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映画 3人のキリスト ネタバレ感想 実話を基にした物語

3人のキリスト
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3人のキリスト

自分をキリストと自称する3人の精神病患者と彼らを実験的に治療しようと試みた精神科医の交流を描いた、実話を基にした物語。精神病患者を治療するってのは一体どういうことなのか、なかなか考えさせられる作品です。ネタバレあり。

―2017年製作 米 109分―

解説:自分がイエス・キリストだと信じる3人の妄想型統合失調症患者と精神科医との交流を描くドラマ。リチャード・ギア主演。(スカパー!)

あらすじ:1959年の夏、精神科医アラン・ストーンはミシガン州にあるイプシランティ州立病院で、自分がイエス・キリストだと信じる3人の妄想型統合失調症患者、ジョセフ、クライド、リオンの治療を任される。3人を同室にし、一緒にセッションを行うことが治療に有効と考えたストーンは、さっそく3人を引き合わせる。最初は反発する3人だったが、やがてそれぞれに少しずつ変化が現れる。(スカパー)

監督:ジョン・アヴネット
原作:ミルトン・ローキチ
出演:リチャード・ギア/ピーター・ディンクレイジ/ブラッドリー・ウィットフォード/ウォルトン・ゴギンズ/ジュリアン・アコスタ/ジュリアナ・マルグリーズ

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ネタバレ感想

実話を基にしたリチャードギア主演作

ネットフリックスで見つけて鑑賞。主演がリチャードギア。彼もだいぶ老人になったなぁ。わざと老けメイクしてたのかなぁ。まぁその辺はいいとして、この作品には基になった実話があるみたい。調べたところ、「イプシランティの3人のキリスト」なる記事をWikipediaで見つけた。

もちろんWikipediaの記事なのですべてを鵜呑みにはできないが、おそらくこの話が本作のもとになった話だと思われる。この記事を読む限りでは、それなりに改変された部分が作品内にはありそうな感じ。

対話で精神病の治療を図る

いずれにしても、こういう作品を見て思うのは、精神病患者を治療するってのはどういうことなのかということ。今作では、自分がキリストだと信じている3人の男を、主人公のストーン医師が一つの病院に集めて、彼らを交流させることで治療の道を探るという実験的な試みが描かれている。

でまぁ、ストーン医師には信念があって、精神病患者の治療にあたっては、ロボトミーはもちろん、薬物漬けにしたり、電気ショックを与えたりするような暴力行為を排除したいと思っている。そこで彼が大事にしているのが、対話。であるからこそ、3人のキリストを一つ所に集めて交流を図らせるという試みをするのである。

彼の治療は対話であり、患者に寄り添うことだ。結果として3人の自称キリストたちは、治癒はしないんだけどもストーンやその助手に心を開くようになり、暴力的な治療を必要としない程度には回復(?)していく。そこへ病院の責任者が、ストーンの手柄を自分のものにしようと(そう思ったんだと俺が解釈した)介入してきたことで、自称キリストのうちの一人が自殺してまうことになるのだ。

ラストで、残りの2人と別の施設で治療を続ける許可を得て物語は終わる。それによってストーンが最後に述べるのは、「彼らを治療はできなかったが、自分が彼らに治療された」というセリフ。何ともモヤモヤした感じで物語は終わってしまう。

精神病患者を治療するとはどういうことか?

まぁでも、先への希望はなくもないと思わせるラストではあったかな。で、先の話に戻ると、こうした作品を観て(例えば『カッコーの巣の上で』とかね)俺が思うのは、精神病患者を治療するとして、治癒したというのはいかなる状態を指すのかということだ。

もちろん、精神病の中にもいろいろな症状があるだろうから、ひとくくりにして言うことはできないだろうけども、こうした人たちが治るってどういうことなん?

例えば、今作の3人は自称キリストなわけだが、彼らが本当にそれを信じているのだとしたら、その彼らの思いは真なわけで、それを治すってのはつまり、「自分がキリストではない」と自覚する必要がある。

ということは、いわゆる、正常と言われる状態に戻すのが治療であり、治るというのは、一般的に精神がおかしくなっちゃう前の状態に戻すってことなんだろう。

これはつまり、骨折をしちゃったら骨がもとの状態に戻るのと同義なわけで、つまり完治したってのはそういうことを指すんだろうね。

なんとも当たり前の話をしているわけだが、しかし何か腑に落ちない感もあるのが確か。だって、精神を病んじゃったというのは言葉の上では病んでいるわけで、実際にわれわれからしたら病んでいるんだけども、本人は病んでいないと思ってる人もいるわけで、だとしたら病んでないと言ってもいいんではないかと。

しかし、そうした一般的には病んでいるとみられる人は、他人に害を与えたり、自分自身に害を与えたりすることがあるために、その行為をもって病んでいると解釈され、病院に送り込まれて隔離されて生きざるを得なくなる。これって要するに、臭い物に蓋をするのと一緒なわけで、そう考えれば何とも酷い話だ。

そういえば、日本の三大奇書の一つと言われる、夢野久作の『ドグラ・マグラ』は、そうした精神病患者を解放することを試みるようなエピソードがあったなぁと思い出された。

何にせよ、映画的に面白いかと言われるとそうでもないんだけども、1回は鑑賞して損はないと思われる作品であった。

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