127時間
ロッククライミングが趣味のアーロンは、いつものように週末に一人でブルー・ジョーン・キャニオンに出発。クライミングを楽しんでたら、落石に腕を挟まれ脱出不能になっちゃう。助けも望めないような環境の中で、彼はどうなっちまうのかという実話を基にした話。ネタバレあり。
―2011年公開 米=英 94分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:単独でのロッククライミング中の事故により、谷間で身動きの取れなくなった青年の極限状態での体験を、実話に基づいて描く。監督は「スラムドッグ$ミリオネア」でアカデミー監督賞に輝いたダニー・ボイル。ジェームズ・フランコ(「スパイダーマン3」)の主演男優賞を始め、アカデミー賞で6部門にノミネートされた。(KINENOTE)
あらすじ:タフなヒーロー気取りで人と深く関わらずに生きてきたアーロン・ラルストン(ジェームズ・フランコ)。開放的な陽気さとクールな一面を合わせ持つ魅力的な青年だ。ある金曜の夜、彼はいつものように1人でロッククライミングを楽しむため、慣れ親しんだユタ州、ブルー・ジョン・キャニオンに向けて出発する。それは、彼にとってどうということのない週末の過ごし方だったが、突然、過酷な運命が襲い掛かる。落石に右腕を挟まれ、狭い谷底から一歩も動けなくなってしまったのだ。助けを求める叫び声は無人の荒野に虚しく響き渡る。知識と経験を総動員して岩を撤去しようとするが、ガッチリと挟まった岩はピクリとも動かない。死を目前にして初めて自分の人生と向き合うアーロン。自分勝手に生き、両親にも、友達にも、恋人にも決して心を開かなかった。衰弱してゆく身体を引き裂くように襲い掛かる後悔、それと同時に湧き上がる“生きたい”という生への執着と情熱。そして生命の限界を越えた127時間後、遂に彼は決断する……。(KINENOTE)
監督:ダニー・ボイル
原作:アーロン・ラルストン『奇跡の6日間』(小学館刊)
出演:ジェームズ・フランコ/アンバー・タンブリン/ケイト・マーラ/リジー・キャプラン/クレマンス・ポエジー/ケイト・バートン/トリート・ウィリアムズ
ネタバレ感想
感想を交えた適当なあらすじ
高所のロッククライミング中に身動きが取れなくなっちゃう話かと思ったら、ちょっと違った。この物語の主人公であるアーロンが窮地に陥る場所は、峡谷。峡谷の狭い隙間を縫うように歩いたりアップダウンしたりする遊びをやってたら、落石に襲われて右腕を挟まれて動けなくなっちまうのである。
なるほど、こういうアクシデントも遭難と言うんだろうか。その辺はどうでもいいとして、ともかくその窮地に陥るシチュエーションが意外だった。
冒頭、一人遊びが好きそうなアーロンの、クライミングに向かうまでのイキイキとした道中が描かれる。基本彼は一人で峡谷遊びをすることが多いみたいで、しかもかなりの腕前だと思わせる。
んで、途中で偶然出会った2人の女性にガイドを買って出てやり、イチャイチャと楽しんでいる様などを見ると、実に軽薄そうな感じ。彼はその場限りの表面的な付き合いは上手いが、深い付き合いを避ける人間らしいことが、物語を追うにつれてわかってくる。
ともかくこのクライミングに関しては、行き先を誰にも告げずにやってきているのだ。この時点でもうトンマでしかないんだが、まぁともかく彼は、女性二人に別れを告げてからいつものようにクライミングを楽しんでいた。いたんだが、何の警戒心もなく普通に身体を動かしてたと思ってた一瞬のうちに、落石に襲われて右腕を壁面と石の間に挟まれてまうのだ。
なんとか窮地を脱するためにいろいろ工夫するんだが、どうにもならない。そうやっているうちに、ドンドンどんどん時間は過ぎ、食料も水も体力も尽きていく。そうしたら幻覚を見始めるようになってきて、もはや現実との区別がつかない極限状態にまで追い詰められていくのだ。
で、その追い詰められていく中で彼は、昔の恋人や両親、妹などのことを思い出す。で、さほど直接的な描写があるわけではないものの、彼は自分が我がままに生きてきて、自分の本質的な部分を誰にも知られようとしないできたことを悔いるのだ。しかし、悔いたところで生き残りの可能性は薄い。
それでも生への執着に突き動かされて、彼は決断をくだす。なんと、挟まれた右腕を切れ味の鋭くないポンコツナイフで切断しちゃうのである。右腕を自ら切断するなんて、切れ味鋭いナイフだって大変そうなのに、彼の使用するナイフはポンコツナイフ。ポンコツナイフすぎるので、何度も何度も自分の腕を切らなきゃいけないし、筋やら骨やら…と書いてるだけでキモくなってくる。切りながらも「気絶するな」と自分を鼓舞するアーロンの精神力は、超人というべきか、狂気の粋か。
どちらにしても、切断に成功した彼は、痛みに耐えながら峡谷を抜け、助けを呼ぶのである。そして偶然出会ったハイカーたちに救助を求め、無事一命をとりとめるのであったーーというのが適当なあらすじ。
実話を基にした話
ということで、この話は実話を基にした内容であって、このアーロンって人は片腕を失ったとはいえ回復し、今でもアウトドア遊びを楽しんでいるらしい。この遭難事故の反省を生かして今は、必ず行き先を人に伝えるようにしているそうだ。というか、それって当たり前にするべきことなんだけどね。
ともかく、彼の過去の描写などは幻覚を交えて伝えられるだけで詳細はわからないものの、恋人からも見放されるような距離を置いた付き合いしかできてなかったみたい。そんな彼も、事故後に出会った女性と結婚できたそうだ。この辺が、実話を基にしてるところのリアルさだなぁなんて感じた。仮にフィクションだったら、生還後は元恋人と仲を取り戻して感動的なエンディングにもってくパターンとかになっちゃいそうだからねぇ。
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