ステップファーザー　殺人鬼の棲む家

母親の再婚相手の継父が殺人鬼なんではないかと疑った息子が、継父と対決することになる話。殺人鬼は登場時から殺人鬼なので、再婚相手の家族らに見破られるまでのサスペンスを楽しむような構成になっているが、特に面白味はない。ネタバレあり。

―2009年公開　米　102分―

解説とあらすじ・スタッフとキャスト
ネタバレ感想
1. 関連

解説とあらすじ・スタッフとキャスト

解説:殺人犯の継父に追い詰められる家族の恐怖を描いたサスペンススリラー。1987年製作の「Ｗ／ダブル」のリメイク作品。士官学校を卒業し実家に戻ったマイケルは、母が新しい恋人・デヴィッドと暮らし始めたことを知る。デヴィッドの身辺に疑いを持った彼は、その正体を探ろうとするが…。(KINENOTE)

あらすじ:マイケル・ハーディング（ペン・バジェリー）が、士官学校の生活を終えて家に戻ると、彼の母スーザン（セラ・ウォード）は新しい恋人デヴィッド（ディラン・ウォルシュ）と幸せそうに暮らしていた。納得のいかないマイケルは、彼に反感を抱くが、次第に打ち解けていく。しかし、そんな矢先に近所の老婆が一家皆殺し事件の指名手配犯がデヴィッドに似ているので用心するようにスーザンに警告してきた。それを耳にしたデヴィッドはその老婆を事故死と見せかけ、死へと追いやる。死体は何日も経ってから見つかるが、常に監視され、あまりにも完璧な継父に怪しさを感じ始めていたマイケルは、これを機にデヴィッドの正体を暴くべく動き出す。そして、嵐で荒れ狂う真夜中に、ついに彼はデヴィッドが「何か」を隠している地下室へと忍び込むのだが・・・。(amazon)

監督:ネルソン・マコーミック
出演:ディラン・ウォルシュ/セラ・ウォード/ペン・バッジェリー/アンバー・ハード

ネタバレ感想

レンタルで鑑賞。出演してる役者で知ってるのはアンバーハードくらい。今作で彼女が演じる、マイケルの恋人ケリーは、自分が若かったとしたら「こういう彼女欲しいなぁ」と思わせるようなキャラだし、なかなかエロくてよろしかったですな。ちなみに、マイケルの母であり、殺人鬼である継父、デヴィッドの妻であるスーザンを演じたセラ・ウォードという人もなかなか美人でありました。

で、今作はスーザン一家と出会う前のデヴィッドが当時の家族を皆殺しにし終えたシーンから始まるので、殺人鬼は誰なのか？　的なサスペンスはない。それよりも、殺人鬼デヴィッドがスーザン一家と頑張って家族になろうとする過程で、殺人鬼として見破られるかどうかのサスペンスな展開を楽しませる内容になってる。

ところが、冒頭に書いたように、この過程がさして面白くないのである。というよりはむしろコメディ。デヴィッドは指名手配されてる割には余裕かましてスーザン一家に取り入ってきて、自分の素性を明かそうとしないのに、なぜかスーザンは彼の人となりに騙されて婚約までしちゃってて、恋は盲目（笑）。

そんなバカな話あるかいね？　恋人同士が親密になっていけば、過去の話もたくさんするだろうし、写真を見たりもするだろうに、「デヴィッドは写真が嫌い」という理由を鵜呑みにしちゃって、過去の画像がないことを変に思わないってのが無理ありすぎ。

ほかにも、マイケルとの会話でデヴィッドは過去に死んだ娘の名前を言い違えて苦しい言い訳をしてたが、嘘を嘘で塗り固め続けてたら、整合性が取れる話なんてできなくなるわけで、あのシーン以外にもどう考えたってデヴィッドの言ってることに矛盾を感じる会話がいっぱい出てきそうなもんだ。

つまり、俺が何を言いたいのかと言うと、デヴィッドは殺人鬼として警察から逃れ続けられている頭脳犯のように見せかけておいて、とても逃げ切れそうもなザルな行動ばっかしてて、要するにバカにしか見えないのだ。そして、そんなバカの嘘話に騙されちゃってるスーザンもバカ。ついでに言うと、デヴィッドを最後まで捕まえられない警察もバカ。

そんなバカたちがバカ騒ぎしてるだけの作品であるから、そのバカバカしさを笑うくらいしか楽しみ方がないのである。デヴィッド視点で殺人シーンなどを開けっ広げに見せてくれるんだから、彼がどうして異常なまでに理想的家族像を求めてるのかとか、どうして殺人をせずにはいられない人間になったのかとか、その辺もストーリーに入れてくれれば、もう少し楽しめたんじゃないかと思わなくもない。

ちなみに、この作品は80年代の『W／ダブル』って作品のリメイクだそうだ。しかもそっちの作品はジョン・リスト事件という実際に起きた事件から着想を得た内容らしい。