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映画 KCIA南山の部長たち ネタバレ感想 朴正煕大統領暗殺事件

KCIA南山の部長たち
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KCIA南山の部長たち

―2021年公開 韓 114分―

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解説とあらすじ・スタッフとキャスト

解説:1979年10月26日に起きた韓国の朴正煕大統領暗殺事件を基にした実録サスペンス。大統領直属機関として権力を握るKCIA(中央情報部)部長キム・ジェギュが大統領を射殺。事件前、大統領の命令でキムは腐敗を告発した元部長に接触。そこから彼の運命が狂いだす。「インサイダーズ/内部者たち」のウ・ミンホ監督とイ・ビョンホンが再びタッグを組み、ベストセラーノンフィクションを原作に歴史の闇に迫る。共演は、「工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男」のイ・ソンミン、「哭声/コクソン」のクァク・ドウォンほか。(KINENOTE)

あらすじ:韓国中央情報部、通称KCIAは、大韓民国大統領直属の諜報機関として権力を握り、組織を束ねる者はその所在地から“南山の部長”として恐れられる存在であった。そんな大統領に次ぐ強大な権力と情報を握っていたとされるKCIAのトップ、キム・ギュピョン(イ・ビョンホン)が、1979年10月26日、大統領(イ・ソンミン)を射殺する事件を起こした……。事件の40日前、KCIA元部長パク・ヨンガク(クァク・ドウォン)が、亡命先であるアメリカの下院議会聴聞会で韓国大統領の腐敗を告発。ヨンガクは回顧録の執筆にも取りかかっていた。大統領は激怒しキム部長に事態の収拾を命令。アメリカに渡り、かつての友人でもある裏切り者ヨンガクに接触するが、その時からキム部長の運命が狂い始める……。(KINENOTE)

監督:脚本:ウ・ミンホ
原作:金忠植:(『実録KCIA―「南山と呼ばれた男たち」』(訳:鶴真輔/講談社刊))
出演:イ・ビョンホン/イ・ソンミン/クァク・ドウォン/イ・ヒジュン/キム・ソジン

ネタバレ感想

1979年に起きた朴正煕大統領暗殺事件を題材にした史実を基にしたフィクション作品。韓国の大統領直属の機関、KCIAの情報部のキム部長がいかにして朴大統領を暗殺するに至ったかが描かれている。韓国はこうした史実を基にした作品をいっぱい出してて、そのどれもがけっこうな水準にあって楽しめる。

今作もなかなか骨太な作品で、朴大統領を暗殺したのはキム部長ってのは本当らしいんだけども、彼の先輩だったパク元部長をパリで透明にしたのは誰なのかってのは明るみになっていないらしい。

キム部長は大統領に対する忠誠心が厚く、職務に忠実で身を粉にして働いている。そのことで旧友を殺すことになるうえ、大統領からの信頼を失っていく。それに憤りと悲しみを抱き、大統領を殺すことになる。

彼はもともと朴大統領とは同じ理想を持ってクーデターに参加した結果、今の地位がある人間。朴大統領を守るために頑張ってるのに、その大統領自身は腰ぎんちゃくの警護室長のほうの言うことばかり聞いている。キム部長のほうが冷静に政治的判断ができているのに、警護室長は武力で民衆を弾圧する提案のほうを採用してまう。

という意味では大統領はもう、冷静な判断ができない独裁者になっていて、自分の言うことをきかないやつは排除していくような糞人間になりさがっているのであり、マジでどうしようもない奴なのに、キム部長はそれでも彼のために頑張る。だからこそ、友達だったパク元部長を策を弄して透明にしたのに、大統領は彼が断腸の思いでその決断をくだしたことすらわかってくれないのである。

そりゃ、殺したくもなるよなぁってことで、終盤、キム部長が朴大統領を暗殺するシーンは今作品の屈指の見所。殺したあとの取り乱し方なども真に迫ってて、彼を演じたイ・ビョンホンはさすがだなって感じ。

パク元部長は殺される寸前、左足の靴をなくしていて、対するキム部長は大統領暗殺後、右足の靴をなくしている。二人とも朴大統領の足として活躍していた旧友だったのに、朴大統領はそうした情を失ったことで自分が殺されることになる。

どんな志を持って権力を握っても、そうした奴の末路はこういうもんなんだなぁってわかるし、歴史ってのは常にその権力争いによっておこる血みどろの闘争の繰り返しなのであるなぁ。

一つよくわからんかったのは、パク元部長からキム部長が「情報部よりも力のあるやつがいて、朴大統領は秘密裏にそいつらを重宝している」みたいな情報を漏らされるんだけど、あれの存在が結局どうなったのか、俺にはわからんかった。

それはともかく、相変わらず韓国の役者陣の演技はすごい。朴大統領を演じたイミンソン、元部長のクァクドウォン、さらには警護室長の人も、どれもいいし。あまりクローズアップで映されないものの、ご飯が全部おいしそうだし、役者たちのタバコの吸いっぷりやウィスキーをあおる姿もかっこよく、ついでに、エンドロールの曲も重みがあってよかった。

韓国映画のこの勢いは今年も続きそう。楽しめるから大歓迎。

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