TITANEチタン
少女の頃に事故に遭い、頭にチタンを埋め込まれたアレクシアは、車に性欲を感じるようになる。しかも異常な殺人衝動にも駆られるようになり、親元を離れることに。そして出会ったのは消防士の男だった。二人はどうなっちまうのか。かなりぶっとんだ内容ですごいんだが、何だったのかよくわからない作品。ネタバレあり。
―2022年公開 仏 108分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:「RAW 少女のめざめ」のジュリア・デュクルノー監督による第74回カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作。幼い頃の交通事故により、頭蓋骨にチタンプレートを埋め込まれたアレクシア。それ以来“車”に対し異常な執着心を抱く彼女は、次第に危険な衝動に駆られてゆく。出演は「ティエリー・トグルドーの憂鬱」のヴァンサン・ランドン、本作が長編デビューとなるアガト・ルセル。(KINENOTE)
あらすじ:幼少時の交通事故によって頭蓋骨にチタンプレートが埋め込まれたアレクシア(アガト・ルセル)。彼女はそれ以来“車”に対し異常な執着心を抱き、危険な衝動に駆られるようになる。やがて、自らの犯した罪により行き場を失ったアレクシアは、消防士のヴィンセント(ヴァンサン・ランドン)と出会う。10年前に息子が行方不明となり、今は独りで生きる彼の保護を受けながら、ふたりは奇妙な共同生活をスタートさせる。しかし、彼女は自らの体にある重大な秘密を抱えていた……。(KINENOTE)
監督・脚本:ジュリア・デュクルノー
出演:ヴァンサン・ランドン/アガト・ルセル/ギャランス・マリリエ/ライス・サラメ/ベルトラン・ボネロ/ドミニク・フロ
ネタバレ感想
この監督って『RAW 少女のめざめ』の人なんだってね。あの作品は劇場で鑑賞して、なかなかいいもの観たなぁと思わされる内容だった。この作品ほど意味不明って感じでもなかったし。
そうなんである、この作品は俺にとっては意味不明。けっきょく何なのかよくわからんかった。アレクシアは恐らく少女の頃から親父の虐待を受けていたんではないかというのが俺の予想で、しかし彼女は気が強いので冒頭の事故のシーン親父を煽るようなことをたくさんしていたのではないか。
でまぁ、事故に遭って頭ん中にチタンを埋め込まれちゃう。そしたらかのじょ、車に異常な性欲を感じるようになったらしく、どうやってプレイするのか知らんが、車とセックスするようになっちゃうのだ。なんだそれ、ぶっとんでる。
んで、両親とはうまく行ってない彼女。ストリップイベントみたいなので金稼いでたんだけど、ある日、しつこいファンの男を自分の髪留めで刺し殺しちゃうのだ。どうも彼女は過去にも人殺しをしたことがあるようで、その動機はようわからんが、ともかく殺しも大好きみたい。
で、ある日、両親を焼き殺して(おそらく)旅に出る。しかし、指名手配されているので、何年も前に失踪した少年になりすまし、彼の親父=ヴィンセントに世話をしてもらうことになるのだ。そんなん上手くいくわけねーだろと思うんだが、これがうまく行っちゃう。
というのもこの親父、息子が自分の息子でないことをわかってて受け入れているのだ。何でなん? と思うんだが、その辺は俺にはよくわからん。そういえばこの親父、だいぶ老齢に達しつつあるようで、消防士なんだけども、自分の体の衰えを感じていて、筋トレしては自分の体力の減退に耐えられず、ジタバタしているようなマッチョ野郎。部下に対しては威厳ある隊長なんである。
この父性の象徴みたいな男に最初はなついてなかったアレクシアだが、なぜか交流を深めるうちに、彼を慕うようになっていくのである。おそらくそれは、自分の父にはなかった父性をヴィンセントに感じるようになったのかもしれない。
それによって、車が性愛の対象であり、女性も対象でありという自分の性別がようわからんような存在だったアレクシアは、妊娠した自分の子どもを受け入れ、死と引き換えに新たな命を送り込む存在へと成長していくのである。
なんともぶっ飛んだ話で、そもそも細部が意味不明で、例えばどうしてアレクシアは妊娠できたのか、相手は誰なのかってところとかね。生まれた赤子にはチタンのような背骨を持っていた。
それはアレクシアが車と交接したからなのか、それとも、彼女の肉体的な遺伝子の影響を受けたのか。よくわからん。相手が車でなかったとしたら、生きずりの男なのかその辺もわからん。そもそも、埋め込まれたプレートは頭だけのはずなのに、どうしてお腹までチタン化していたのかとかとか。
そう考えると、このお話はアレクシアとヴィンセントの妄想の中のお話なんかなぁと思わなくもないが、なんかそれも違う気がするし、その辺はよくわからんが、なんともよくわからない存在だったアレクシアが、父性のある人物と出会ったことで、女性としてのアイデンティティを手に入れていくという話だったように思った。あくまで個人的解釈。
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