穏やかな暮らし
過去にいろいろあったけども、そのしがらみを断ち切って、今は穏やかな暮らしをしている初老の男。しかし、15年ぶりに現れた一人の男によって、その生活が崩れ始める。ネタバレあり。
―2010年製作 伊=独=仏 100分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:非情な掟に生きる父子の宿命と悲哀を描いたイタリアンノワール。南イタリアの暴力組織の一員だった過去を封印し、妻と息子と満ち足りた暮らしを送るロザリオ。だがある日、彼が15年前にイタリアに置き去りにした実の息子・ディエゴが現れて…。【スタッフ&キャスト】監督:クラウディオ・クッペリーニ 原案・脚本:フィリッポ・グラヴィーノ 脚本:グイド・ユクラーノ 撮影:ゲルゲリ・ポハルノック 出演:トニ・セルヴィッロ/マルコ・ダモーレ/フランチェスコ・ディ・レヴァ/ユリアーネ・ケーラー(KINENOTE)
非情の掟に生きる父子の宿命と悲哀を抑制のきいたタッチで描きだす骨太イタリアン・ノワール。ドイツの田舎町でホテル・レストランを営むロザリオは、妻と幼い息子と満ち足りた暮らしをしていた。しかしある日、2人のイタリア人の若者ディエゴとエドアルドが訪れたことで、平穏な生活は一変する。ロザリオは、ディエゴが15年前イタリアに置き去りにした実の息子であることに気づく。しかも、2人の若者は、ドイツでのゴミ処理施設建設にからむ要人暗殺のため、南イタリアの暴力組織カモッラが送り込んだヒットマンだった…。 (「Oricon」データベース)
監督:クラウディオ・クッペリーニ
出演:トニ・セルヴィッロ
ネタバレ感想
もう少しハードボイルドなおっさんの話かと思ったら全然違くて、ラストの主人公の選択に笑ってしまった。と言う意味では、なかなか虚をついてくるストーリーであったなぁ。俺にとっては。
超適当なあらすじ
ドイツの田舎町でホテル&レストランを経営するロザリオは、妻と小学生くらいの息子とともに、日々を幸福に暮らしている。しかしそこへ、イタリア人の青年2名が彼を頼って訪ねてきた。
そのうちの一人の姿を目にして、驚愕するロザリオ。なんと、その男は彼の息子=ディエゴだったのである。しかもこの男たち、何かの裏家業に就いているっぽくて、嫌な雰囲気を醸している。特にディエゴの相棒のエドワルドは危険だ。
警戒してはいるものの、実の息子であるディエゴは甘やかしてやりたくなってまうロザリオ。それに対してディエゴはどう接したものか、とまどっているようにも見える。
こいつら二人組は何者なのかと言うと、やっぱり裏家業の輩なのである。なんと、要人暗殺を請け負う殺し屋なのだ。ある日、ロザリオは彼らの後を尾行する。すると、エドワルドがある経営者を射殺する場面に出くわした。
そんで、何だかんだあって、いろいろと面倒くさい展開になっていくのである。
かなり適当なあらすじだったけど、それでも全部書くのめんどくさくなったので、そろそろネタバレに入ります(笑)。
組織からトンズラこいたロザリオ
要するにロザリオは自分の命を一番大事にする自己本位な奴だったというのが結末である。どういうことかってーと、まず、ロザリオは過去、エドワルドの親父であるマリオの組織で殺し屋として働いていたのだ。どんくらい働いてて、どんだけ殺しを請け負ったのかは知らんけど、ある日、その生活に嫌気がさしたっぽい。
それで彼は、自分が死んだことにして、組織から足を洗うのである。どうやったのかは描かれないのでわからんが、ともかく彼は、当時の妻とディエゴを捨てて、イタリアからドイツにやってきた。何で妻子を置いていったかというと、彼が言うには「君たちの命を守るため」らしい。…ほんとかよ。
ところが、ディエゴは「もし守りたいと思っているなら、ドイツに連れて行ってほしかった」と再会後、ロザリオに心情を吐露している。
ともかく、過去を捨てたロザリオは、新たな妻子を得て暮らしていたのだ。そこへ、いろいろあって隠れ家を探していたディエゴたちが現れるのである。んで、エドワルドが殺しを行う現場を目撃しちゃったもんだからさぁ大変。ある日、エドワルドが、「俺たちのやったことは黙っていればいい」と脅しをかけてくる。
さすが元殺し屋
で、どうするんだろうと思ってたらロザリオは、エドワルドをぶち殺してまうのだ。さすが元殺し屋。躊躇なく殺った。すげぇ。そんで、その現場をディエゴに目撃されてまう。だから、ディエゴを説得して、自分が過去に姿を隠したのと同じようなことをするように、手引をする。
ところがだ、ところがディエゴは、あろうことかロザリオの幼い息子を拉致するのである。仕方なく息子を迎えにいくロザリオ。ディエゴの話によると、ボスのマリオにすべてをぶちまけたという。彼は親父の命令ではなく、組織に助けを求めたのだ。
つまり、追っ手が近づいているのだ。ロザリオはマズいぞこれ、どうしようと思うんだけど、どうにもならない。何とか息子だけをそこに残し、追っ手2名とディエゴの命令でどっかに連れてかれることになった。
車は2台。一方には追っ手2名。そしてもう一台にはディエゴとロザリオ。この乗車割り振りどう考えても頭悪いだろとしか思えないんだけど、ともかくそういう別れ方をして、ロザリオはどっかに連れられて行く。で、社内でディエゴに「死ぬことに恐れを感じるんだ」と、気持ちはすごくわかるけど、かなりヘタレな発言をする。
再びトンズラこきます
しばらく行くと、追っ手の車が止まった。これはやばい、やばいと感じたので逃げることにした二人。この時のディエゴは親父に情が移ったということだろうか。よくわからんが、逃げる二人。ところが追っ手のぶっ放したマシンガンの餌食に。
大破する車の中でロザリオが気付くと、ディエゴが血を流してぐったりしている。死んだのか? ディエゴ死んだの? 死んでないだろ? 死んだか? …どっちかわかんね。早くしないと追っ手がやってくるどうしようどうしよう。一応確認したし、たぶんディエゴ死んだだろ――あばよ。ということで、ロザリオはその場を走り去っていくのであった(多少俺の想像入ってます)。
で、ロザリオは拉致された息子を待たせているサービスエリアに戻り、彼を救出。自宅へ帰る。そして、息子にさよならを告げ、一人その場を去っていくのだった。
そのあとワンワン泣きわめくロザリオ。彼はまたしても逃げるのだ。今度も逃げきるつもりなのだ。死にたくないのだ。妻子には事情を告げなかった。隠し通した。なぜなら、事情を知ったら2人も殺されるかもしれないからーー。だから一人で逃げるのだ。
意表を突くラストではあった
しかし、ちょっと思うんだけど、すでに組織ってロザリオに妻子いるの知ってそうなもんだけど。二人を捕らえてロザリオを脅迫すらできそうなもんだが。ロザリオはそこまで考えないのだろうか。というか考えても多分逃げる奴なんだろうというのが俺の解釈。
何かね、そういう類の映画を観すぎているせいか、俺はロザリオはディエゴの仇をとる気持ちと、過去を振り切って今の家族を守るために、マリオの組織を根絶やしにすべく特攻をかけるのかと勝手に思ってたんですよ。
なので、その期待を裏切ってくれたこのヘタレ親父のラストに笑ってしまったのである。でもさ、選択肢としてありうる話だよな。俺だってそんな立場になったら妻子捨てて逃げたくなるかもだもの。妻子いないけどさ。
てなわけで、何とも笑かしてくれる主人公の選択のおかげで、なかなか楽しめました。そして、やっぱり、犯罪者は家族を持ってはいけないのですなぁ(下記に、そのことに触れた記事のリンク紹介しておきます)。
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