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映画 博徒外人部隊 ネタバレ感想

博徒外人部隊
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博徒外人部隊

出所した横浜の元ヤクザが仲間である組員たちともう一旗揚げるために、沖縄に乗り込んで奮闘してたら、いつの間にか横浜時代の因縁に蹴りをつけることになる暴力映画。多くを語らずに死を恐れずに己を貫いて生きる、よく言えば一本気な男の生きざまが描かれている。ネタバレあり。

―1971年公開 日本 93分―

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解説とあらすじ・スタッフとキャスト

解説:刑務所を出所したヤクザが、新天地を求めて沖縄に渡り、そこでの既存の暴力組織との対立を描く。脚本は「やくざ刑事 マリファナ密売組織」の神波史男と松田寛夫。監督は脚本にも参加している深作欣二。撮影は「ずべ公番長 夢は夜ひらく」の仲沢半次郎がそれぞれ担当。(KINENOTE)

あらすじ:横浜の元浜村組代貸郡司益夫が、十年ぶりに出所した時ハマはすっかり変ってしまった。昔のやくざたちは影をひそめ、東京からのしてきた大東会だけが堅気づらをして、港湾荷役の仕事を仕切っていた。かつてハマには浜村組と港北会の二つの縄張りがあったが大東会会長の大場は、二つの組を巧みに対立させて潰してしまった。郡司が十年の刑を受けたのも、浜村組々長を射殺した港北会に単身殴りこんで、組長を刺殺したためだった。大場のもとに出所の挨拶に出向いた郡司は五百万をユスリ取った。彼はこの金を軍資金にして、沖縄での新しい縄張りを築こうと考えていた。郡司は、昔の子分を連れて沖縄へのりこんだ。沖縄の那覇には二つの組織が対立していた。一つは港湾荷役を資金源とする波照間大人一派、一つは那覇の盛り場一帯をおさえる具志堅大人の一派だった。そのほか少数の愚連隊がひしめいていた。郡司の縄張りは、波照間や具志堅、愚連隊の与那源大人らとしばしば対立しながらも順調にのびていった。郡司は、売春街でかつての恋人にそっくりの照美と知りあった。ある日、沖縄の港湾荷役業の独占を目的とする大東会の一行が那覇にのりこんできた。大東会の力を怖れて波照間は協力を申しでるが、与那原と、その弟次郎は大東会に対して即刻内地に引き揚げることを要求して対決することになった。しかし、大東会は先手を打ってこの二人を殺すと郡司にも沖縄を出ることを要求した。おとなしく出て行けば五百万をやるとの大東会の申しでに、郡司は黙って金を受けとった。数日後、郡司、工藤、尾崎、鮫島の四人は大場や波照間の集まっている埠頭に向っていた。手に手に白刃を握り、埠頭は大乱闘となった。銃弾をあびてのけぞる鮫島、郡司の楯となって死ぬ尾崎。波照間を刺し共に倒れる工藤。郡司は満身に血を吹きながら大場の上に折り重って息絶えた。(KINENOTE)

監督:深作欣二
出演:鶴田浩二/小池朝雄/室田日出男/曽根晴美/渡瀬恒彦/由利徹/安藤昇/若山富三郎

ネタバレ感想

U-nextで見つけて鑑賞。多くを語らず自分の思いを生きざまで証明していく、男汁が溢れまくっている昭和の映画って感じでしたなぁ。出所したてのヤクザの元幹部が、当時の部下やライバルと一緒に新天地を目指し、そこで敵対する組織とバチバチやってたら、ムショ送りの原因となった昔の因縁の相手と最終的に戦うことになるという少年漫画的展開。その間に、敵対してた奴らと絆が生まれたりしちゃうところなんかも少年漫画。

要するに、俺の読んでた80年~00年代くらいの少年漫画の作者が、こうした任侠映画みたいなので描かれる漢気みたいなものに、少なからず作品作りで影響されてた部分はあったんだろうなぁと思わされる。

で、鑑賞し終えて思ったのは、これってサムペキンパーの『ワイルドバンチ』みたいなだなってこと。類似作品で言えば、ジョニートー大先生の『エグザイル絆』のラストも同じ。

考えてみたら、この作品の深作欣二監督もジョニートー大先生もペキンパーの作品は好きなんだろうから、こういうラストの映画を撮りたくなっちゃうのもわからんでもない。

この作品でよかったなぁと思うことの第一は米軍に占領されてる頃、返還前の沖縄の繁華街なんかが観られるところ。そして、本土と沖縄を明確に別物として区分けして考えてる若山富三郎演じる与那原みたいな存在がいたのがわかるところ。

作中でも与那原はかなりの強者として描かれ、主人公の鶴田浩二演じる郡司がヤマトンチュ(本土の人間)でありながらも彼の認めるところになるのは、郡司が出自や所属する組織を超えて信頼できる人物であることを知ったからであろう。

この与那原の存在が作品に興を与えていたのだが、それだけに最終決戦に至る前に非常にあっさりと殺されちゃうところは残念だったなぁ。あんだけ強かったのに、強かっただけに油断をしてしまったんか、あの退場の仕方には拍子抜け。

彼が死なないでクライマックスの討ち入りシーンで郡司たちと共闘するパターンだと、あまりにも漫画的でありすぎるかもだが。

もう一つ、郡司の敵対ヤクザだった工藤という存在。これがいいですな。いろいろあって命を救われた郡司に借りを返すため、沖縄での旗揚げに同行し、いろいろな危機を救いながら彼の片腕であり、理解者になっていく。実に渋い。

しかも表情がスゴいというか目つきが死んでるというか、マジで凄みがあるんだよね。この人何なんだろうって調べたら、元ヤクザの安藤昇って役者だったのである。おぉ、この人が安藤昇かと。それはあんな目をして演じられちゃうのにも納得であった(笑)。

で、肝心の主役である郡司氏であるが、これがともかく喋らない。そしてサングラスを外さない(笑)。寝てる時も外さないらしく、唯一それを取るのが、元嫁に似た、沖縄での愛人と最期のセックスをするシーンのみ(笑)。

この男の魅力が仲間たちを沖縄へと連れていくわけだが、そのやり方は単なる暴力であり、売られた喧嘩を買いつつ、こちらからも因縁つけて売りつつ、シマを拡大していくという強引なやり口なわけで、そこがヤクザであり暴力団。その辺が気になっちゃう人はこういう作品は観られないだろうなぁ。

だって、単なる言いがかりだし、暴力で解決しちゃうからね。郡司のすごいところは、勢力拡大しても構成員を増やしてないところ。それじゃや数には勝てないわけで、現に与那原との対立では彼に認められてなければ数の暴力にやられてたわけで、そこが何というか、人間的カリスマでしのぎを削ってきた男であり、横浜時代のように組織内で筋を通す生き方に窮屈さを感じたからこその信頼できる仲間以外に構成員をつくらないというその方針がわかる気はする。

だが、数の暴力には決して勝てないわけだから、一旗揚げたあとに死ぬことも覚悟のうえだったということでしょうな。もちろん、彼についてきた全員が。

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