラム系武装組織タリバン発祥の地と言われているアフガニスタン・カンダハル。至る所に地雷が仕掛けられた危険地帯で、カナダ軍の兵士たちが“ハイエナ・ロード”と呼ばれる復興道路建設の任務に従事している。ある任務中に敵の総攻撃を受けた狙撃部隊の精鋭ライアン(ロッシフ・サザーランド)は、偶然逃げ込んだ村の長老により命を救われる。極秘任務を帯びた情報将校ピート(ポール・グロス)は、ライアンを救った長老が地元の有力者たちにも絶大な影響力を持つ“伝説の戦士”であると確信し、任務のためにライアンを伴い長老との接触を試みる。「自分の銃弾がいつか世界を変える」と信じるライアンと、一見柔和ながらときに冷徹さを見せるピート。果たして、ピートの任務の真の目的とは何なのか? 殺し合いが日常と化した過酷な環境のなか、何が2人を待ち受けているのか?(KINENOTE)
監督・脚本:ポール・グロス
出演:ポール・グロス/ロッシフ・サザーランド/クリスティーン・ホーン/クラーク・ジョンソン/ジェニファー・パダヴィック
ネタバレ感想
適当なあらすじ
狙撃部隊を率いるライアン准尉はピートに協力していろいろと動き、ついでにそのライアンが、本当は軍規に違反することっぽいけど、同じ軍に所属する女性大尉と愛し合っちゃっているエピソードが挿入される。
で、最終的に亡霊を巻き込んでハイエナ・ロード復興の道が見えたかと思いきや、伝説の戦士の動きを読みきれなかったことがたたり、作戦はどうやら失敗に終わったように見えた。しかも、ライアンと彼の部下は伝説の戦士とともに、死亡。というのが適当なあらすじ。
掟とかよくわからん
あんだけ用意周到に伝説の戦士に近づいたかと思わせておいて、彼の意図を読みきれなかったらしい情報将校のピート氏。これはなぜなのか。けっきょく余所者には現地の人間たちの掟や価値観は理解しきれんということか。
あと、ライアンは軍規違反して女性大尉といちゃついたり、軍規よりも自分の倫理観を大事にして任務にあたる傾向のある兵士。なので、中盤あたりでピートと対立しそうになるし、終盤は彼の命令を無視して、「一発の銃弾が人生を変える」という信念に基づいて、狙撃をしてしまうシーンがある。けっきょくあの一撃が、彼と彼の部下たちが全滅するきっかけになってしまっているわけだから、なかなか皮肉なもんだ。
同種も異種もわかりあえない
いずれにしても、同じ軍の中でもそれぞれ価値観や性格、立場が違う人が集まれば完全な制御はできないものだし、しかも、戦っている相手や中立の相手はもっと異なる文化や土地に生きる人々なわけで、上層部の思い通りにことを進めるなんて、ほぼ不可能なんだろうなということが、この作品を鑑賞するとよくわかる。
要するに、人間は同種の中でも意思統一ができない程度の存在なので、異種とのそれなんて、もっと難しいし、ほぼ不可能なんである。そして、それが戦争がなくならない要因のひとつであるわけだ。つまり、みんなバラバラで固有の存在なのである。
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